原題 ; THE SET UP(1995)
 監督 ; ストラスフォード・ハミルトン
 脚本 ; マイケル・トーマ
 音楽 ; コンラッド・ポープ
 出演 ; ビリー・ゼーン、ミア・サーラ、ジェームズ・ルッソ
出所した元泥棒が犯罪に巻き込まれていくジェームズ・ハドリー・チェイス原作による犯罪サスペンス物のテレフューチャー。
作品自体は悪い出来ではないのだが、ビデオタイトルはなんとも面白みがないうえにネタバレ。WOWOWでの放映時は「官能の罠」というタイトルだった。
チャールズ・ソープ(ビリー・ゼーン)はセキュリティに精通した盗みのプロ。
逮捕されたときに相棒で妻のエリザベスを射殺された。
出所して足を洗い警備会社の設備工事作業員をしていたが、銀行頭取ジェレマイア・コール(ジェームズ・コバーン)に腕を買われ、改装している銀行の警備システム設計責任者にスカウトされる。
ある日、チャールズはパーティーでジーナ(ミア・サーラ)と知り合う。彼はミステリアスなジーナの魅力に惹かれ関係を持つ。
チャールズは、ジーナが刑事だと言った男と浜辺で殴り合いになり気絶してしまう。
翌朝、気がつくとジーナの姿はなく、車のトランクには男の死体があった。
そこにクリフと名乗る男(ジェームズ・ルッソ)が現れ、ジーナを助けたければ指示に従えと脅迫。死体も始末する。
チャールズの読み通り、クリフの狙いは銀行だった。一旦は断るのだが、ジーナに銃を突きつけられ同意するしかなかった。
クリフは連邦準備銀行の査察官に化けてチャールズに案内させ、銀行の警備システムを下見する。
決行は次の土曜日。チャールズは見事な段取りをクリフとその手下たちに説明する。
その夜、クリフの隠れ家に忍び込んだチャールズは、ジーナを助け出す。気づいて追いかける手下たち。
一旦は駐車場で手下たちの車を撒くが、結局捕まり、クリフはジーナは見せしめに殴る。
だが、それは芝居。ジーナはクリフの愛人だった。
そうとは知らぬチャールズは計画を決行、警備システムをかいくぐって金庫室へと向かう。
チャールズが高圧電気を切り、別ルートからクリフたちも侵入した。
金庫のコードが変更されていたため、手下のレオンがバーナーで焼ききり金庫を破った。
その隙に室外に出たチャールズは一味を金庫室に閉じ込めて脱出した。
ジーナを助けに戻るチャールズ。逃亡の準備をして待っていたジーナは目を丸くする。
そこに現れたのは黒幕のコールだった。この犯罪は、使い込みをごまかすために彼が仕組んだのだ。盗んだ金額に横領した分を上乗せしてうやむやのしてしまう計画。
まさかチャールズが金を盗まずに戻ってくるとは思っていなかったのだ。
恋人を助けるためジーナはコールを射殺、チャールズに銃を突きつけ金庫へと戻らせる。
チャールズは、わざと警報を鳴らし警備員を呼び寄せた。
銃撃戦となり、クリフは電動で閉じる金庫の扉に挟まれて死ぬ。
気の動転したジーナは、チャールズの制止を聞かず高圧電線に触れて命を落とした。
「君の設計通り誰も出られなかったな」警備員の言葉を背に、肩を落としたチャールズは立ち去っていくのだった。
テレビ用の作品なのでスケール感はないが、すっきりまとまってそれなりに楽しめる犯罪ドラマになっている。
原作の内容は知らないが、ハドリー・チェイスらしい悪女物という気がした。
ジェームズ・コバーンは、またも一見紳士だが実はという役。得意となった役柄をきっちり演じているが、特別に印象的な場面はなかった。
悪い女