原題 ; LES SOEURS BRONTE(1978) |
監督 ; アンドレ・テシネ |
脚本 ; アンドレ・テシネ、パスカル・ボニツェール、ジャン・グリュオー |
音楽 ; フィリップ・サルド |
共演 ; マリー=フランス・ピジェ、イザベル・ユペール、パスカル・グレゴリー |
フランスの名女優3人が共演して、イギリスの女流作家として高名なブロンテ姉妹を描いた作品。 19世紀半ばのイギリス、ヨークシャー州ハワースに住むブロンテ一家。 牧師の父(パトリック・マギー)、シャーロット(マリー=フランス・ピジェ)、エミリー(イザベル・アジャーニ)、アン(イザベル・ユペール)の三姉妹と長男ブランウェル(パスカル・グレゴリー)。 次女エミリーは男装で歩き回り、野バラよりヒイラギのほうが好きという変わり者。 ブランウェルは彫刻家レイランドと親交があった。 ある日高名な詩人サウジーから手紙が来た。シャーロットが密かに自作の詩を送っていたのである。 サウジーはシャーロットの才能を認めたものの、女性は文筆家に向かないので趣味にとどめるよう忠告してきた。 シャーロットとエミリーがその手紙を読むのを聞いてしまったブランウェルは嫉妬する。彼もサウジーに詩を送り続けていたが、返事は全くなかったのだ。 エミリーのピアノ演奏は力強く、女性特有の弱々しさがないと教授から評価される。 乳母が死んだため、ブランウェルは意気消沈。そんな彼にアンは自分が働くロビンソン家に家庭教師の職を紹介する。 ロビンソン家の主人は傲慢な男で、妻はその無作法さに不満を抱いていた。ブランウェルと彼女は不倫関係に陥っていく。 だが、子供は二人の関係に気づいていた。それを知ったアンはブランウェルとともにロビンソン家を去る。 ブランウェルはアンに、姉妹たちは身を焦がす情熱を知らないと開き直る。 父の視力が衰え、シャーロットは教師の職を辞してハワースに戻った。 ブランウェルはロビンソン夫人に呼び出される。ロビンソン氏は心臓を悪くして寝込んでいた。 私を奪ってと夫人は迫るが、ブランウェルは二の足を踏む。 シャーロットは師である教授に想いを寄せていたが、教授は彼女からの手紙を破り捨ててしまう。 そんな折、ロビンソン氏が死んだとの知らせが入る。 ブランウェルは大喜びで飛び出していく。しかし夫人は一度自分を捨てたブランウェルよりも夫の遺産を選んでいた。 エミリーは荒れ野の倒れ伏すブランウェルを見つけて連れ帰る。 ブランウェルは自分が描いた家族の肖像画から自分の姿を消してしまう。 エミリーの文章を読んだシャーロットは、三人の小説を出版すべきだと主張する。エミリーは出版などかなわぬ夢だと諦めていた。 風が吹き込み、ブランウェルの部屋のランプが倒れてしまう。三姉妹はアヘンで意識不明のブランウェルを助け出し、火を消し止めた。 やがて偽名で「嵐が丘」「アグネス・グレイ」「ジェーン・エア」が出版された。 はたして作者は男か女か、イギリス中が騒然となった。覆面作家をいいことに偽作もまかり通っている。 シャーロットとアンは出版社に正体を明かすため、ロンドンに旅立つ。ブランウェルは廃人同様だったが、レイランドが来たというのでエミリーに送られて居酒屋に行く。 女は居酒屋に入れないのか、エミリーは風の吹きすさぶ通りで待ち続ける。 ブランウェルは生きる意欲を失い、レイランドにもなすすべがなかった。そんなブランウェルをエミリーは励まし続ける。 ブランウェルは衰弱し、息を引き取った。 エミリーは結核に侵されてしまう。それでも彼女は意固地に働き続ける。アンも同じ病気だった。 荒野には何かがあるとシャーロットが出かけていく。荒野は凍てつきわずかなヒースが生えていただけだった。 エミリーはようやく医者に診てもらうことを承諾するが、すでに遅かった。 エミリーが死に、シャーロットはいつか海が見たいと言っていたアンを海の見える場所に連れて行く。 そしてアンも死に、シャーロットが残された。 シャーロットはニコルズ氏と結婚し、サッカレーの席に招かれるほどの大作家となったのだった。 人気女優が共演して有名な作家姉妹を描いた作品なのに、日本では公開まで5年かかってしまった。今のようにミニ・シアターが充実していなかったという事情もあるのだろうが、やはり売りどころに欠けたというのが第一の原因だろう。 ドラマが淡々としすぎて3人の女優にあまり見せ場がないのが残念。 しかも芸術家に憧れながらも姉妹ほど才能に恵まれず、不倫とアヘンに走って破滅の道をたどるブランウェルの描写が多く、どっちが主役か分からなくなっている。 三人それぞれの創作活動とか、女流作家の地位が低かった当時の世情とか、闘病生活とか、掘り下げて描けるテーマはいろいろあったと思うのだが。 イザベル・アジャーニは、男装を好み射撃もうまいというスタイリッシュなキャラクターだが、その実消極的な言動が多いという二面性を持つ役柄が面白かった。 出版に積極的な態度を見せる姉シャーロットとの対比を掘り下げて描いても良かった気がする。 イギリスの女流作家を描くドラマで会話がフランス語というのは少し違和感もあった。 |
ブロンテ姉妹