原題 ; FAERIE TALE THEATRE;PINOCCHIO(1983)
 監督 ; ピーター・メダック
 脚本 ; マック・カーティス、ロッド・アッシュ
 音楽 ; スティーヴン・バーバー
 出演 ; ポール・ルーベンス、カールライナー、ジェームズ・ベルーシ
レーザーディスクまで発売されていたのに見逃していた作品。
ジェームズ・コバーンがゼペットじいさんを演じたのだと思っていたのだが、ピノキオをそそのかすジプシーの詐欺師役だった。
ゼペットじいさん(カール・ライナー)は木の操り人形を作る貧乏な職人。森で拾ってきた木で何を作ろうかと考えていると、その木が笑った。
特別な木だと思ったゼペットは、新しい人形を作る。一人暮らしの彼は、月に息子を授けてくれるよう願をかけた。
真夜中になり木の妖精ソフィアが現われて人形に命を与え動けるようにする(身体は木のまま)。
こうしてピノキオ(ポール・ルーベンス)は誕生した。親切で正直な良い子になれることを証明したとき、初めて本当の男の子になれる。
嘘をついたリ悪いことをすると鼻が伸びてしまうのだ。
ゼペットは息子ができたことに大感激。早速朝食を作ろうとするが、お金も食糧もなかった。
町で知り合いに頼もうと二人で出かける。ゼペットは穴の開いた上着を八百屋に買い取らせバナナを買う。
ゼペットが交渉している間にピノキオは果物をくすねてしまう。ゼペットに見つかったピノキオは拾ったと嘘をつく。すると鼻が伸び始めたので、あわてて本当のことを言って元に戻した。
ゼペットは、ピノキオに常識を学ばせるため学校にやることにした。
教科書を買いに出たピノキオを見た見世物小屋のジプシー(ジェームズ・コバーン)は良い出し物になると彼をだまして小屋に連れ込む。
猫と狐の出し物を見たピノキオは大喜び。ところがまた鼻が伸びたので逃げ出した。
ピノキオが困っているとソフィアが現われてゼペットに本当のことを言って謝るように言う。
だが、ピノキオはジプシーの手下ヴィンスとマリオ(ジェームズ・ベルーシ)に見つかってしまう。
二人は金を埋めると5倍に増える原っぱがあるとだましてピノキオを連れて行く。
戻らないピノキオを心配したゼペットは捜しに出た。
ピノキオに金を埋めさせた二人は嘘の帰り道を教えて迷わせてしまう。
ヴィンスとマリオは、ゼペットにピノキオが人魚を探しに海に行ったとだます。ゼペットはボートで海に漕ぎ出していく。
ようやく戻ったピノキオは、家でゼペットが海から帰るのを待つことにする。だが、またもやヴィンスとマリオに遊んで暮らせる楽しい土地に連れて行ってやるとだまされてジプシーのもとに連れて行かれる。
ジプシーは魔法でピノキオをロバに変えて見世物として売ろうと企む。
ジプシーが寝込むとソフィアが現われ、ゼペットがクジラに呑まれたことを告げる。(ただし、なぜか画面に写るのは、どう見てもシャチ)
ソフィアに姿を戻してもらったピノキオは脱走。
ジプシーは、ヴィンスとマリオが裏切ってピノキオを連れ去ったと勘ちがいした。彼は二人の首だけをロバに変えてしまう。
ボートでゼペットを捜し続けるピノキオは15日目にクジラに呑み込まれ、クジラの腹の中でゼペットと再会。
ゼペットは流れ込んだ難破船の荷物で暮らしていた。クジラが30分おきに潮を吹くことを知ったピノキオは、それに乗じて脱出した。
ゼペットは泳げないのだが、ピノキオが木製だったため浮いて助かった。
家に帰り着いたピノキオとゼペット。他人のことを思いやれるようになったピノキオをソフィアは本当の人間にする。
こうして嘘をつかない良い子になったピノキオはゼペットじいさんと幸せに暮らすことができた。
後にピーウィー・ハーマン役でブレイクするポール・ルーベンス。ロベルト・ベリーニに比べればピノキオらしく見える。
とはいえ子供には見えないので、容姿はティーンエイジャーだが、生まれたばかりで精神的には子供と説明されている。
ジェームズ・コバーンは悪役を楽しんで演じているように見える。
ピノキオの物語は、妙に教育的な面があり、子供には良いが、大人には少々物足りない気もする。特に今回は1時間でまとめているため、話をふくらませることができず、メリハリに欠けてしまっている。
(エロティックな衣装のブルーフェアリーにピノキオが悪い妄想をかきたてるごとに下半身が伸びてしまい、というアダルト版のパロディもあった気がするが)
配役の良さで楽しめる作品になったという印象が強い。
木の妖精(ブルー・フェアリー)を「私って、なんて善い人なんでしょう」と自画自賛する騒々しいオバサンキャラにしたことがアクセントか。
ブルーフェアリーを演じているのは、マーク・ウォルバーグの「ビッグ・ヒット」でフィアンセの母親を演じたレイニー・カザン。「ビッグ・ファット・ウェディング」でも健在ぶりを見せている。
監督のピーター・メダックは、インパクトの強いノワール「蜘蛛女」が代表作。
「フェアリー・テール・シアター」は女優のシェリー・デュヴァルが製作総指揮を務めたテレビ・シリーズで、毎回大物スターがゲスト出演していた。例えば「ナイチンゲール」はミック・ジャガーとアンジェリカ・ヒューストン、「三びきの熊」はテータム・オニール、キャロル・キング、ジョン・リスゴー、「美女と野獣」にはスーザン・サランドンとクラウス・キンスキーが扮するという具合。豪華なだけでなく、かなり通好みの配役。ぜひDVDボックス化してほしいソフトだと思う。
フェアリー・テール・シアター/ピノキオ