原題 ; THE GREAT ESCAPE(1963) |
監督 ; ジョン・スタージェス |
脚本 ; ジェームズ・クラベル、W・R・バーネット |
音楽 ; エルマー・バーンスタイン |
出演 ; スティーヴ・マックイーン、ジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー |
ビリー・ワイルダー監督「第17捕虜収容所」と並ぶ捕虜収容所ものの金字塔的作品。 ポール・ブリックヒル著のノンフィクションを原作に、ヒロイックな人物像を配し見事な娯楽作に仕上げた。 ドイツの第三捕虜収容所ではビッグXことバートレット(リチャード・アッテンボロー)のもと、大規模な脱走計画が進められていた。 一匹狼のヒルツ(スティーヴ・マックイーン)は計画に加わらず単独で脱走と独房行きを繰り返していたが、仲間の死をきっかけに意志を変える。ヒルツはいったん脱走し、収容所周辺の情報を探って戻った。 ついに計画が実行されるが、一人のミスにより全員の脱走はならなかった。 一旦は脱走した者も多くが捕まり、あるいは射殺され、国外逃亡に成功したのはベリンスキー(チャールズ・ブロンソン)と相棒ウィリー、セジウィック(ジェームズ・コバーン)の三名だけだった。 しかも逮捕者の多くは不法に処刑されてしまう。 バイクで国境越えを図ったヒルツも逮捕され収容所へ戻される。多数の仲間の死を知らされたヒルツは、独房で新たな脱走に闘志を燃やすのだった。 独房におけるヒルツの壁キャッチボールが効果的に使われていた。 ジェームズ・コバーンは、「荒野の七人」における熱心な役作りがスタージェス監督に評価されて再度の起用となったと伝えられているが、もしかしたら役自体がコバーンのために書かれたものではないかという気がする。 前半セジウィックをメインとしたエピソードは特にないのだが、落盤から閉所恐怖症になってしまうベリンスキーや精密な作業がたたり視力を失うコリン(ドナルド・プレゼンス)など涙ぐましい努力を続ける男たちが描かれる中、俺は何も努力してないよという顔で作業するセジウィックはいかにもコバーンらしいキャラクターだし、ドラマ全体のアクセントにもなっていた。 それゆえ脱走後に盗んだ自転車で悠々と敵地を突破し、たまたま立ち寄ったカフェでレジスタンスと出会う強運さが面白さを増している。 脱走を進めながら自分の番を待つシーンの長い手足を窮屈そうに折り曲げてカバンに座る姿も印象的だった。 余談その一=原作の終盤は終戦後に捕虜を不法に殺害したドイツ人戦犯を追い詰める話になっていく。この部分はTVミニ・シリーズ「大脱走2」として映像化されたらしい。未見。 余談その二=ドナルド・プレゼンスは英空軍で大戦に参加、撃墜されて捕虜となった。パンフレットには、本物の大脱走参加者と記載されているが、その後宣伝のための嘘だったことが判明した.。なおプレゼンスは「大脱走2」にも戦犯役で出演した。 |