原題 ; A REASON TO LIVE、A REASON TO DIE(1972) |
監督 ; トニーノ・ヴァレリ |
脚本 ; トニーノ・ヴァレリ、エルネスト・ガスタルディ |
音楽 ; リズ・オルトラーニ |
出演 ; テリー・サバラス、バッド・スペンサー、ジョセフ・ミッチェル、ロバート・バートン |
「MASSACRE AT FORT HOLMAN」の別題あり。 「要塞攻防戦/命知らずのならず者」のタイトルでテレビ放映されたときに見た作品。 長い間ビデオ発売されていることを知らなかったので、ようやく全長版を見ることができた。 ジェームズ・コバーンがイタリアに出稼ぎしたB級アクション。南北戦争を舞台としているので、通常のマカロニ・ウェスタンや革命物とは少し趣の違う作品になっている。 正式にはフランス、イタリア、スペイン、西ドイツ合作という、すごい事になっているが別に大作というわけではない。 この手のイタリア映画としては、まずまずのアクション演出だが、ドラマ的には弱いという印象。 南北戦争も末期の頃、冷酷非情な南軍のウォード少佐(テリー・サヴァラス)は、広大な領地の支配者となるためホルマン砦を占領した。 敵に砦を明け渡して反逆者と呼ばれた北軍のペンブローク大佐(ジェームズ・コバーン)は奪還の計画をたてる。 ペンブロークは、昔馴染みのイーライ・サンプソン(バッド・スペンサー)を始めとする6人の死刑囚とブレント軍曹を部下にして出発する。 明け方、ペンブロークは馬を放してしまう。南軍の領地に北軍の馬では身元がばれてしまうというのだが、馬で区別がつくのだろうか。 ペングロークは、50万ドル相等の金が砦の日時計に埋まっていると、ならず者たちをたきつける。 一行は列車に潜り込んで敵の領地に侵入した。 彼らは南軍のふりをして農家で食糧を入手しようとする。だが、口をすべらせて砦を爆破しに来たことがばれてしまう。 納屋では仲間の一人マカーヴァが殺されていた。農家の者たちは旅人を殺しては持ち物を奪っていたのだ。銃声によって農家の者たちが射殺されたことを暗示している。 ペンブロークは、農家の盗品の中から南軍の制服ひと揃えと情報部の通行許可証を手に入れた。 町で馬や食糧を買い込む一行。北部の金を使ったことからペンブロークは南軍に止められてしまう。 イーライは南軍が勝利したと、でまかせで騒ぎ出す。町はお祭り騒ぎとなり、ペンブロークはどさくさにまぎれて逃げ出す。 いよいよ砦に接近した一行。ペンブロークの脱走を知ったウォードは捜索隊を出す。 南軍に化けたイーライは砦に潜り込むことに成功した。彼は砦に日時計などないことを聞き出す。ペンブロークの目的が金などではないと気づいていたイーライは驚きもしない。 砦の地下には北軍が用意した大量の爆薬がある。砦の出入り口である吊り橋の見張りについたイーライは糸をたらす。 崖下でペンブロークたちがその糸にロープを結びつけた。岩の割れ目に引っ掛かったりしながらもなんとかイーライが橋の欄干に結びつける。 ペンブロークを先頭に登っていく。 イーライは、もう一人の見張りから、ウォードに息子が人質に取られたため、ペンブロークが砦を明け渡したことを知る。しかもウォードは、その子を銃殺していた。 吊り橋には爆弾が仕掛けてあり、ウォードがレバーを引けば爆発する仕組みになっていた。 ポケットに入っていたサイコロから、イーライが別人の軍服を着ていることがばれてしまう。 イーライが連行された後、ペンブロークたちは残っていた見張りを殺して橋の上に出る。 ウォードに尋問されたイーライは、通行許可証を使って情報将校に成りすます。自分の所業が軍にバレるとまずいウォードは、イーライをスパイ容疑で処刑しようと企む。 だが、明け方にはペンブロークたちが攻撃を開始した。 ウォードは橋を爆破するが、すでにペンブロークたちが砦への地下道に入った後だった。彼らはガトリング砲を奪い、敵を倒していく。 ペンブロークの部下も一人また一人と南軍の銃弾に倒れていく。 地下道の側壁を爆破して通風孔を通ったペンブロークたちは砦の上部に到達していた。 見張りを倒し、手投げ弾で攻撃する。逃げまどう兵士がガトリング砲の餌食になっていく。 劣勢を悟ったウォードは砦の中に隠れた。 混乱の中、閉じ込められていたイーライが部屋を脱出。もう一丁のガトリング砲を奪う。 ブレントは降伏した兵士もガトリング砲で殺し続ける。結局生き残ったのはペンブローク、イーライ、ブレントの三人。 砦を鎮圧したペンブロークの呼びかけで、戦闘の終了を待っていたウォードが姿を現す。 いまだに金の話を信じているブレントが、隠し場所を教えろとペンブロークに威嚇射撃を仕掛ける。 イーライは、ブレントを撃ち殺した。銃剣を捨て捕虜になって生き延びるという姑息な手段を取るウォードに、ペンブロークは剣を突きつける。「仇を討つ」彼はウォードを刺し殺すのだった。 クライマックスにコバーンはピンクに縞模様のシャツ姿で活躍。いかにも彼らしいシャレっ気だが、目立ちすぎて最初に標的にされないのが不思議に思えてくる。 コバーンらしいカッコよさはあるものの、見せ場が少ないので物足りない印象を残す。復讐をもっと前面に出したほうが盛り上がった気がする。 バッド・スペンサー扮するイーライが儲け役で印象的なのだが、その他のメンバーの描き方はイマイチ。それぞれの個性を発揮するには至っていない。 テリー・サバラス扮する悪役が徹底した卑怯者として描かれているのが特徴だが、堂々とした悪役として対決してほしかった気もした。 多くの兵士を倒さなければならないので仕方ない部分もあるが、当時のマカロニ・ウェスタンでも使い古されていた感のあるガトリング砲を多用しているのも気になるところ。 このところ劇場未公開も含めてマカロニ・ウェスタンを続々DVD化しているレーベルもあるのでドサクサ紛れに発売されないだろうか。 余談=トニーノ・ヴァレリ監督作品は、それほど見ていないのだが「ミスター・ノーボディ」とか「サハラクロス」とかB級だけど何となく印象に残る作品を撮っていた。 |