原題 ; SINS OF THE FATHER(1985)
 監督 ; ピーター・ワーナー
 脚本 ; エリザベス・ギル、ジェフ・コーン
 音楽 ; シルヴェスター・リヴェイ
 出演 ; テッド・ワス、グリニス・オコーナー、マリオン・ロス
新人女性弁護士の成長を描いたテレフューチャー。クレジットでは3番目のグリニス・オコーナーが実質的には主役。
ケヴィン・ハリス(グリニス・オコーナー)は、新米弁護士。
辣腕で知られるフランク・マーチソン(ジェームズ・コバーン)の大手弁護士事務所に就職した。そこは、今は亡き父親の所属していた事務所でもあった。
父親の残した実績のおかげで始めから大きな仕事を任されるケヴィン。一仕事終えた後にフランクの自宅に連れ込まれデキてしまう。
だが、フランクは、ケヴィンの家族には評判が悪い男だった。
自信家で死を認めないフランクは、別居中の妻が死んでも葬儀には参列しない。
ケヴィンは、フランクと息子のグレッグ(テッド・ワス)の遺産相続問題を手がけることになる。
ときには個人のスキャンダルを利用して強引に海運会社の合併をまとめてしまうフランク。彼はグレッグに全財産を遺した妻の遺言に異議を唱えていた。
グレッグは、父親と全く性格の違う誠実な海洋学者だった。彼にドライブに誘われ、ケヴィンは海洋研究所を見学、その夜二人はデキてしまう。
ケヴィンは、人格者で理想を追い続けた父の影を追い続けていた。
クライアントの中には、ケヴィンの父は人間的には素晴らしいが、ビジネス・パートナーとしては野心に欠けていた言う者もいる。
フランクは、ケヴィンとグレッグが撮ったスピード写真を見つけ、二人の関係を知ってしまう。
グレッグと対立するフランクは、ケヴィンに別れさせようとする。
グレッグは、遺産相続問題を有利にするためケヴィンが接近したと思い込まされてしまった。
フランクの事務所を辞める決意をしたケヴィンは、フランクが合併した海運会社を大企業に売り渡そうとしている事実を突き止め、これをネタにグレッグに対する遺書の異議申し立てを撤回させる。
グレッグの元を訪れたケヴィンは、フランクの事務所を出て独立することを告げるのだった。
テレビ界を中心に手堅い活動を続けるピーター・ワーナー監督だが、本作はどうもピンとこなかった。
ヒロインが二人の男とそれぞれ出会ってすぐ寝てしまうので、尻軽に見えてしまうのが困りもの(しかも親子丼)。
人格者だった父親の影を追うようにして弁護士になったヒロインが、自分なりの道を見つけて再出発するまでを描いているのは分かるが、中途半端な印象でヒロインの成長ぶりが迫ってこない。
ジェームズ・コバーンは、極めて優秀な弁護士ではあるが、打算的で人間としての感情に欠陥のある男を、持ち味である洒落たセンスで包み、人物像に巾を与えている(憎まれ役としてはエゲツなさに欠ける気もしたが)。
余談=テッド・ワスは、ピーター・セラーズ亡きあとの「ピンク・パンサー5」でクルーゾー警部に変わる刑事に扮したが、ブレークできずシリーズに終止符を打ってしまった。フィルモグラフィーを見ると、90年代前半に俳優を引退、現在はテレビ・シリーズの監督として活躍しているらしい。グリニス・オコーナーは、1970年代に青春映画のヒロインとして活躍したが、その後は作品に恵まれず、すっかり地味になってしまった。
ストラグル