原題 ; THE PLAYER(1992) |
監督 ; ロバート・アルトマン |
脚本 ; マイケル・トールキン |
音楽 ; トーマス・ニューマン |
出演 ; ティム・ロビンス、グレタ・スカッキ、フレッド・ウォード、ウーピー・ゴールドバーグ |
脅迫された映画プロデューサーの犯罪をブラックユーモア・タッチで描いた業界物サスペンス。業界人間の群がる多くの人間をちりばめることにより、アルトマン監督が得意とする群像ドラマとして完成度の高い作品となっている。 ジョエル・レヴィンソン(ブライオン・ジョーンズ)が社長を務める大手映画会社には、新企画の売込みが絶えない。でも「新・卒業」とか「愛と哀しみの果て」+「プリティーウーマン」とか、なかなか新鮮なものはない。 若きプロデューサー、グリフィン・ミル(ティム・ロビンス)の元に2週間に5通の脅迫状が届く。どうやらシナリオを没にされたライターの仕業らしい。 彼は弁護士ディック・メロン(シドニー・ポラック)に相談する。 20世紀フォックスの重役ラリー・リーヴィ(ピーター・ギャラガー)の移籍も気がかりなところ。グリフィンは、過去に届いたシナリオの作者を調べ始める。目星を付けたのはデヴィッド・ケへイン(ヴィンセント・ドノフリオ)。 デヴィッドはジューン(グレタ・スカッキ)と同棲中だった。 グリフィンはデヴィッドに接近、仕事の依頼をして脅迫をやめさせようとする。だが、デヴィッドの機嫌は悪く、駐車場で争いになり、はずみでグリフィンはデヴィッドを殺してしまう。我に返って強盗の犯行を偽装する。 会議でラリーは「脚本に金を出すなど無駄だ」と言い出し、新聞記事からストーリーをでっち上げようとする。 グリフィンの元に、デヴィッド殺人の件で会社の警備主任ウォルター・スタッケル(フレッド・ウォード)がやってくる。彼は事件当日のグリフィンの行動を調べ上げていた。しかもそこに「俺はまだ生きている」と書かれたファックスが送られてくる。 デヴィッドの葬儀でグリフィンはジューンに接近する。彼女は芸術家だった。 スーザン・エイヴァリー刑事(ウーピー・ゴールドバーグ)が取り調べにやってくる。 グリフィンは、トム・オークリーという作家から女死刑囚と検事とのラヴ・ストーリーのアイデアを聞かされる。処刑当日、真相が分かり無実が証明されるのだが間に合わずヒロインはガス室で死んでいく、というシリアスなストーリーを無名スターで映画化したいというのだ。 グリフィンが車に戻ると、クリスマス・プレゼントと書かれた箱にガラガラ蛇が入っていた。彼は蛇をレンチで殴り殺す。 グリフィンは、ラリーにトムを紹介する。ストーリーは気に入るが、ノー・スターでの製作には難色を示す。実はグリフィンはこのストーリーを駄作と考えており、ライバルのラリーを罠にはめる気なのだ。 さらにグリフィンへの脅迫は続く。彼は、恋人で部下のボニーを出張させ、ジューンとデートする。 グリフィンは、スーザン刑事に呼び出され、ジューンとの関係を追及される。彼はジューンを連れ、偽名で砂漠の温泉地へと旅行に出る。 そこにディック弁護士から社長失脚の連絡が入る。社長の座を手に入れるチャンスだが、事件の目撃者が現れ面通しすることに。 結局目撃者が選んだのは事件を担当する刑事だった。 グリフィンは無罪放免。誰もが彼を疑っているが、証拠は出なかった。 1年後、グリフィンは社長の座に着き、例の作品が試写されていた。ガス室へと向かう役はジュリア・ロバーツ。見守るピーター・フォークとスーザン・サランドン。そこに駆けつけガス室をぶち破り救出する検事ブルース・ウィリス。ラリー製作によるハッピーエンドのスター映画と化していた。 この結末に反対したボニーは首になる。 ある日、ラリーが電話で新人脚本家を紹介してくる。その男が語り始めたストーリーは、脅迫された映画プロデューサーが人違いで脚本家を殺し、被害者の恋人と結ばれるというもの。題して「ザ・プレイヤー」。グリフィンは、その男に金を支払う約束をするのだった。 楽屋落ち的要素も多いが、スパイスの効いたストーリーと演出で楽しめる作品になっている。 ロバート・アルトマン監督は「マッシュ」で名を成した大御所ともいえる存在だが、出来栄えにはムラが多く、カントリーウェスタンのフェスティバルを扱った「ナッシュビル」以降は、低迷気味だった。そのアルトマン監督が、カンヌ映画祭で受賞し健在ぶりを示したのが本作。これ以後の作品では、多分雇われ仕事と思える「相続人」はダメだったが、「クッキー・フォーチュン」が面白かった。 今回カメオ出演しているのは主な顔ぶれはジュリア・ロバーツ、ブルース・ウィリス、バート・レイノルズ、アンジェリカ・ヒューストン、ジョン・キューザック、ジャック・レモン、アンディ・マクダウェル、シェール、ピーター・フォーク、スーザン・サランドン、リリー・トムリン、ミミ・ロジャース、ハリー・ベラフォンテ、ジェームズ・コバーン、ルイーズ・フレッチャー、スコット・グレン、ジェフ・ゴールドブラム、エリオット・グールド、サリー・カークランド、マルコム・マクダウェル、ニック・ノルティ、ロッド・スタイガー、パトリック・スウェイジ。皆、実名で登場している。 ちなみにジェームズ・コバーンは、パーティーの客としてタキシード姿で数カット登場。演じているというよりは、写り込んでいるという印象だった。 |