2007年邦画ベストテン
 1.夕凪の街、桜の国
 2.腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
 3.Always続・三丁目の夕日
 4.アヒルと鴨のコインロッカー
 5.キサラギ
 6.河童のクゥと夏休み
 7.自虐の詩
 8.エヴァンゲリヲン序
 9.東京タワー/オカンとボクと、時々、オトン
10.スキヤキウェスタン ジャンゴ
映画館で見た邦画は78本。一昨年に比べても大幅に増えた。
上半期は良い作品はあったのだが決め手に欠け、邦画バブルははじけた、なんていう評論家が正しいのかと不安になった。しかし下半期でインパクトの強い作品が続出して、結果的にはなかなか充実した年になった。
気がつけばベスト・テンのうち9本が下半期に見た作品になっていた。
上半期では他にも「バッテリー」「眉山」「さくらん」「それでもボクはやってない」などの佳作もあり、下半期では「Lifeもう一度君に逢えたら」「めがね」「ピアノの森」「マリと子犬の物語」がはみ出してしまった。
1位は、世代を超えて人生に影を落す核兵器への怒りや悲しみを、凄烈なタッチで描いた傑作。登場人物が、ごく普通に暮らす人々であるだけに理不尽な想いがつのってくる。
2位は、アクの強い登場人物をブラック・ユーモアに満ちた描写で描いた作品。佐藤江梨子の長身を生かして威圧的な人物像を作り上げている。永作博美の悲しみを秘めた怪演が圧倒的だった。
3位は、原作に独自の世界観をまじえて画くシリーズ2作目。ベタな人情物なのだが、やっぱりハマッてしまった。どうせなら東京オリンピックあたりまで続けてほしい。
4位は、ちょっとブラック・ユーモア・タッチの前半から、意外な真相が明らかになってくる後半への展開が鮮やか。関めぐみは今年も活躍してくれることを期待している。
5位は、これもまた意外な展開で楽しませてくれるコメディー。エキセントリックな登場人物の中でも香川照之の怪演ぶりが光る。ラストのダンスの見事すぎる決め方が恐い(DVDにはダンス・シーンのノーカットヴァージョンが収録されているそうで、ぜひ見てみたい)。
6位は、丁寧な演出と脚本で、現在に甦った河童の巻き起こす騒動を描いたアニメ。等身大の登場人物でファンタジーに説得力を持たせることに成功している。
7位は、ちゃぶ台返しにも負けない夫婦の絆を描いたコメディー快作。ラストでは永い年月を越えた友情も描かれ感動的。一見幸せ薄そうなヒロインなのだが、実は大家とかラーメン屋とか周囲の人々のほうが不幸そうだった。
8位は、改めてエヴァンゲリヲンって面白かったんだな、と納得させられた。予算や時間の制限が多いテレビ版のオリジナルに比べ、思う存分書き込まれた迫力ある映像に引き込まれた。2作目以降にも期待している。
9位は、青春の一番輝かしい時期が結局何もせずに終わってしまうという描写に、ものすごく説得力があり、全体的にも感情移入しやすいドラマだった。内田也哉子の起用も見事にハマッていた。
10位は、もう一つのちゃぶ台返しが笑えた快作。ここでも香川照之の怪演が印象的。テンポも良くて、これまで見た三池嵩史監督作品の中で一番面白かった。
昨年のおバカ映画ナンバー・ワンは「ロボ・ロック」を押さえて「エクスクロス魔境伝説」。
本上まなみ「ユメ十夜」、水野美紀「口裂け女」、長谷川京子「大帝の剣」、田中麗奈「ゲゲゲの鬼太郎」、内田有紀「クワイエットルームにようこそ」、小沢真珠「エクスクロス魔境伝説」と多くの美人女優が異形の怪演を競った年としても印象深い。洋画では今年、クリスティーナ・リッチがブタ鼻に変身するとか。