原題 ; THE CHEROKEE KID(1996)
 監督 ; パリス・バークレー
 脚本 ; ティム・カズリンスキー、デニス・デクルー
 音楽 ; スタンリー・クラーク
 出演 ; シンバッド、グレゴリー・ハインズ、バート・レイノルズ、アーニー・ハドソン
コメディ・タッチのウェスタン・テレフューチャー。
チェロキー・キッド(シンバッド)が葬儀屋と呼ばれる殺し屋(グレゴリー・ハインズ)との決闘に破れ、葬儀が行われる場面から始まる。
メキシコの自称英雄コルティナがチェロキー・キッドの物語を始めた。
キッドは本名をアイゼイア・ターナー。実家が鉄道の敷設予定地にあったため、地上げを図る悪党どもに両親を殺されてしまう、彼はどうにか逃げ延びた。
黒人牧師の元に身を寄せ18年が経った。ある日、犯人グループのボス、ブルーミントン(ジェームズ・コバーン)が市長選に立候補としていることを知る。彼は復讐を決意して旅に出た。
実のところアイゼイアは不器用で馬にも乗れない臆病者。
腹がへって七面鳥を追いかけた先で黒人娼婦を襲っていた男と揉め事になる。七面鳥を投げつけたら男の銃が暴発、男は死んだ。
男は強盗団のボスだった。後から来た仲間たちをなんとか誤魔化すが、一緒に銀行強盗するハメに。
あっさり捕まったうえ、ブルーミントンの部下ボナーに正体を見破られてしまう。なんとか逃げ出したアイゼイアは、演説中のブルーミントンを見つけ狙撃しようとするが弾が入ってなかった。またも逃げ延びるアイゼイア。
彼は山男カワウソ・ボブ(バート・レイノルズ)と暮らすことになる。ボブはエロ本読みたさに文字を教えて欲しいとアイゼイアに頼む。代わりに彼はボブから投げ斧や狩りなど様々なサバイバル術を伝授してもらう。
一方、ブルーミントンはアイゼイアに千ドルの賞金をかけボナーに追わせていた。
初めて酒を飲んだ彼はボブのホラ話を真に受けてボロボロになりながら素手で熊を倒す。
やがてボビーに追いつかれた二人。ボビーの部下たちは倒したが、ボブはアイゼイアをかばおうとしてボビーに撃たれ命を落とす。この場面でボビーはトラバサミの罠に掛かるのだが、アイゼイアはなぜか見逃す。理由不明。
新たな旅に出たアイゼイアは、首まで地中に埋められた自称メキシコの偉大な愛国者コルティナを助ける。
二人で旅することになってエルパソに到着。ボビーに捕まり牢屋に入れられる。ここで有名な黒人アウトロー、ナト・ラブ(アーニー・ハドソン)と出会う。彼はアイゼイアの行方不明だった兄ジェドが葬儀屋と決闘して死んだことを伝える。
やってきたブルーミントンはアイゼイアの首吊りを決めるが、その夜コルティナが救出してくれた。
二人はナトのアジトに身を置くことになった。ここでアイゼイアは銃と乗馬を修行する。ついでにキップのいい女ギャング、マリーに筆おろししてもらう。
アイゼイアは一人前と認められチェロキー・キッドを名乗り、ナトたちとブルーミントンの銀行を襲う。
キッドはナトと別れ、コルティナと二人で挑発のためブルーミントンの銀行を襲い続ける。
頭にきたブルーミントンは賞金を5千ドルに吊り上げ、葬儀屋たち殺し屋を呼び寄せる。
たまたま立ち寄った牧場で、キッドは賞金目当ての娘アビーに捕まりそうになるが、彼はすっかりアビーが気に入ってしまった。
ここでコルティナの話は終わり。
キッドの棺桶が埋葬されることになる。今度は葬儀屋が話し始めた。彼は決闘の時キッドに会って、彼が弟だと知った。葬儀屋こそキッドの兄ジェドだった。
キッドもこのことに気づき一芝居うったのだ。棺桶から飛び出すキッド。ナトやアビーも加わってブルーミントン一味と銃撃戦となる。
ナトは命を落とし、コルティナも負傷するが、キッドとジェドは敵を殲滅。キッドは逃げようとするブルーミントンを追いつめた。命乞いをするブルーミントンに、キッドは「哀れな年寄りだ、撃つまでもない」と背を向ける。ブルーミントンはチャンスとばかりに銃を抜くが、振り向いたキッドは彼を仕留める。キッドを後ろから狙ったボビーもジェドが倒した。
ジェドはいざこざから、自分が死んだことにして葬儀屋と名乗っていたのだ。
ナトの埋葬を終えたキッドは、ジェド、コルティナ、アビーとともに旅立つのだった。
90分強のランニング・タイムに多くのエピソードを織り込んでいるため、駆け足になった印象だが、その分テンポが良く、気楽に楽しめる作品。
キャスティングにもなかなか魅力があり、出番は少ないがバート・レイノルズのコミカルな演技も良い。
ジェームズ・コバーンは貫禄ある紳士だが、実はセコイ悪党という「マーヴェリック」の提督の延長線上にあるキャラクター。余裕たっぷりに演じているが、「大いなる決闘」のような凄味と洒落っ気をあわせ持った役が晩年になかったのは残念。
バッドアウトロー