原題 ; THE DRIVER(1978)
 監督 ; ウォルター・ヒル
 脚本 ; ウォルター・ヒル
 音楽 ; マイケル・スモール
 共演 ; ライアン・オニール、ブルース・ダーン、ロニー・ブレイクリー、マット・クラーク
イザベル・アジャーニのハリウッド進出第1作。小品のノワールだが。あとに続くハリウッド作「イシュタール」「悪魔のような女」よりも完成度の高い作品だと思う。
ザ・ドライバーと呼ばれる男(ライアン・オニール)が地下駐車場から車を盗む。彼は犯罪者を現場から逃がす一匹狼のプロフェッショナル。
ザ・プレイヤーと呼ばれる女(イザベル・アジャーニ)が賭場でカードゲームをしている。
賭場の裏手に車をつけるドライバー。通り合わせたプレイヤーの目前でマスクをした強盗団を乗せて走り去る。
ザ・ディティクティブと呼ばれる男(ブルース・ダーン)がビリヤードをしている。彼は事件発生の連絡を受けた。
数台のパトカーがドライバーの車を追跡している。ドライバーは的確な運転で追いすがるパトカーを1台1台つぶしていく。
パトカーが最後の2台となったとき、ドライバーは正面から突っ込んでいった。衝突の寸前、怖気づいてハンドルを切ったパトカーは道をそれて横転する。
逃げ切ったドライバーは車を廃車置場に捨て、分け前を受け取った。
翌日、その車をディティクティブが見つけた。ドライバーは警察に呼ばれ事件の証人に面通しされる。
もっとも近くで目撃していたプレイヤーはドライバーが犯人ではないと証言した。
ディティクティブはカウボーイ気取りで車を駆る犯人を逮捕すると宣言する。
3人組みの強盗がスーパーを襲う。逮捕されたリーダー格のグラスにディティクティブが取り引きを申し出る。
ドライバーと組んで偽装強盗をしろというのだ。銀行には囮の20万ドルが用意されていた。これはディティクティブが独断で決めた作戦である。
プレイヤーにドライバーが接触して礼金を渡した。プレイヤーはパトロンの金払いが悪くなり、金が必要なのだという。
そこにディティクティブがやって来た。彼はプレイヤーの偽証を見抜いている。
部屋の物陰でドライバーが聞いているとは知らず、ディティクティブはプレイヤーの過去を調べたと脅していく。
ドライバーはザ・コネクションと呼ばれる女(ロニー・ブレイクリー)と会う。彼女がドライバーの仕事の窓口だった。
新しい仕事は例の3人組の依頼。腕を見せろと言われたドライバーは、地下駐車場で車を走らせ確実にバンパーやドアをもぎ取ってみせる。
結局、ドライバーはこの仕事を断った。
3人組の一人が銃を持って脅しに来るが、ドライバーはぶん殴って追い返す。
ディティクティブはドライバーに揺さぶりをかける。結局、ドライバーは倍のギャラでグラスたちと組むことにした。
強盗が実行され、グラスはドジを踏んだ相棒を射殺してしまう。
ドライバーの運転で逃走に成功したグラスは彼に銃を向ける。ディティクティブも裏切り、金を奪おうというのだ。
一瞬早くドライバーの銃が火を吹き、グラスを射殺した。
その頃、ディティクティブは待ちぼうけを食わされていた。
3人組で実行犯に加わらなかったキッドがグラスの死体を見つける。
ドライバーは金を駅のコインロッカーに隠し、安宿に泊まった。
金を持ち逃げされたディティクティブは、同僚に対しゲームがますます面白くなったと強がる。
ドライバーはコネクションに金の洗浄を頼む。
自宅に帰ったコネクションをキッドが待ち構えていた。キッドはドライバーの居場所と金の隠し場所を聞き出し、彼女を射殺する。
ドライバーは金の受け渡しをプレイヤーに依頼した。半年金を寝かせるべきだというプレイヤーに、ドライバーはツキがあるうちに片づけたいと答える。
プレイヤーは駅で換金屋と会い、コインロッカーの鍵を交換した。換金屋が乗った列車をディティクティブが捜査する。
それに気づいた換金屋は他の乗客とカバンをすりかえた。
金の入ったカバンを見つけたディティクティブは、トイレの窓から逃げようとしていた換金屋と撃ち合いになり射殺する。
コインロッカーの鍵が入ったバッグを、プレイヤーからキッドが奪い取る。ドライバーとプレイヤーはキッドと仲間の車を追う。
激しいカーチェイスの末、2台は正面から向き合う。突っ込むドライバーはハンドルを切らない。
たまりかねてハンドルを切ったキッドの車は横転。ドライバーは出てきたキッドに銃を突きつけ、銃を抜こうとしたキッドを撃ち殺す。
ドライバーは生き残った若い運転手からバッグを取り戻した。
駅のコインロッカーから換金屋のバッグを取り出すドライバー。いつの間にか彼の周りをディティクティブ率いる警官隊が包囲していた。
ディティクティブにバッグを渡すドライバー。中は空だった。
換金屋にしてやられたのだ。それを見ていたプレイヤーは黙って姿を消す。
今回もディティクティブはドライバーを逮捕することができなかった。悠然と去っていくドライバー。
ディティクティブもバッグを捨てると仲間たちを残し駅を出て行くのだった。
ディティクティブが相棒の刑事とコーラを飲みながら話す場面で、コーラの量が減ったり増えたりする編集ミスがあり話題になった。
傑作ではないが、独特のスタイルを持った捨てがたい魅力を感じさせるノワールの小品佳作。
赤や青のイルミネーションに彩られた夜の街を舞台にしたクライム・サスペンス。当時としては、かなりスタイリッシュな作品。
主要キャラクターに名前がないのも洒落ている。
イザベル・アジャーニのハリウッド出演第一作。興行的には必ずしも成功といかなかったようだが、感情を表に出さないアンニュイな美女ぶりは新たな魅力を感じさせた。
現代のカウボーイを気取る主人公が愛聴するカントリー&ウェスタンを、失恋ばかり歌う女々しい音楽と切って捨てるのも印象的だった。
当時ライアン・オニールは「ある愛の詩」から「ペーパームーン」「おかしなおかしな大追跡」「バリー・リンドン」と話題作に出演を続け上り調子の頂点にあった。
それまでのライアン・オニールはナイーブな青年とかスチャラカな調子者の役が多かったので、ウォルター・ヒル監督のハードボイルドな作品には合わないかとも思えたが、タフガイでないところがクールなプロフェッショナルの雰囲気を出し、けっこう好演している。
ウォルター・ヒル監督は、この作品のあとに「ウォリアーズ」「ストリート・オブ・ファイア」と完成度は別にしてスタイリッシュな映像が魅力的な作品を発表して人気を集め、一方では「エイリアン」シリーズの製作を手がけたりもした。
その後は出来不出来は別として普通の監督になってしまった気がする。
ストーリーは基本的にラストまで
紹介してあります。
この作品はDVDが発売されているので
鑑賞が可能です。御注意ください。

ザ・ドライバー