原題 ; DEADFALL(1993)
 監督 ; クリストファー・コッポラ
 脚本 ; クリストファー・コッポラ
 音楽 ; ジム・フォックス
 出演 ; マイケル・ビーン、サラ・トリガー、ニコラス・ケイジ、ピーター・フォンダ
集団詐欺チームの男を描いた犯罪ドラマ。
クリストファー・コッポラは、フランシス・コッポラの甥で、ニコラス・ケイジが兄。弟のマイク・コッポラも顔を出しているらしい。
叔父の七光か、やけに豪華な顔ぶれで、なぜか元モンキーズのミッキー・ドレンツも出演している。
ジョー・ドラン(マイケル・ビーン)は詐欺師チームの一員。
ニセの麻薬取引でカモを誘き寄せ、仲間が警察に扮して踏み込む。
銃撃戦で死人も出たふりをする。現場を逃げ出したカモは、金は失ったが逮捕されなかっただけマシと思い込む。
という、よくある筋書きで大成功と思いきや、空砲のはずのジョーの銃に実弾が入っており、ボスで父親のマイク(ジェームズ・コバーン)は「俺の兄の元へ行って、ケーキを取り戻せ」と言い残して死んでしまう。
ジョーは、仲間のピート(ピーター・フォンダ)に町を出るよう勧められ、一人ロスにいる叔父のルー(ジェームズ・コバーン二役)を訪ねる。
ルーも地元詐欺チームのボス。早速、ジョーはチームに加わるが、ルーの子分ヤク中のブチ切れ男エディ(ニコラス・ケイジ)は内心穏やかでない。
ジョーとエディは、エディの恋人ダイアン(サラ・トリガー)を加えて酒場の女将(タリア・シャイア)相手にケチな詐欺を働く。エディはセコイ詐欺しかできない男だった。
機転の効くジョーは取り立ての仕事もきっちりこなす。
やがてジョーはダイアンとできてしまう。
エディは、取立てがヤラセで、実はジョーが自腹を切って信用を得、自分を追い越す気だと知って激怒。そのうえルーの差し金という男に襲撃される。
ルーがダイアンに手を出したと思い込んだエディは、銃を手にルーの家を襲う。彼はルーを縛るが、ジョーが駆けつけてきた。もみ合った末、ジョーは、カツラの取れたエディーの顔を煮えたぎったフライヤーにつけて殺す。
信頼できる部下のいなくなったルーは、次の大仕事の相棒をジョーに決める。仕事の内容は父マイクと似たり寄ったり。
ある日、ジョーはルーから、かってジョーの母親を兄弟で争った話を聞かされる。ルーはケーキの模型に隠した婚約指輪まで用意していたが、渡すことなくマイクに先を越されたのだった。
ジョーはモーガン・グリップ(チャーリー・シーン)とビリヤードで勝負する。ビリヤードの得意でないジョーが勝てるはずもなく大負け。掛け金の代わりに時計を渡す。
もちろんわざとで、グリップのボス、ライムに接近するためだった。ジョーは彼にダイヤの取引を持ちかける。
ジョーは、この大仕事が終わったらダイアンのために足を洗うつもりだった。
いよいよ実行の日、ジョーは、テキサスの金持ちに扮したルーの体から隠しマイクを発見し空砲で撃つ手筈だった。だが、父のときの記憶が甦り撃つことができない。
ルーはライムの部下に射殺され、銃撃戦が始まった。
金の入ったトランクを持って逃げ出すジョー。その前に現れたのはマイクやピートたち。全ては父マイクの企み、ダイアンもマイクの一味だった。
メンバーが去って二人きりになったとき、怒ったジョーは父親に銃を向ける。マイクは、取引の最中にルーが母親を殺したのだと弁解するが、もう何も信じられなかった。
ジョーがマイクの手を撃つと、落ちたトランクから札が散らばった。
必死に札をかき集めるマイクの無様な姿を背にジョーは正直に生きることを誓って立ち去るのだった。
顔ぶれの多彩さもあって見飽きなかったが、ストーリーは少々雑。
ラストでマイクが「完璧な仕事だった」なんて自慢するが、実際は偶然性に頼った部分が多く御都合主義の印象が強い。
ジェームズ・コバーンは、カツラを使って2役を演じ分けているが、一人の女性を巡って起きた兄弟の確執というテーマが描ききれていないので、強い印象を残すキャラクターではなくなってしまった。
主人公がモノローグで、あれこれ語るのもハードボイルドな雰囲気を狙ったのだろうがはずしている。
ニコラス・ケージの、妙なカツラをかぶった超怪演は一見の価値があるかも。少なくとも単なる珍演に終始した「バンパイア・キッス」の演技よりは面白かった。
プロフェッショナル