原題 ; INTREPID(2000)
 監督 ; ジョン・パッチ
 脚本 ; ジェームズ・エヴェレット・モーリー、ダービー・ブラック
 音楽 ; アレクサンダー・ベイカー、クレア・マーロ
 出演 ; コスタス・マンディロア、フィノラ・ヒューズ、アレックス・ハイド=ホワイト
劇場未公開のB級アクション。アメリカではソフト発売時に「DEEP WATER」というタイトルに変更されたらしい。
米海軍のアラン・デッカー(コスタス・マンディロア)と相棒のマックス(デヴィッド・カウフマン)はウクライナで武器密売組織を壊滅させた。
二人がハル・ジョセフソン大佐(ジェームズ・コバーン)から与えられた次の任務は、豪華客船イントレピッド号でハワイに向かう政治家マスターズの娘サブリナ(ソニア・サトラ)を警護することだった。
二人は休暇がてらの仕事と、すっかりくつろいでいた。
だが、近海に米軍の核爆弾輸送機が墜落した。ハル大佐の指揮下、回収活動が開始されるが起爆装置の解除に失敗。爆発で大津波が発生してしまう。
ここまでの間に乗客と乗組員が紹介されるのだが、あまり手際の良い演出はされていない。低予算作でコバーン以外無名俳優というのはやむを得ないかもしれないが、それにしても華のない役者が揃ってしまった。
パーティー中だったイントレピッド号は津波を受けて転覆、逆さまになってしまう。まんま「ポセイドン・アドベンチャー」の展開なのだが、天地がひっくり返っていく描写が出来ていない。床の上で乗客がのた打ち回っているだけの情けないカットもある。
生き残った主要キャラクターはアラン、マックス、サブリナとボディガード、一等航海士のラズロ、テレビ・レポーターのキャサリン(フィノラ・ヒューズ)、パンク女サラとその祖父母、乗務員シャノン、そしてサブリナを狙う殺し屋たちといったところ。最初は皆バラバラになっている。
アランとサラが合流、キャサリンとラズロが別行動していた。
サラの祖父母は泣いているシャノンを見つけ、励まして案内させる。
マックスはサブリナたちと合流。そこに殺し屋ジャッカル(アレックス・ハイド=ホワイト)が現れ、マックスは殺されてしまう。
逃げるサブリナとボディガード。
キャサリンたちとシャノンたちが合流。アランたちはサブリナと合流。
殺し屋たちは逃げ腰になった仲間を殺したりしつつサブリナを追う。「これはポセイドン・アドベンチャーだ。アーネスト・ボーグナインのグループに合流したいぜ」なんて、身もふたもないセリフまで出てくる。
キャサリンの落とした通信機を拾いに戻ったためシャノンは海流にのまれて死亡。
船内にはサメが侵入。サラの祖母が第一の犠牲となった。そこにアランたちも合流。
公海での核爆発を隠すため軍上層部は救助隊派遣を拒否していたが、マスターズに脅されて救助活動を開始した。
ラズロはマニュアル通りに船首に向かおうとするが、アランは船が転覆しているため船尾に向かうことを主張する。
そこに殺し屋が追いつき銃撃戦となる。どうにか始末したがジャッカルにキャサリンが殺され、サラが人質にされてしまう。
アランとサブリナはサラ救出に向かう。
キャサリンは生きていた。彼女はジャッカルの相棒だった。サラはジャッカルをぶん殴って逃走する。
キャサリンと仲間ミッキーは海水にのまれてしまう。
サラはアランの目前でサメのいる水中に落ちてしまう。アランもジャッカルの銃撃を避けて飛び込む。ジャッカルもサブリナに撃たれて落下。
水中から上がったアランをジャッカルが狙うが、今度はサラがジャッカルの額を撃ち抜いた。主人公が全然活躍しないうちに悪役が滅びる展開には疑問を感じる。
すでに海中に沈んだ船体を米軍が発見。ダイバー部隊が船尾に穴を開け生存者を救出するのだった。
せっかくあれこれ詰め込んだのに見せ場が盛り上がっていない。主人公も悪役も迫力不足。
脚本に加わっているダービー・ブラックは、せっかく天海祐希を起用したのに凡作となった「クリスマス黙示録」で脚本・監督を担当したキオニ・ワックスマンの別名。見せ場をハズすのが得意という困ったタイプに思える。
ジェームズ・コバーンは、空母から救助の指示を出すだけの役で、作品にハクを付けてはいるがコバーンならではという役柄ではない。ゲスト出演程度なのにキャスティング・クレジットのトップ、という事実がこの映画の弱さ。アメリカ版のソフトパッケージもコバーン一人がアップになっている。
余談=この作品が認められたわけでもないだろうが、監督のジョン・パッチは2005年テレビ版「ポセイドン・アドベンチャー」に起用された。IMdbの投票を見る限り本作と同様の低めな評価となっている。
イントレピッド