原題 ; L' ANNEE PROCHAINE... SI TOUT VA BIEN(1981)
 監督 ; ジャン=ルー・ユベール
 脚本 ; ジャン=ルー・ユベール、ジョジアーヌ・バラスコ、ジェラーヌ・ジング
 音楽 ; ウラディミール・コスマ
 出演 ; ティエリー・レルミット、ジョジアーヌ・バラスコ、マリ=アンヌ・シャゼル
「可愛いだけじゃダメかしら」と並ぶイザベル・アジャーニには珍しいお気楽なラブコメ。
映画祭での初公開時は「パリ式亭主操縦法」というタイトルだったらしい。どっちもどっちではあるが、こちらのほうが「抱きしめたい」よりはやや内容にあった題名という気がする。
イザベル(イザベル・アジャーニ)とマキシム(ティエリー・レルミット)は同棲中。突然イザベルの両親が訪ねてくることになって大慌て。
マキシムは友人アンリ夫妻の家に泊めてもらうことにした。彼が床で寝ているとアンリの子供にいたずらされてひどい目にあう。
マキシムの両親は事故で死に、伯母の家と寄宿舎を行き来して育ったのだった。
自転車に乗ってバスの女の子たちといちゃついていたマキシムは風船売りの屋台に突っ込んでしまう。
仕事の会議中に事故の知らせを受けたイザベルは慌てて飛び出していく。マキシムはほんのかすり傷だった。
売れないコミックを書き続けるマキシムを、イザベルはなんとか張り切らせようと考える。
イザベルは子作りを提案。マキシムは扶養家族が増えるだけだと乗ってこない。
ある日イザベルは、アンリの妻ユゲット(マリ=アンヌ・シャゼル)たち女友達と食事しながら井戸端会議に花を咲かせていた。
そこにマキシムから心臓発作だと電話がかかってきた。いつものことでイザベルは相手にしない。
酔って帰ったイザベルは寝ていたマキシムに甘えてセックス。二人は久しぶりに良いムード。
マキシムはアレグレムで開催されるマンガ大会に参加、賞を狙うことにした。
イザベルはキューピーを飾ったケーキでマキシムに子作りをアピールするが、彼の反応は冷たい。彼女は思わず怒り狂う。
マンガ大会でマキシムのブースは閑古鳥が鳴いていた。そこに絵が気に入ったという女が声をかけてきた。
女は3冊しか売れなかったとぼやくマキシムを自分の家に誘う。
一方、イザベルも前から誘われていた同僚と食事に行く。彼は何もかも捨ててヨットでフィジーに行こうとか、いい加減なことを言う。
マキシムは女とできなかった。彼は女に原画をねだられる。毎年漫画家と寝ているグルーピーだった。
イザベルは誘いに乗って同僚の部屋に行くが、結局彼もできなかった。
仲直りしたイザベルとマキシムは子作りに成功。
アンリ夫妻を呼んで祝おうとするが彼らの雰囲気は最悪。ユゲットの浮気が発覚したのだ。アンリは弁護士に依頼して離婚調停を始める。
マキシムはイザベルの両親に挨拶に行く。まだ自由の身でいたいマキシムだが、話はどんどん進んでいく。
イザベルはマキシムの収入の話題になると慌てて話をそらす。両親は披露宴のメニューまで用意していた。
イザベルは母親が若かったころの浮気を知る。父親は彼女を許したが、イザベルがその男の子供だとまでは知らない。
同じ時、父親もマキシムにその話をしていた。
ようやく結婚式を終えた二人。そこにヨリを戻したアンリ夫妻が合流する。
数ヶ月後、イザベルとマキシムは出産教室に通い、ユゲットは浮気を再開していた。マキシムの漫画は大成功、映画化が決定していた。
二人が仲良く歩いていると大会のグルーピーが声をかけてきた。
浮気未遂を知って激怒するイザベル。マキシムの頬を叩くと一人で去ってしまう。
アパートにも帰っておらず、マキシムはアンリのところに行く。結局イザベル探しを忘れてアンリと酒を飲み盛り上がってしまう。
そこにユゲットがやってきた。すっかりできあがったアンリにあきれて帰って行く。
表に繰り出したマキシムとアンリは警官に絡んで連行される。留置場に出産の連絡が入り、マキシムだけは釈放された。
マキシムはイザベルの病室に行く。彼はひたすら謝るが、疲れていると追い返される。
生まれたのは男の子だった。母親の電話にイザベルは、出産にはマキシムも立ち会ってくれ自分は最高に幸せだと嘘をつく。
マキシムは花束を抱えて戻ってきた。思わず抱きついて泣き出すイザベル。
マキシムとアンリが赤ん坊を風呂に入れている。イザベルとユゲットが買い物から帰ってきた。
ユゲットは3人目の子供を宿したことをアンリに告げる。
クリスマスを二人はイザベルの実家で過ごすことになった。
まだ自由な生活に未練があるマキシムに、イザベルは「あきらめなさい」と目で告げるのだった。
他愛のない作品で特別に見せ場もないのだが、イザベル・アジャーニは可愛らしいし、気楽に楽しめる出来だと思う。
今回は一応ハッピーエンドだが、相変わらず相手はダメ男。終盤マンガ家として成功を収めたことになっているが、ナレーションだけで終わり具体的な描写がないので、さほど説得力はない。

抱きしめたい