原題 ; THE PRESIDENNT'S ANALYST(1967) |
監督 ; セオドア・J・フリッカー |
脚本 ; セオドア・J・フリッカー |
音楽 ; ラロ・シフリン |
出演 ; ゴッドフリー・ケンブリッジ、セヴァーン・ダーデン、ジョーン・デラネー |
テレビ放映時のタイトルは「大統領のガードマン」。本当は「大統領の精神分析医」。 早すぎた内容のためか劇場未公開に終わったが、60年代のジェームズ・コバーン主演作の中では一番面白いと思う。 冷戦下のスパイ戦を扱ったアクション・コメディで、CIAが比較的平和主義のCEA、FBIが好戦的なFBRとして登場する。どちらかといえば逆のイメージだが、このころはまだ映画にCIAが登場すること自体珍しかったのかもしれない。 とにかくヒネリの効いた展開でテンポも良く、風刺も効いている。 コバーンは混乱して逃げ回る医者をユーモラスに快演、演技の幅の広さを見せている。 ラロ・シフリンの軽快なシネ・ジャズも魅力の一つ。賛美歌「もろびとこぞりて」が効果的に使われている。 シェイファー博士(ジェームズ・コバーン)は凄腕の精神分析医。 CEAの黒人エージェント・ドン(ゴッドフリー・ケンブリッジ)もクライアントの一人だ。 そのはシェイファーに合衆国大統領の主治医の話を持ちかける。 名誉な仕事に有頂天となるシェイファー。 恋人のナン(ジョーン・デラネー)との関係もうまくいって絶好調だ。 赤いライトの点滅が大統領の呼び出し、何をおいても駆けつけなければならない。 この赤いライトがやたらと点滅する。 真夜中だろうが、トイレだろうが、お構いなし。しまいにはレストランのスープまで点滅する。 そのうえ保安上の問題とかでナンと離れ離れにさせられシェイファーはノイローゼ気味。 ナンまで疑わしく見えてくるが、実は本当にCEAのエージェントだった。 周囲の人間が全て怪しく思えてきたシェイファーは思い余って失踪。 ホワイトハウスを見学に来た家族に同行してワシントンを脱出する。 合衆国大統領の秘密を知る男として全世界のスパイがターゲットとして彼を追う。 FBRはシェイファー暗殺指令を出し、それを知ったCEAはFBRの先を越すためドンを差し向ける。 夫婦と中華街で食事したシェイファーは路上で襲われるが、夫はやおら銃を取り出して敵を射殺、妻も空手で立ち向かう。 恐怖心に駆られ逃げ出したシェイファーはヒッピー・バンドの集団に紛れ込む。 長髪のカツラとサングラスで、すっかりヒッピー気分のシェイファー。 草原でグループの美女スノーホワイトと愛を交わすが、その周辺にも各国のスパイが。 スパイたちは次々に殺しあって、二人の周りには死体が数珠つなぎ。 最後にソ連のスパイ・クロポトキン(セヴァーン・ダーデン)が残るころには、二人も一戦終えて草原を立ち去っていた。 LSDでラリっているシェイファーをさらったのは、なんとカナダのスパイ。長年の友好関係にピリオドを打ち、優位に立とうというのだ。 現れたFBRのエージェントがカナダのスパイを射殺、ほっとするシェイファーだがFBRの目的はシェイファー暗殺だった。 クロポトキンはFBRを倒し、シェイファーをソ連に連れ去ろうとする。 一計を案じたシェイファーは得意の心理戦術でクロポトキンのトラウマをつき、ソ連行きを諦めさせる..。ソ連に渡ればシェイファーのカウンセリングを受けられなくなるのだ。 シェイファーとクロポトキンは赤い水上オープン・カーでアメリカに戻る。 クロポトキンによればFBRは独断で動いており、大統領に救いを求めれば助かるという。 公衆電話からホワイトハウスに連絡しようとするシェイファー、電話は切れてばかりでマトモにつながらない。 クロポトキンが両替に行っている間にシェイファーは公衆電話ボックスに閉じ込められ、ボックスごと連れ去られてしまう。 クロポトキンは地中からヘリで現れたドンと手を組んでシェイファーを捜す。 陰謀の黒幕は最低のサービスで国民の敵ナンバーワンとなっている電話会社TPCの社長ヒューズだった。 ヒューズはシェイファーに進言させて大統領の認可を得、国民全員の能に通信チップを植え込み、ハードのいらない通信を名目に国民を番号で扱い管理しようとしていた。 主治医がいなくなったら生きていけないドンとクロポトキンはTPC中央司令室に突入、シェイファーを救出。 シェイファーはアメリカの平和のため、TPCを壊滅させる決意だった。 マシンガンを手に行動を開始する三人。ヒューズは足にコードのついたロボットだった。 KTCの機能は停止、事後処理で大統領も多忙となり、シェイファーはナン、ドン、クロポトキンとともにクリスマスを祝っていた。 その映像を監視する男たち、その足からはコードが伸びているのだった。 余談=ジェームズ・コバーンは、この作品のロケで街中を走って逃げるシーンの撮影中、本当の事件と勘違いした警官に殴られるというトラブルに見舞われた。コバーンは痣をメイクで隠して撮影を続行。インタビューで「虚構の中で走っていたら、いきなり手痛い現実に引き戻され、本当にびっくりした」というようなことを語っていた。 |