原題 ; PAYBACK(1999) |
監督 ; ブライアン・ヘルゲランド |
脚本 ; ブライアン・ヘルゲランド、テリー・ヘイズ |
音楽 ; クリス・ボードマン |
出演 ; メル・ギブソン、ゲレッグ・ヘンリー、マリア・ベロ、クリス・クリストファーソン |
「LAコンフィデンシャル」(1997)でアカデミー脚色賞を獲得した脚本家ブライアンヘルゲランドの監督第1作。 リチャード・スタークのチンピラ小説「悪党パーカー」シリーズより映画化。完成試写を見たメル・ギブソンが「俺がチンピラに見える」とクレームをつけ撮り直しを命じたことでも有名。 ケチのついた作品ということで危ぶまれたが、意外とヒットした。 ジェームズ・コバーンは、この撮り直しで参加したためノー・クレジットとなっている。 ポーター(メル・ギブソン)は、弾丸をくらって闇医者にかかり5ヵ月後完治した。 彼は元妻リン(デボラ・カーラ・アンガー)のアパートに忍び込み、帰宅を待ち伏せる。彼女はすっかり麻薬常習者に成り果てていた。 ポーターは麻薬を絶つように言うが、リンは隠し持った麻薬を射ち、翌朝には死んでいた。 5ヶ月前、ポーターは仲間のヴァル(グレッグ・ヘンリー)と組んでチャイニーズ・マフィアから金を奪った。ポーターの取り分は7万ドル。だが、借金をかかえたヴァルが、リンと組んで裏切ったのだ。 ポーターは、リンに金と麻薬を届けに来たチンピラから雇い主アーサー・ステッグマンの居所を聞き出す。 次にステッグマンを脅しヴァルが組織に金を返して町にいると知った。 ステッグマンはヴァルに連絡を取る。ヴァルはポーターが生きていたことを知り怯えた。 一方、ポーターは昔の女ロージー(マリア・ベロ)を訪ねる。彼女は組織に属する娼婦。ポーターはヴァルの住むホテルを教わる。 ポーターはヴァルの部屋に忍び込む。彼はSM女王タイプの娼婦パール(ルーシー・リュー)と寝ていた。銃を突きつけられヴァルは、ポーターの取り分7万ドルを返す約束をする。 ヴァルは、組織の幹部カーター(ウィリアム・ディヴェイン)に泣きつく。カーターは、たかが7万ドルで騒ぐ野良犬は早めに始末しろと指令を出した。 ヴァルは、金の受け渡し場所をパールの仲間たちに襲撃させる。車に弾き飛ばされて路面に転がるポーター。 そこに警察が駆けつけた。悪徳警官二人組ヒックスとラーリー。彼らも金の匂いを嗅ぎつけて鼻を突っ込んできたのだ。 ポーターをつけたヴァルは、彼がロージーと会っていることを知る。 ヴァルはロージーの部屋を襲う。そこに駆けつけたポーターはヴァルから幹部カーターの居所を聞き出して射殺した。 ポーターはロージーを連れて安ホテルに移動するが、すでに爆弾が仕掛けられていた。見張りの連中を見つけたカーターは、背後から忍び寄りガソリンに引火させて返り討ちにする。 組織の事務所に乗り込んだポーターは、手下を殴り倒しカーターに迫る。ポーターは大幹部のブロンソン(クリス・クリストファーソン)に連絡を取らせた。 ブロンソンが7万ドルの返却を断ると、ポーターはカーターを射殺する。 ポーターはロージーに手伝わせてブロンソンの息子ジョニーを誘拐。そのうえでヴァカンスから帰ってきた、もう一人の幹部フェアファックス(ジェームズ・コバーン)の邸宅に押し入る。 ポーターはブロンソンに連絡を取らせ、息子の誘拐を伝える。 フェアファックスは、7万ドルに命を賭けるポーターに「俺のスーツの値段だ」とあきれる。 一方、ヒックスとラーリーはポーターの罠にはまり、ヴァル殺害容疑で検挙された。 刑事と組んでいたステッグマンは、ポーターを組織に売って金にしようと捕らえる。そこにパール一味が銃撃してきた。 ステッグマンを盾に逃れたポーターは逆襲。チンピラどもを蜂の巣にする。一人生き残ったパールが銃を突きつけるが、すでに空。ポーターも撃ち尽くしていた。 そこに現れたフェアファックスの部下が、パールをぶん殴りポーターを拉致していく。 倉庫で拷問に掛けられるポーター。ブロンソンは、ポーターの足指を次々とハンマーで潰させる。 ついにジョニーの居場所を教えるポーター。ブロンソンとフェアファックスはホテルの部屋へと向かう。 車のトランクに閉じ込められたポーターは、バックシートを破って脱出。車内電話を部屋にかける。部屋は無人だった。電話に出るブロンソン。電話に連動した爆弾が仕掛けられたままになっていた。 ホテルは吹き飛び組織は壊滅。ポーターは、別のホテルで待っていたロージーを拾い、ブロンソンの金を奪ってカナダを目指すのだった。 前半は暗いトーンのハードボイルド・アクションとして進んでいくのだが、撮り直しをしたためか途中からアクションがやけに派手になってくる。 しかも、お前らに渡った13万ドルのうち7万ドルは俺のだ、と細かいことを言って事情の分からない組織の幹部たちを困惑させるのが、まるで繰り返しギャグのように描かれる。 全体のバランスは少々悪いのだが、テンポの早い娯楽作に仕上がっており、けっこう楽しめた。 撮り直しで参加したジェームズ・コバーンは、お洒落で血なまぐさいことが嫌いという組織幹部を軽妙に演じている、陽性の作品に作り替えることがメル・ギブソンの意向だったとすれば、これに見事に応えたといえる。 コバーンの出ないオリジナル版も見てみたい気はするが。 SなんだかMなんだか分からないキレた娼婦ギャングを演じたルーシー・リューもインパクトが強くて面白かった。 余談=「ファンハウス/惨劇の館」「アマデウス」「ファイブ・コーナーズ/危険な天使たち」のエリザベス・ベリッジも撮り直しに駆り出されたのか、ポーターに情報を与える娼婦に扮しノー・クレジットでワン・シーン出演している。 |