原題 ; OUR MAN FLINT(1966) |
監督 ; ダニエル・マン |
脚本 ; ハル・フィンバーグ、ベン・スター |
音楽 ; ジェリー・ゴールドスミス |
出演 ; リー・J・コッブ、ギラ・ゴラン、エドワード・マルヘア、ベンソン・フォンダ |
ジェームズ・コバーン初の主演作品。 完成度はともかくコバーンの代表作であり、得意としたキャラクターの原点であることは間違いない。 スパイ映画としても代表作として挙げられる作品だが、最大のポイントはデレク・フリント(ジェームズ・コバーン)が諜報部員ではないことにある。 かっては国際秘密諜報機関ゾウイー、クラムデン長官(リー・J・コッブ)のもとで働いていたが、現在は四人の恋人たちと気ままに暮す自由人。 時にはバレエを教えにモスクワに渡ったりもする。 世界中に天変地異が勃発し、コンピュータが解決の適任者としてフリントを選出しても知ったことじゃない。 大国の正義に従う義務もないし、ましてや金のためには動かない。 孔明ではないので三顧の礼も通じず、クラムデン自ら頼んでも聞き入れない。 そんなフリントがついに動き出すのは、敵組織ギャラクシーが早まってフリント暗殺計画を実行したためだ。 ギャラクシーの幹部ギラ(ギラ・ゴラン)はレストランでハープ奏者と入れ替わりフリントに毒矢を打ち込もうとする。 的をそれた矢は、再度交渉に訪れたクラムデンに刺さり、クラムデンは昏倒してしまう。 フリントの応急処置で一命を取りとめたクラムデンは「あと4秒遅かったら助からなかったそうだ」と礼を言うが、フリントは「いえ、あと3秒でした」とクール。 自身に火の粉が降りかかって、ようやくフリントは事件解決に乗り出す。 ゾウイーは65種類の武器を用意するが、フリントの万能ライターには83通りの用途があった。 毒矢の羽に付いていたブイヤベースの成分から、フリントは犯人がマルセイユに立ち寄っていたことに気づく。 マルセイユへと飛んだフリントは早速レストラン巡り。 途中、旧知の諜報員0008から犯罪組織ギャラクシーの情報を得た。 ついに突き止めたレストランでフリントは元ナチスの殺し屋ハンスを倒す。 なぜかターバンを巻いてインド人に変装したフリントは、店内で爆弾を発見、銃の発砲騒ぎを起こして客を逃がす。 今度は付着していたコールドクリームからローマの化粧品会社に目星をつけるフリント。 一方ギャラクシーはフリント最大の弱点である四人の美女を誘拐していた。 ローマのエキゾティカ・ビューティー・ファクトリーを訪問したフリントは、支配人に納まっていたギラとデート、一夜を共にする。 明け方、鍵を盗み出したフリントは社屋に忍び込んで大金庫を捜索。 だが、これは罠で閉じ込められたフリントは金庫室ごとトレーラーで連れ去られてしまう。 社屋は地下に沈み、上にはあっという間に路上レストランが設置される。 フリントの行動を追ってきたクラムデンも、この偽装は見破れず、まかれてしまう。 金庫の中にあった地図でギャラクシー島の位置を知ったフリントはライターで連絡を取り爆撃を要請しようとするが、運転席の会話から四人の誘拐を知って断念、単身乗り込むことにする.。 ヨガの秘儀を使って心臓を止めたフリントは死体としてギャラクシー島に運び込まれた。 敵のユニフォームを奪ったフリントは基地内の捜索を開始するが、アメリカ人を見分けて襲うよう仕込まれた鷲に見抜かれ捕まってしまう。 ギャラクシーへの協力を拒んだフリントは処刑されることになり、任務に失敗したギラには洗脳が言い渡される。 ギラは別れのキスをするふりをして、取り上げられたライターをフリントに渡す。 フリントはライターの閃光を使って危機を脱するが、この争いでライターは消失してしまう。 ギラと四人の美女の洗脳を解いたフリントは、通信室を占拠して島の位置を知らせる。 動力源を破壊しようとするフリントに、ギャラクシーを支配する三博士は降伏を決意するが、以前から組織を狙っていた幹部ロドニー(エドワード・マルヘア)によって命を落とす。 一対一の闘いでロドニーを倒すフリント。 空爆が開始され、島は崩壊を始めていた。 フリントは五人をドラム缶に入れて島の断崖から海に注ぐ滝で脱出させ、自らもダイブする。 同時に島は崩れ始めた。 次々と軍艦に救助される五人の美女、フリントも無事脱出に成功していた。 美女を一人増やして早くもハーレム気分のフリント。 海中に没する島に大喝采するフリントたちの姿で映画は幕を閉じるが、島には誘拐されて洗脳された無実の人も大勢いたんじゃないかと思う。 自国民以外気にしないのは、さすがアメリカ映画。 今見ればアクションもギャグものんびりしているが、フリントのキャラクターは色あせない。 スポーツ万能、芸術にも秀で、美女たちとともに自由で気ままな暮らしを謳歌するボヘミアン。こんな突拍子もないキャラクターに存在感を持たせ、しかもイヤミ無く演じてしまう。 こんな離れ業をやってのけられるのは、やっぱりコバーン以外にいないって気がする。 |