原題 ; MAVERICK(1994) |
監督 ; リチャード・ドナー |
脚本 ; ウィリアム・ゴールドマン |
音楽 ; ランディ・ニューマン |
出演 ; メル・ギブソン、ジョディ・フォスター、ジェームズ・ガーナー |
1950年代に人気を博したテレビ・シリーズの映画版、ということなのだが、かなりイメージの違う作品になっているらしい。オリジナルでは拳銃使いとギャンブラーの兄弟を主人公にしていたようだが、映画では二人のキャラクターを合わせて一人にしている。 クリスタル・リバーにやってきたブレット・マーヴェリック(メル・ギブソン)は、4日後に開催されるポーカー大会への出場を狙っていた。そのためには参加費2万5千ドルの不足分3千ドルを調達する必要があった。 そこで出会ったのが女ギャンブラー、アナベル・ブランスフォード(ジョディ・フォスター)。 アナベルは大勝ちしたマーヴェリックに迫るが、狙いは彼の財布だった。 尻尾を押さえたマーヴェリックは、彼女に大切にしているツキを呼ぶ幸運のシャツを洗濯させる。ところがシャツは見事に縮んでしまった。 二人がもめているところに現れたのが保安官ゼーン・クーパー(ジェームズ・ガーナー)。 三人連れになって馬車に乗ったら、荒野の真ん中で御者が心臓発作を起こして死んでしまい大暴走。マーヴェリックは悪戦苦闘して御者台に這い上がる。次は馬に飛び移ってどうにか崖っぷちで止めることができた。 御者を埋葬して旅を続けると、3万ドル奪われたという伝道者の幌馬車隊に出くわす。謝礼欲しさに追跡を始めるマーヴェリックたち。 強盗団のねぐらを見つけ、マーヴェリックが単身忍び寄るハメに。撃ち合いになると、ゼーンがこっそり助けたりする。 だが、結局人の良いマーヴェリックは伝道者から金を受け取ることができない。アナベルは手に入れそこねた分け前をせびる。 そこに現れたインディアンの集団。実はマーヴェリックの顔見知りなのだが、彼以外言葉が分からないのを良いことに一芝居打つ。自分が人質になるふりをして、二人と別れようというのだ。 インディアンのリーダー、ジョセフはすっかりアメリカナイズ(?)されているのだが、ロシア人観光客のためにコスプレしているのだ。 ジョセフは、ロシア人に死にかけたインディアンを2千ドルで殺させると持ちかける。マーヴェリックがインディアンに化けて芝居した。千ドルの分け前、あと二千ドルで試合に参加できる。 ポーカー会場となる豪華外輪船ローレン・ベル号に辿り着きアナベルと再会するが、二人とも参加費用が足りない。 そこに居合わせたのが例のロシア人観光客。マーヴェリックは役人のふりをしてインディアン殺害で脅し、二人の参加費分を巻き上げた。 ついにローレン・ベル号船主デュヴァル提督(ジェームズ・コバーン)主催のポーカー大会が始まった。 警備担当はゼーン保安官。参加者人の参加費50万ドルを最終勝利者が総取りするのだ。 順調に勝ち進むマーヴェリック。ゼーンは次々とイカサマをあばき違反者を川に叩き込む。 提督とアナベルも決勝戦に勝ち残った。 ところが休憩時間中にマーヴェリックは船室に閉じ込められてしまう。船窓から外輪を伝わり、なんとか時間に間に合った。 まずマーヴェリックに癖を読まれたアナベルが敗退。いよいよ最後のゲーム。提督はフォーカード、もう一人のエンジェルはイカサマでストレート・フラッシュ。マーヴェリックは手を見ずに全額を賭ける。 彼は信じれば願ったカードが引けると試し続けて一度も成功したことがなかった。最後の一枚がスペードのエースならばローヤル・ストレート・フラッシュ。 マーヴェリックは念じカードを開く。それはスペードのエースだった。 銃を抜くエンジェルとその手下。だが、ゼーンとマーヴェリックの銃が早かった。 そして賞金の授与式。突然銃を抜いたゼーンが50万ドルを奪っていく。 ボートで逃げるゼーンを提督が狙撃しようとする。止めたのはマーヴェリックだった。「彼は命の恩人だし、金はまた稼げば良い。いさぎよいマーヴェリックの言葉に提督も客たちも感心する。 次の夜、森でキャンプするゼーンの姿があった。そこに現れたのが提督。二人はグルだった。 提督は独り占めしようと銃を抜く。だが、その背後でマーヴェリックが銃を突きつけた。 マーヴェリックは金を奪い、殺し合いをしろと銃を一丁放り投げて去っていく。 銃を取ったのは提督だったが、弾は空だった。ゼーンは彼を張り倒す。 マーヴェリックが公衆浴場で寛いでいるところに銃を構えたゼーンがやってきた。実は二人は親子だった。大掛かりなイカサマで大金を手にした二人は並んで入浴。 そこにアナベルが登場。彼女は二人が同じ歌詞の間違いをしていることから親子だと見破っていた。金の入ったバッグを取ると浴槽の下半身を覗き込み。「ほんとにそっくりね」と言って去っていくのだった。 だが、アナベルが持ち去ったのは半分。残りの25万ドルはブーツに隠してあった。 「どうやってエースを引いた」父親の質問に、マーヴェリックは「魔法さ」と答えるのだった。 なかなか楽しい作品でテンポも悪くないのだが、内容の軽妙さを生かすためには、もう少し短めにまとめた方が良かった気がする。 メル・ギブソンがトボけた2枚目ぶりを披露するが、軽妙な演技という点ではジェームズ・ガーナーに一日の長があると感じた。 当時コメディがやりたくてシナリオを捜していたというジョディ・フォスターも、軽快なフットワークを見せている。 ジェームズ・コバーンは、この時期多く演じた表面は紳士だが実態は、という役柄。今回はコメディということで、本人も楽しんで演じているように見える。 この作品には、往年の西部劇スターやカントリー・ウェスタンの歌手が大挙してカメオ出演しているそうなのだが、残念なことに馴染みのない人ばかりで全然分からなかった。 余談=コバーンとガーナーは「大脱走」「卑怯者の勲章」に続く3度目の共演ということになる。親交があったのか、その間にコバーンはガーナーの代表作であるTVシリーズ「ロックフォード氏の事件メモ」の1エピソードを監督している。 |