原題 ; HUDSON HAWK(1991) |
監督 ; マイケル・レーマン |
脚本 ; スティーヴン・E・テスーザ、ダニエル・ウォーターズ |
音楽 ; マイケル・ケイメン |
出演 ; ブルース・ウィリス、アンディ・マクダウェル、ダニー・アイエロ |
ブルース・ウィルス自身の原案による大スケールなおバカ・アクションコメディ。 レオナルド・ダ・ヴィンチは、研究中偶然にも鉛を金を変える装置を作り上げてしまった。 それから500年、シンシン刑務所を出獄する怪盗ハドソン・ホークことエディ・ホーキンズ(ブルース・ウィリス)。悪徳刑事ゲイツは、彼に一仕事させようとするが、ホークは足を洗う気でいた。 かっての相棒トミー(ダニー・アイエロ)と共同出資で出店した渋い酒場は、ヤッピー向けのおしゃれな店に改装されてて時代の流れを味あわされる。 そこに現れた地元ギャング、マリオ・ブラザーズ。彼らに脅され結局ヒトヤマ踏むことに。 ターゲットはダ・ヴィンチ製作の馬像スフォルツァ。 隣接したビルから綱渡りで忍び込み、防犯ビデオを巻き戻して再生、仕事を開始する。彼の仕事の仕方というのが、最初にかかる時間を決め同じ長さの歌を唄いながら盗むというもの。 ビデオのからくりを警備員に見破られるが、なんとか脱出に成功した。 マリオ・ブラザースの雇い主は英国の富豪らしい。利用されたゲイツは、富豪の執事にあっさり始末されてしまう。彼の目的は像の中に隠されたクリスタル部品だった。 翌日の新聞報道では盗みは失敗したことになっていた。不審に思ったホークはオークション会場に乗り込み、ヴァチカンから来た鑑定人アンナ(アンディ・マクダウェル)と知り合う。彼女の鑑定は間違いなく本物。 そこに乗り込んできたのは大富豪にして奇人ダーウィン(リチャード・E・グラント)とミネルヴァ(サンドラ・バーンハード)のメイフラワー夫妻。 突然、爆発が起こり会場は大混乱。爆発はすり替えの証拠を消すため、マリオ・ブラザーズが仕組んだのだった。 彼らは救急車でホークを連れ去る。ホークはカートで脱出。救急車は高速道路を飛び出して爆発した。一難去ったホークの前に現れたのはCIAのジョージ・キャプラン捜査官(ジェームズ・コバーン)。ホークを罠にはめてムショ送りにした張本人だ。その部下たちは菓子のコードネームを持つおバカ集団。 キャプランはホークをローマに送り込む。現れたのはメイフラワー夫妻。依頼はヴァチカンの教会からダ・ヴィンチの覚え書きを盗み出すことだった。 下調べでアンナと再開、デートの約束をする。彼女はヴァチカンの密偵だった。 ヴァチカン宛の地下郵便列車で潜入するホーク。覚え書きを盗み出し、警備員に追われながらも屋根づたいに脱出。 逃げ込んだ先はアンナと約束したレストランだった。二人は良い雰囲気になるが、アンナに盗み出した覚え書きを見つけられてしまう。 ヴァチカンはメイフラワー夫妻に狙いをつけており、ニセの鑑定もそのためだった。 アンナはホークを睡眠薬で眠らせてキャプランに引き渡す。キャプランはアンナをだまして協力させていた。アンナはキャプランの隠れ家でメイフラワーの愛犬を見かけ真相に気づく。 覚え書きにも部品が隠されていた。 メイフラワー夫妻の目的は鉛を金に変える装置で世界経済を壊滅させることだった。 最後の部品はダ・ヴィンチのヘリコプター模型にあった。 夫妻はトミーにホークを説得させる。二人は殺し合いになり、撃たれたトミーとホークはパトカーで運ばれる。これはアンナとトミーが仕組んだホーク救出作戦だった。 トミーは死に、ホークは逮捕されたとの情報を流すが、キャプランはパトカーがヴァチカン・ナンバーだったことに気づいていた。 キャプランはアンナを連れ去り、ホークとトミーを爆弾で始末しようとする。二人はキャプランの部下を倒し、間一髪脱出に成功した。 メイフラワーの居城に乗り込むホークとトミー。気づいたキャプランが迎え撃つ。メイフラワー夫妻は分け前を独り占めするため、キャプランの部下を殺し始める。 屋上で対決するホークとキャプラン。キャプランは空手の達人で、ホークはかなわない。だが、飛び蹴りを決めようとしたキャプランは、落ちた帽子を拾おうとしたホークを飛び越え転落。 トミーを乗せて暴走するリムジンの屋根に落下してしまう。「俺の年金はどうなるんだ」叫び声とともにリムジンは爆発、崖を落ちていった。 捕まったホークとアンナはメイフラワーのアジトへ連れて行かれる。部品の組み方が分からなかったため殺さなかったのだ。組み立ててみせるホーク。大喜びで装置を稼動させるメイフラワー夫妻。だが、ホークは部品を一つ抜き取っていた。 装置は崩壊を始め、ミネルヴァは溶けた金を全身に浴び固まってしまった。 ダーウィンも感電して死亡。執事もホークが首をチョン切り、襲いかかった犬は窓外に放り投げた。ついに大爆発となるが、ホークとアンナはダ・ヴィンチが発明したグライダーで脱出した。 無事着地して抱き合う二人のもとにトミーが現れた。「リムジンのエア・バッグで助かったよ」「焼け死ななかったの?」「スプリンクラー付きだった」。 かくして世界平和と錬金術の秘密は守られ、ホークはようやくカプチーノにありつくことが出来た。 ラストの落ちでは怒った観客が暴動を起こしたと噂され、5000万ドルの制作費に対して興収は1700万ドルに過ぎず、ラジー賞に6部門ノミネートされて3部門を受賞すると言う悪名高き作品。 個人的には結構お気に入りの作品で、100分のランニング・タイムにぎっしり中身を詰め、きちんとまとめてサーヴィス精神に満ちている。マイケル・レーマン監督は後年佳作「マイ・ジャイアント」を撮った。 ジェームズ・コバーンの最期は、「かわいい女」における師匠ブルース・リーに対するオマージュではないかと思う(やはり弟子だった脚本家スターリング・シリファントがブルース・リーのために書き足したキャラクターで、主人公フィリップ・マーロウに襲いかかる殺し屋。圧倒的なパワーで室内を破壊しまくるが、戦わないうちに勢いあまって窓から転落して死ぬ)。アンディ・マクダウェルまでおバカ演技を披露して楽しませてくれる。 ただし二人とも演技に品がありすぎ、サンドラ・バーンハードの濃さに画面を奪われている。スタンダップ・コメディアン出身という彼女は「アリーMY LOVE」「VIP」といったテレビ・シリーズのゲスト出演でも強い存在感を見せていた。 ハドソン・ホークがカプチーノになかなかありつけない、という繰り返しギャグはもっと回数織り込んだほうが、ラストで効果的になった気がする。 |