原題 ; MARILYN MONROE:THE FINAL DAYS(2001) |
監督 ; パティ・アイヴィンス |
脚本 ; モニカ・ビダー |
音楽 ; トム・ジェンキンズ、クリス・メニー |
出演 ; マリリン・モンロー、スーザン・ストラスバーグ、ディーン・マーティン |
未完成に終わった最後の出演作「SOMETHING'S GOT TO GIVE」のフィルムと裏話を中心に製作されれたマリリン・モンローのヂキュメンタリー。ジェームズ・コバーンがナレーターを務めた。 「クレオパトラ」の撮影で財政難におちいった20世紀フォックスは、ドル箱スター、マリリン・モンローを無理矢理引っ張り出し、「SOMETHING'S GOT TO GIVE」の製作を決定。 不安定なモンローを管理するために会社がつけた医者が製作にも口を出すなど、撮影前からトラブル続き。脚本のリライトで撮影前に30万ドルの赤字を出してしまう。 撮影3週間前にモンローが睡眠薬の過剰摂取で意識不明になるという事件も発生した。 陽気で色っぽいキャラクターで人気のモンローだったが、本人は演技派として敬われる女優が理想だった。彼女はアクターズ・スタジオで修行する。ところが師であるリー・ストラスバーグに風邪をうつされてしまう。医師は撮影不能と診断するが、財政難にあった会社は却下。結局モンローはインフルエンザが蓄膿症に悪化して撮影開始までに治らず、スケジュールを変更して他のキャストの場面から撮り始めた。 1週間後、モンローは回復しないまま撮影に臨むがダウンしてしまい、さらに彼女以外の場面撮り続けられる。 ついに撮れる場面がなくなって現場は閉鎖。その後モンローは撮影に復帰、数日間順調に進むが、ケネディ大統領誕生パーティ出席で彼女は休みを取ってニューヨークへ行く。かの有名なモンローが「ハッピー・バースデイ」を歌ったパーティー。 最初から予定されていた休みだったが、撮影の遅れに困っていた会社と監督は激怒。しかもモンローの疲労がメイクで隠しきれず、アップの撮影が困難になるという事態に。 モンローはプールでの水泳シーンにヌードで臨み、肉体美の健在ぶりを示す。ところが彼女は現場に来なくなってしまう。理由は不明だが、ロバート・ケネディとの恋愛問題のトラブルではないかと噂された。 モンローは撮影に復帰しても演技に集中できずNGを繰り返す。 再び蓄膿症が悪化して撮影を休んだため、100万ドルの赤字を抱えたフォックスはモンローの降板を検討し始める。 その後も欠勤が続きモンローは解雇された。代役はりー・レミックに決定するが、今度はモンローとの共演を条件にしていたディーン・マーティンが出演を辞退、ついに作品は空中分解して残ったスタッフとキャストは停職勧告を受けてしまう。 100人以上の失業者を生む引き金となったモンローは女優生命の危機を感じ、積極的に取材やグラビア撮影に応じる。彼女はフォックスと交渉して条件つきで再契約にこぎつけ、撮影再開の準備に入る。 だが、1962年8月5日未明モンローは自室のベッドで死んでいるのを発見された。彼女の死因については未だに諸説が飛び交っているが、急激に気分が落ち込んで発作的に睡眠薬自殺を図ったものと考えられている。 「SOMETHING'S GOT TO GIVE」は、翌年「女房は生きていた」としてドリス・デイとジェームズ・ガーナーの主演で製作された。 一方、「SOMETHING'S GOT TO GIVE」は2001年に撮影済みのフィルムが37分の短編として編集され、本作に収録されている。 ニック(ディーン・マーティン)は妻のエレン(マリリン・モンロー)が海の事故で行方不明になって5年。死亡認定を受けてビアンカ(シド・チャリシー)と再婚した。 ところがエレンは孤島で生きていた。戻ってきたエレンはニックの再婚を知り、スウェーデン人の子守りと偽って家に入り込む。 口裏を合わせるニックだが、エレンが孤島でスティーヴンという男と一緒だったと知り気が気でない。ニックはたまたま海でスティーヴンを見かけ、モテモテの若い2枚目であることを知る。 そうとは知らないエレンは、さえない靴屋の店員を代役に立てて弁明しようとする。という場面までで終了。 後半、どのような展開を予定していたのか分からないが、これほどのトラブルに巻き込まれていたとは思えない軽妙なタッチの艶笑コメディーになっている。(演技派を目指すモンローにとっては、この点も不満だったかもしれないが) ドキュメンタリー部分は、まさしくマリリン・モンロー最後の日々が克明に描かれて興味深い作品。 予算が掛かり過ぎて大ヒットしても追いつかなかったという「クレオパトラ」の製作裏話は「映画秘宝/底抜け超大作」に詳しいが、ある意味モンローもその被害者であったといえるかもしれない。 ジェームズ・コバーンはモンローとの共演作はないのだが、20世紀フォックスの電撃フリント・シリーズが出世作だったためか、同社のドキュメンタリーに駆り出されることが多い。なかなか美声で、さすがに語り口もうまく、作品に深みを与えることに成功している。 |