原題 ; THE BALTIMORE BULLET(1980) |
監督 ; ロバート・エリス・ミラー |
脚本 ; ジョン・プラシア、ロバート・ヴィンセント・オニール |
音楽 ; ジョニー・マンデル |
出演 ; オマー・シャリフ、ブルース・ボックスレイトナー、ロニー・ブレイクリー |
かなり長い間、配給会社のラインアップに載っていたが、最終的には劇場未公開に終ってしまった作品。 ジェームズ・コバーンがビリヤードの達人に扮した、軽いタッチのギャンブル物。もちろんポール・ニューマンの「ハスラー」2作品とは全く関係ない。 ロバート・エリス・ミラー監督は、「愛すれど心さびしく」のような名編を撮ったり、「ブレンダ・スター」のような気の抜けた冒険アクションを撮ったりと、ムラの多い監督。今回は手際良く軽いテンポの演出で、なかなか楽しめる娯楽作品となった。 ニック・ケーシー(ジェームズ・コバーン)は「バルチモアの弾丸」の異名をとる凄腕のハスラー。かって雑誌に紹介されたのが自慢の種。 相棒ビリー・ジョー(ブルース・ボックスレイトナー)と活躍していた。 そこに脱税で投獄されていた大物ギャンブラー、ディーコン(オマー・シャリフ)釈放のニュースが入ってくる。 ディーコンと対戦して一稼ぎしようと意欲満々のニック。ディーコンは、ポーリーが主催するトーナメントの勝者と2万ドルを賭けて対戦すると言う。 一方、マックス(ジャック・オハローラン)という男がディーコンを付け狙っていた。彼は、5年前にディーコンに全財産を奪われ殺し屋だった。 ニックは、ポーリーから無料でトーナメントに参加できる約束を取り付けた。試合を中継するテレビ局が、二人の見栄えよさに注目して参加させるよう指示したのだ。 旅の途中で二人は自動車修理工を装ってカモを見つけるが、正体がバレてしまう。ビリー・ジョーが間一髪のとき、ニックは機転を利かせ警察を呼んで保護させる。 ビリー・ジョーは、慣れないポーカーに手を出して車まで取られてしまう。ポンコツ車で旅を続ける二人。 ニックは、酒場の歌手でビリヤードもうまいキャロライナ(ロニー・ブレイクリー)と知り合う。 ビリー・ジョーは女装の黒人胴元スノーホワイト(カルヴィン・ロックハート)の賭場でポーカーに手を出す。そこにはマックスもいた。一見の客は勝ち逃げさせない暴力賭場だった。 助けようと飛び込むニック。何とかスノーホワイトをぶちのめして金を奪った二人はキャロライナと彼女の馬を連れて旅を続ける。 いよいよ会場に到着、試合が開始される。 裏では優勝者をめぐって巨額の賭け金が動いている。 キャロライナはニックのために愛馬を質に入れディーコン戦の支度金を工面した。 決勝戦に残ったのはニックとビリー・ジョー。試合直前に乗り込んできたマックスはニックに負けろと脅迫する。穴のビリー・ジョーに賭けて一儲けしようというのだ。 1打目からミラクルショットを決めるニック。ビリー・ジョーも負けてはいない。次々と球を沈めて得点を重ねていく。息詰まる試合が展開、ニックに負ける気がないことを知ったマックスは、集まった賭け金の強奪を企む。金庫を爆破して金を奪い、ニックを殺して逃げる腹だった。 ビリー・ジョーは危険だから負けてくれと懇願するが、ニックは実力で勝てと言い放つ。 そこに警察の手入れが入った。マックスは慌てて導火線を消そうとするが間に合わず爆発。会場は大混乱となる。 ポーリ−もマックスも逮捕された。ニックたち三人は屋根裏に隠れて難を逃れた。逮捕劇は政界に顔の利くディーコンが、マックスを始末するため仕組んだのだった。 ディーコンは店に乗り込み、ニックとゲームを開始する。 実力では格上のニックだが、目の前に大金を積まれると緊張して実力を発揮できないという弱点があった。それを見越してトランク一杯の札束をちらつかせるディーコン。 ディーコンは大差をつけるが、ニックにも連続して得点すれば逆転のチャンスがあった。 そして夜が開け、ニックたち三人は大喜びで店を飛び出していく。 キャロライナは、手にした金で父親の店を買い戻すため故郷へ帰った。高級オープンカーに乗り込んだニックとビリー・ジョーは、南仏にガールハントしに行くかと大はしゃぎだった。 ディーコンとの勝負に具体的な描写がないのは、洒落た演出のつもりなのだろうが、せっかくの見せ場がカットされた気分になり、ちょっと物足りない。 ジェームズ・コバーンは、はまり役ともいえるキャラクターを気持ちよさそうに演じている。 その他の配役もなかなか上手く、それぞれのキャラクターが生きている作品となった。 |