原題 ; WALKING AFTER MIDNIGHT(1988)
 監督 ; ジョナサン・ケイ
 脚本 ; 
 音楽 ; マイケル・ダーナ
 出演 ; マーティン・シーン、キャサリン・オクセンバーグ、レイ・ドーン・チョン
輪廻転生をテーマにしたカナダ製の心霊現象ドキュメンタリーを、丹波哲郎監修という触れ込みで最初と最後に彼の解説場面を付け加えて再編集した作品。
マーティン・シーンは「地獄の黙示録」撮影中の体験を語る。1977年3月5日、フィリッピンでロケ中に胸が苦しくて目覚めた彼は湖の水上を渡る自分を感じた。
湖の真ん中でこれ以上進んだら戻れないと思い、現実に帰ろうとした。次に彼は崖っぷちに立っていた。だが、自分にはまだやることがあると考え、生き続ける決意をした。
ジェームズ・コバーンは、次に生まれ変わるときに備え、魂の転化について知りたいと考えている。
専門家は。人間の身体は繭のようなものにすぎず、魂は永遠に不滅なのだと言う。
レイ・ドーン・チョンの前世は、オーストラリアのアボリジニの村で暮らす白人医師の妻だった。
マーティン・シーンは、インドで輪廻思想に出会った。
インドでは3歳の少女に前世の記憶が甦るという事件が起きたこともある。絞殺されて汽車から放り出された女性の記憶だった。
彼女は、殺された女性の実家を訪れ彼女のアルバムに写っていた人々の名を言い当て、夫だった医師が犯人と証言。その医師は終身刑の判決を受けた。
1962年、歌手のパッツィ・クラインは飛行機事故で亡くなった。カナダ出身の歌手K.D.ラングは、パッツィをモデルにした歌手の役を演じたとき、不思議な感覚を抱き自分がパッツィの生まれ変わりだと信じるようになった。
ヘンリー・フォード、トーマス・エジソン、バーナード・ショーといった人物も、それぞれの輪廻観を持っていた。
霊能者エドガー・ケイシーは前世を読み取り、患者の抱える問題を解決する治療を行っていた。ここでは前世でアトランティスに住んでいたという彼の患者が紹介される。
コナン・ドイルも輪廻に興味を持ち降霊会を研究していた。
マーティン・シーンは、妻と前世では母子だった。彼は16歳のときナポレオン戦争で死に、母は嘆き悲しみながら90歳まで生きた。二人は満たされぬ思いを残したため。150年後の今夫婦として生き直しているのだ。
スウェーデン人のヨハンセンは、アンバースという霊の伝道師だった。彼は輪廻転生について説明する。
神童の存在も輪廻の証しではないか。彼らは前世に積み重ねた知識を発揮しているのだ。ここでは映画「アマデウス」が紹介される。
前世心理療法の権威ネザートン博士は、キャサリン・オクセンバーグを治療する。彼女はナチスの人体実験材料となって死んだ過去を思い出す。
ドノヴァンはチベット死者の書に影響されて転生の歌を作ったことがある。
現在のダライ・ラマは第14代目の生まれ変わりである。ダライ・ラマは、先代が死ぬと生まれ変わり探しが始まる。見つかった子供は、いくつかの物の中から先代ダライ・ラマが使っていた物を選ばせ、本物の生まれ変わりかどうかテストされる。合格すると修行を積んで新たなダライ・ラマとなるのだ。
ヘレン・シェイヴァーは紀元前549年のギリシアに前世があった。彼女は恋人との激しいセックスを夢想する。その恋人は彼女を独占しようと絞殺した。次に彼女は出産シーンを幻想する。
あなたは何千回も生まれ変われるのです、なすべきカルマのために、とメッセージが流れる。
本編はここで終わり、丹波哲郎がビルマの少女が日本兵の生まれ変わりだったというエピソードを紹介する。
その他、デニス・ウィーバー、ウィリー・ネルソン、リンゴ・スターなども登場。とにかく多彩な顔ぶれで、ダライ・ラマまで登場したのには驚いた。
真面目な作りではあるのだが、個々のエピソードに対する堀下げは浅い。脈絡なく多くの事例を盛り込んでしまったため、十分に説得力のある内容とはなっていないのが残念。
ジェームズ・コバーンは東洋思想にも造詣が深かったようなので、輪廻転生に興味を持っていても不思議はない。ただし、霊的な体験はなかったらしく、短いコメントのみで出番は少ない。
監督のジョナサン・ケイは1999年に本作と同タイトルのテレビ・シリーズを手がけたらしいのだが、詳細は不明。
丹波哲郎の霊界ワールド