原題 ; HARD CONTRACT(1969) |
監督 ; S・リー・ポゴスティン |
脚本 ; S・リー・ポゴスティン |
音楽 ; アレックス・ノース |
出演 ; リー・レミック、リリー・パルマー、バージェス・メレディス、パトリック・マギー |
主役、敵役にかかわらず犯罪者役の多かったジェームズ・コバーンだが、雇われ殺し屋の役は本作のみとだと思う。 もともとコバーンは他人の指図を受けて行動するタイプのキャラクターが少ない。 そのためか本作も異色すぎる殺し屋映画となっている。 冒頭でコバーン扮する殺し屋ジョン・カニンガムは映画館で背後からターゲットを暗殺、なるほど殺人美学と思っていると話はどんどん変な方向に向かっていく。 カニンガムはラムジー教授(バージェス・メレディス)と呼ばれる組織のボスの命令で動いていた。 新たに三つの殺人を請け負ったカニンガムはスペインへ。 ここでカニンガムに惚れたシーラ(リー・レミック)が娼婦に化けて一夜を共にする。 殺しを終えたカニンガムがタンジールに立ち寄るとシーラが追ってきた。 シーラに惹かれ始め動揺するカニンガムはブリュッセルで第二のターゲットを倒すが、殺人に疑問を持ち始め自分の腕に自信がなくなって来ていた。 マドリードにいた第三の男マイケル(スターリング・ヘイドン)は、かってナンバーワンの殺し屋だった。 マイケルはカニンガムに正体を見破るが、すでに引退している彼は「たとえ正当防衛であっても、今さら人を殺したりする気はない」と言い放つ。 さらに真実を知ったシーラから、なぜ人殺しなんかするのかを問いただされたカニンガムは、仕事に嫌気がさし足を洗う決心をした。 カニンガムを引きとめようとやって来たラムジー教授にカニンガムは「人殺しなんかバカらしいよ」と言うと、皆で手に手をとって広場で踊り出すのだった。 足を洗おうとする殺し屋を描いた作品は数多いが、こんな能天気な展開は他にないんじゃないかと思う。 コメディーと言うわけでもなく単に気の抜けた作品となってしまった。 フラワー・ムーヴメントの影響が悪く出たと言うべきか。 余談その一=S・リー・ポゴスティンは本作が唯一の監督作品で、メインはく脚本家だったのだが本業でもろくな成果は残せなかった。一番メジャーな作品でさえ誰も覚えていなさそうなトム・セレック主演の「ハイ・ロード」。けっこう面白かったらしいが未見。 余談そのニ=この時期のジェームズ・コバーン出演作に異色作が多いことについて、持ち前の反骨精神と進取の気質から新人監督を応援して出演することが多く、その結果として異色作が増えたとしている記事を読んだことがあるが、真偽のほどは不明。 |