原題 ; DRAW!(1984)
 監督 ; スティーヴン・ヒリヤード・スターン
 脚本 ; スタンリー・マン
 音楽 ; ケネス・ワンバーグ
 出演 ; カーク・ダグラス、アレクサンドラ・バステード、グレアム・ジャーヴィス
カーク・ダグラス、ジェームズ・コバーンという往年のスターが共演したテレフューチャーのウェスタン・コメディ。
新しい時代が到来する中に生き残ってしまった古いアウトローを描いたコバーン主演作としては「ビリー・ザ・キッド21才の生涯」「大いなる決闘」に次ぐもの。どれもタイプの違う作品だが、それぞれに優れた出来栄えとなっている。
かってはハンサム・ハリーの異名をとった西部のアウトロー、ハリー・ホランド(カーク・ダグラス)。彼が老骨に鞭打って暴走馬車に飛び移り無事停車させるのがオープニング。
乗客はイギリスから来たシェークスピア劇団だった。
町に到着したハリー。酒場でポーカーをして有力者の息子レジーのフルハウスを、なんとストレート・フラッシュで負かしてしまう。
ハリーは手に入れた借用書を換金しようと銀行に向かうが、レジーが保安官を連れてきてしまった。
銀行に行かせまいとする保安官。ハリーは銃を向けられても動じず銀行へと入る。
換金して出たところをレジーが発砲したことから撃ち合いになり、ハリーは足を負傷。撃ち返したハリーは保安官を殺してしまう。
居合わせた劇団員のベス(アレキサンドラ・バステード)が、ハリーを自分の部屋に運ぶ。
町でリンチの集会が開かれていると知ったハリーはベスを人質にする。
怖気づいた町民たち。ハリーに対抗できるのは、かっての名保安官サム・スターレット(ジェームズ・コバーン)しかない。そう考えたウォリー(グレアム・ジャーヴィス)は、サムが引退後住みついているメキシコの町に向かう。
サムは、多くのならず者を殺した自責の念からアル中になっていた。
ウォリーは、サムを担架に縛り付けて無理矢理運び出す。酒を飲ませろと騒ぎ立てるサム。
一方、ハリーはベスと良い仲になっていた。
山賊に襲われたウォリー。よれよれのサムだが、銃の腕は衰えていない。山賊の帽子を5連発撃ち抜いてみせると、慌てて逃げていった。
サムのアル中を知られまいと、こっそり町に運び込むウォリー。
人質を案じる劇団長。その頃、ベスはベッドでハリーにまたがって絶好調だった。
朝になり交渉が再開されるが、サムはまだ使い物にならない。ウォリーは仕方なくサムを板に括りつけて窓に立て掛け登場させるが、結局支えきれずに倒れてしまう。
俺が顔の広いところを見せたいばかりにサムを連れ出したのが間違いだった。嘆くウォリーの姿に、サムもようやくやる気を出す。
サムの判断からすれば、今回はハリーの正当防衛。町民は野次馬根性で二人のガンファイトを見たがっているにすぎないのだ。
報酬2000ドルをふっかけるサム。復讐心に目がくらんだレジーはこの要求をのむ。
サムは説得してハリーに裁判を受けさせようとする。
こっちに乗り込んで飲みながら話してみろ、と啖呵を切るハリー。大喜びのサムが一目散に乗り込んできた。
駆けつけ3杯のサムを見て、彼のアル中を知るハリー。サムはベスを解放するように言うが、ベスは残ると言い張る。
思い出話に花を咲かせるハリーとサム。メキシコに逃げるというハリーに、サムは俺が止めると言い切る。
一杯やってご機嫌のサムを見て、彼のアル中を見抜いたレジーは、銃を突きつけ報酬の金を奪い返そうとする。だが、サムの早撃ちが火を噴き、レジーは留置場に入れられてしまう。
ハリーに公正な裁判を受けさせようとするサムだが、やって来たのは死刑好きで知られるフォーセットだった。フォーセットは以前ハリーに撃たれたことがあり、判決は死刑以外に考えられない。
ハリーは、裁判を受けずサムと自由を賭けて決闘することにした。
早朝、町民が見守る中、決闘が始まる。2つの銃が火を噴き、倒れたのはハリーだった。
俺が埋める、とハリーの遺体を馬車で運ぶサムとベス。
「誰かウィスキー飲む」ベスの言葉に、起き出すハリー。前方からの銃声に慌てて二人が銃を抜くと、それは自動車のバックファイアーだった。
というわけで、時代の変遷を印象づけるオチで幕となる。
カーク・ダグラスも悪くないのだが生真面目なところが出てしまい、コメディ演技ではコバーンが勝っている。
ラストは「ミスター・ノーボディ」「助太刀屋助六」など、良くあるパターンだが、演出のテンポが良く分かっていても楽しめるラストになっている。
自動車が製造され始め、馬の時代が終焉を迎えようとしている時代設定というのも、サム・ペキンパー作品を想起させて興味深い。
ザ・グレート・ファイター