原題 ; VIOLETTE ET FRANCOIS(1977)
 監督 ; ジャック・ルーフィオ
 脚本 ; アンドレア・ウィンディング
 音楽 ; フィリップ・サルド
 共演 ; ジャック・デュトロン、レア・マッセリ、フランソワーズ・アルヌール
イザベル・アジャーニが盗癖のある恋人に振り回されるヒロインを演じたドラマ。
子持ちのカップル、ヴァイオレット(イザベル・アジャーニ)とフランソワ(ジャック・デュトロン)。
ヴァイオレットは上司とモメて銀行を辞め、フランソワも不動産の仕事をクビになった。
フランソワはヴァイオレットが気に入った赤いドレスを盗んでくる。
フランソワはスーパーでも万引きするので、ヴァイオレットはあきれ顔。
ヴィオレットは友人のカーラから本を分類して映画化のデータにする仕事を紹介してもらう。
フランソワは録音スタジオで働き始めるが、サックス奏者を迎えに出てトンズラ。
父を訪れたフランソワは、自分は実の父ではないとを告げられる。
フランソワは母と会う。母親は、確かに夫婦仲の冷め切った頃に生まれたが、夫婦の子供だという。
スーパーマーケットで万引きを見つけられたフランソワ。なんとか逃げ切るが、車で待っていたヴァイオレットに見られてしまう。
二人はケンカするが、フランソワが正式にプロポーズするとヴァイオレットの機嫌は途端に直ってしまう。
式は盛大に行われた。4ヶ月たつとフランソワは昔馴染みの金髪女と浮気。
ヴァイオレットの父親がが死んだ。葬儀から帰ったヴァイオレットは、フランソワが万引きの練習に余念がないのを見つける。
ついにヴァイオレットは一緒に盗みをする決意をした。
二人で万引きしたり、値札を張り替えて安く買ったり、なんとかうまくいった。
次は底のない小包を使って万引き。盗みは成功するが、小包に引っ掛けて香水のビンを割り弁償させられたので儲けはチャラ。
ヴァイオレットはスリもしようとするが、現金は狙わないとフランソワがとめる。ヴァイオレットは何故現金がダメなのか納得がいかない。
盗んだ毛皮を着たまま出ようとしたヴァイオレットは値札が磁気アラームに引っ掛かってしまう。フランソワが外で待っていた夫のふりをしてごまかした。
フランソワは郵便車の車上荒らしにまで手を出す。さすがに心配するヴァイオレット。
ついにヴァイオレットは監視員に捕まってしまった。初犯なので告訴はされなかったが、調書を取られる。
さすがにショックを受けたヴァイオレットはフランソワに殴りかかるが、惚れた弱みですぐにベッド・イン。
再び万引きしようとするヴァイオレットだが、手が震えてしまい盗めなかった。
フランソワは出資者が見つかり念願の新聞発行が実現しそうだという。
第一号が印刷を開始。店頭に並ぶと早速ヴァイオレットが購入する。
編集部では祝賀会が開かれた。だが、掲載内容は与太記事で全く売れず、一号でフランソワはやる気をなくす。
再び万引きを始めたフランソワはデパートの監視カメラで見つかってしまう。屋外へと逃げ出したが結局捕まり、抵抗したため警察に引き渡される。
そうとは知らないヴァイオレットは、心配してフランソワの行方を捜す。電話を掛けまくっても見つからず途方にくれる。
ヴァイオレットが彼の父親の元に行くとフランソワが逮捕されたという連絡が入っていた。
公判がはじまる。ヴァイオレットと彼の父親が公聴する目前で、弁護士は本人より酒飲みの父親と子供を捨てた母親にこそ責任があると弁論する。
嘘八百を聞いて怒り出すヴァイオレット。
執行猶予と罰金ですんだフランソワに、ヴァイオレットは別れ話を持ち出す。
別れて息子に会いにもこないフランソワに、ヴァイオレットは「あなたの犯した罪は父親失格という罪でした」と手紙を書く。
フランソワは、ヴァイオレットのアパートのドアを叩くが不在だった。
慟哭(どうこく)するフランソワ。彼は独り夜の町を去っていく。
確かに盗みはするのだが、「女泥棒」という邦題は内容的にそぐわない気がした。もう少し洒落たタイトルが考えられなかったのだろうか。
一応、コメディーに分類されている作品なのだが、笑いどころはほとんどない。
イザベル・アジャーニはチャーミングにヒロインを演じているが、相手役のジャック・デュトロンは表情に乏しい役作りが爬虫類的で不気味。ラブロマンスには似つかわしくないキャラクターとなってしまった。
何をやってもヤル気なしで万引の練習にだけ熱中するダメ男を盲目的に愛するというのは、ある意味イザベル・アジャーニ得意のキャラクターともいえるのだが。
出演作の多くではそのまま破滅してしまうのだが、今回はさすがに最後は愛想をつかし、めずらしく愛に殉じないのが特徴。
全体的に面白みに欠ける作品で劇場未公開というのが納得できる。イザベル・アジャーニが出演していなかったら、ビデオ発売もあぶなかったかもしれない。

イザベル・アジャーニの
          女泥棒