原題 ; DEAD HEAT ON A MERRY-GO-ROUND(1966) |
監督 ; バーナード・ジラード |
脚本 ; バーナード・ジラード |
音楽 ; スチュ・フィリップス |
出演 ; カミラ・スパーヴ、アルド・レイ、ニーナ・ウェイン、ロバート・ウエッバー |
暴力シーンのほとんどない犯罪コメディ。当時としては洒落た作品だが、残念ながらスタイリッシュというほどではない。 今見ると少し間延びして感じる部分もあるが、コバーンらしさを生かした小品として楽しめる。 服役中の泥棒イーライ(ジェームズ・コバーン)は、心理学者のハーグ女史をたらしこんで保釈となる。 早速姿をくらましたイーライの標的はロス空港内の銀行。 犯罪仲間から図面を買い取らなければならないが、金が足りない。 そこでイーライはデンバーで使用人向けの制服を扱う店の店員となり、金持ちのお屋敷で働くメイドを見つけてはたらしこむ。 主人のの留守中に屋敷にあがり込み、合鍵を作ったり番犬を手なずけたり。 こうして悠々と泥棒に成功、その金で図面を入手する。 さらに詩人に成りすましたイーライは、やはりメイドのインガー(カミラ・スパーヴ)をだまし、ロスで自分の詩に曲が付けられてレコード化されるといって、二人でロスに向かう。 そのころロスはソ連首相の訪米で大混乱。 冷戦時代のこと、町では反対のデモが繰り広げられていた。 ロスに着いたイーライは、コラージュに使用するといってインガーに空港周辺の写真を取らせる。 イーライはロスでは顔が売れているため、直接動いては危険だったのだ。 用の済んだインガーに海軍から緊急の召集があったと別れを告げ、三人の仲間とともにソ連首相到着当日のロス空港で計画を実行に移す。 まずイーライはオーストラリアに犯人を護送中のデイ警視と名乗って空港の警備本部に乗り込み、警備責任者に信じ込ませる。 同時に警官に化けた仲間二人が、警備が手薄になった銀行に侵入、セキュリティ・システムを切断したうえで行員を脅し金庫を開けさせる。 二人はトイレで奪った金をイーライに渡し、自分たちは私服に着替えて旅客機の搭乗手続きをする。 非常事態発生の報にソ連首相搭乗機は空中待機を余儀なくされ、警備陣に緊張が走る。 事件が銀行強盗と判明して一安心、首相機の着陸指示が出される。 一方、旅客機の荷物検査が開始されるが、警視に化けたイーライの荷物はノー・チェック、無事搭乗に成功する。 機はメキシコに向けて離陸、後は金の使い道を考えるだけだ。 その頃インガーは海軍基地を訪れていた。 彼女が長年仕えてきた婦人が亡くなり弁護士から連絡が来たため、一旦戻ることをイーライに伝えたいというのだ。 だが、イーライが使ったのはもちろん偽名、該当者は見つからない。 インガーはまだ知らないが、彼女はイーライが銀行から奪った金額を遥かに上回る700万ドルを婦人から相続していたのだった。 女をだまして犯行に利用していた小悪党が最後に利用した女は、苦労した犯罪よりも多額の金を手にしていたというオチ。 でも、これはこれで正解。財産目当てで家庭に納まるっていうのは、少なくとも若い頃のコバーンのキャラクターじゃない。 余談その一=この作品はハリソン・フォードのデビュー作としても知られている。ホテルのボーイ役でワン・シーンのみの端役だが、一応コバーンとの絡みもある。90年代以降、多くのスター映画にカメオ出演したコバーンだが、ハリソン・フォード作品はなく、これが唯一の共演となった。 余談その二=この作品も原題の良いわりに野暮ったい邦題という気がする。この時期「○○作戦」というタイトルが続いたのは、やっぱり「電撃フリントGO!GO作戦」でスターダムにあがった影響なのだろうか。 |