原題 ; DUFFY(1968) |
監督 ; ロバート・パリッシュ |
脚本 ; ドナルド・キャンメル、ハリー・ジョー・ブラウン・ジュニア |
音楽 ; アーニー・フリーマン |
出演 ; ジェームズ・メーソン、ジェームズ・フォックス、スザンナ・ヨーク |
ジェームズ三人が共演って、どうでもいいか。 地中海を舞台にした犯罪アクションなのだが、前半はとにかくテンポが悪い。 洒落たつもりの後半も、たいして良く出来た展開とは思えない。 当時のファッションとかアートといった風俗的な面が見所といえばいえる作品。 大富豪カルバート(ジェームズ・メーソン)の長男ステファン(ジェームズ・フォックス)は、弟のアンソニー(ジョン・アルダートン)、恋人のセゴリーン(スザンナ・ヨーク)と組んで、父がオシリス号で海上輸送する100万ポンドの積立金を強奪する計画を立てる。 そのためステファンはタンジールのペテン師の異名を取る詐欺師のダフィー(ジェームズ・コバーン)を呼び寄せた。 後半で実行される現金強奪を見ると詐欺師の能力は必要ないと思えるのだが、単なる頭数ってことなのだろうか。 ダフィーの隠れ家には、当時のポップアートがゴチャゴチャ置かれていたりする。 とりあえず前半の見せ場はそれくらい。 ダイナマイトを手作りしているダフィーの元に、手配してあった死体が早くついてしまったり、使わないはずの銃火器をステファンたちが注文していたためもめたりとか、たいした事件は起こらない。 することがないのでダフィーはセゴリーンといちゃついたりしている。 とにかく実行日がやってきて、ステファンはユダヤ教司祭に、ダフィーはアラブ人に化けてオシリス号に乗り込む。 アンソニーは漁船でオシリス号を追う。 ダフィーたちは、ウェットスーツに仮面といういでたちで船員を襲撃。 金庫のナンバーが変えられていたため、船長を脅して電話でカルバートから聞き出させる。 ダフィーとセゴリーンは金を持って海に飛び込み、アンソニーの漁船に乗り移る。 ダフィーは身代わりに用意した死体に少しの金を持たせ、自分たちは船倉に格納してあったヘリコプターで脱出、漁船はダイナマイトで爆破する。 現金を海底に隠し、ヘリも沈めてしまい作戦は完了。 あとはステファンがナポリで金の両替交渉をするだけだ。 この強奪実行が最大の見せ場なのだが、あまり盛り上がらない。 メリハリのない軽い音楽も、さらに緊張感を失わせている。ジェリー・ゴールドスミスや、ラロ・シフリンなら、こんなことにはならなかったろうに。 結果を待つダフィーとセゴリーンの元にステファンからナポリでの交渉は失敗したのでベイルートに集合するという知らせが来る。 セゴリーンを残してダフィーが出発するが、途中でステファンから違う内容の電報が来る。 不審に思ったダフィーが引き返すと、セゴリーンは一人で出かけるところだった。 ダフィーが尾行すると、セゴリーンの密談相手はカルバート。 カルバートは、最初から計画を聞かされていて、これを利用して保険金詐欺を働いたうえで隠した現金も奪い返す予定だった。 有頂天のカルバートに警察署長が訪れ、強奪された金が見つかったという。 ダフィーが発見者になりすまして礼金をふんだくろうというのだ。 ダフィーは、まんまと警察署長立会いのもとで礼金5万ポンドを手に入れる。 セゴリーンに札束を一つ分け与えたダフィーは悠々と去っていくのだった。 ひねったつもりのラストなんだけど、持ち出す時間があったら隠し場所変えちゃえば全額手に入れられたんじゃないかと思えてしまう。 スタイリッシュには、程遠い出来栄えとなってしまった。 余談=ロバート・パリッシュ監督は、端役俳優、ジョン・フォード作品等の編集を経て監督として一本立ちしたが、これといった代表作のないままに1995年この世を去ってしまった。しいていえば共同監督した「007/カジノ・ロワイヤル」の知名度が高いが、あまり評価する気にならない作品ではある。 |