原題 ; KINGS OF THE SUN(1963)
 監督 ; J・リー・トンプソン
 脚本 ; エリオット・アーノルド、ジェームズ・R・ウェッブ
 音楽 ; エルマー・バーンスタイン
 出演 ; ユル・ブリンナー、ジョージ・チャキリス、シャーリー・アン・フィールド
マヤ族を描いた架空の歴史劇。Imdbのデータによるとジェームズ・コバーンがクレジットなしでナレーションを担当した作品とのことなのだが、実際にビデオを見るとナレーションなんてどこにもない。
キネマ旬報のストーリー紹介を見ると、冒頭は王位継承の儀式中にマヤ族のバラム王子(ジョージ・チャキリス)は西方のヒュナックが率いる部族に襲撃されて逃走。海辺の部族にかくまわれるが、そこも襲われて海へと逃げる。とあるのだが、この冒頭部分が全くなく、いきなり海辺での戦闘シーンから始まっている。
そのため終盤のヒュナック襲来が唐突な印象を与えてしまっている。
もしかしたら完成後に上映時間の都合かなにかで再編集が行われ、その際にナレーション部分もカットされてしまったというような経緯があったのかもしれない。
海辺で敗退したマヤ族はカヌーでユカタン半島を出た。率いているのは若きバラム王。
一行はメキシコ湾を南下。照りつく太陽に渇きながら流浪を続ける。
引き返すかどうかで内輪もめが始まる。そのとき陸地が見えてきた。
新天地に降り立ったバラム王はイスチェル(シャーリー・アン・フィールド)との結婚を宣言するが。彼女は、婚約が死んだ父の決めたことで、すでに無効だと拒否する。
部族は家を建て集落を築きはじめる。
一方、浜辺の船に気づいた者たちがいた。酋長ブラック・イーグル(ユル・ブリンナー)率いる部族だ。彼らは上陸した人間の行方を捜し始める。
ブラック・イーグルは神殿を建造中のマヤ族を発見、ひそかに見張り続けた。
バラム王は神殿建造より水路作りと農作業の開始を優先する。
単身襲いかかったブラック・イーグルがバラム王と決闘を始めた。ブラック・イーグルはバラム王の剣を叩き落すが、駆けつけたバラムの部下たちに捕まってしまう。
司祭はブラック・イーグルを生贄(いけにえ)にしようとする。
集落を引き回されるブラック・イーグル。生贄にするまでイスチェルが介抱することになった。
ブラック・イーグルとイスチェルは次第に打ち解けていく。
水路が完成し、集落に水が引かれた。
バラム王は人間を生贄にすることに疑問を抱いている。
儀式の前日、ブラック・イーグルは、自分が生贄にされることを知らされた。彼は神の子を作るための一夜の相手にイスチェルを選ぶ。
バラムもイスチェルも、お互いに「一言イヤだといってくれれば」と思っているが、二人とも言い出せない。
結局、ブラック・イーグルは「俺の欲しいのは神の子などではない。普通の勇敢な男の子だ」とイスチェルを帰す。
いよいよ当日、ブラック・イーグルは逃げようともせず、一人神殿に向かう。神殿の周囲にはマヤ族の民が集結していた。
神殿に頂上で儀式が始まる。ブラック・イーグルは神に生贄を捧げる行為など愚かなことだと言う。
バラム王はブラック・イーグルを自由にした。司祭は、生贄なしに一族の新生活はありえないとナイフを胸に突きたて自害する。
その時、ブラック・イーグル救出に、彼の部族が進軍してきた。それでもバラム王はブラック・イーグルを解放する。
部族の元に戻ったブラック・イーグルは、マヤ族が新しい技術や知識を持っていることを話し、もしマヤ族と和平を結ぼうとする自分の考えに従えないなら新しい酋長を選ぶがいい、と宣言する。
部族の全員がマヤ族の集落に向かって行進を始めた。いよいよ開戦かといろめきたつマヤ族。
進み出たブラック・イーグル。バラム王も一人砦を出る。お互いが槍を地面につきたて戦争の意思がないことを表明した。
こうして和平が結ばれた。バラム王は、繁栄に血など必要ない、司祭にも生きてこの光景を見てほしかったと言うが、部下の中にはバラム王の考え方が部族を滅ぼしかねないと考える者たちがいた。
ブラック・イーグルと親しくするイスチェルの姿を見てバラム王は嫉妬を感じる。ブラック・イーグルはイスチェルに求婚した。
バラム王と争いになりそうになったブラック・イーグルは「共存はやはり無理だ、隔たりがある」と去っていく。
海からヒュナックの一族が攻めてきた。バラム王が神にそむいたからだ、と反乱を企てる者がでたが、たちどころに殺されて鎮圧された。
海岸で戦闘が開始された。前線に火を放ち足止めして弓矢で攻撃する。
ヒュナックの部族は火をこえて突入。マヤ族は押し返されていく。
気が変わったとブラック・イーグルはバラム王に加勢する。形勢は一気に逆転した。
だが、ブラック・イーグルは敵の槍に倒されてしまう。
神殿の頂上でヒュナックと対決したバラム王はこれに勝利。
ヒュナックが死んで故国に帰ることもできるようになったが、バラム王は新しいこの土地で生きていくことを決意する。彼は生贄なしでやっていくことを表明して、神殿から生贄の祭壇を突き落とす。彼の民は賛同した。
ブラック・イーグルは、愚かな意地の張り合いはやめて二人で暮らすようにと言い残し、バラム王とイスチェルに看取られ死んでいったのだった。
悪い作品ではないのだが、大味でややメリハリに欠け平板な印象なのが残念。
大スケールな歴史劇のはずなのだが、お互いに好きと言い出せない二人の物語がメインなため、チマチマしたドラマになってしまったのも残念。
たくましい蛮族の長を演じるユル・ブリンナーと若き王子を演じるエキゾチックな二枚目ジョージ・チャキリスの対比が面白いのだが、チャキリスは線が細くてちょっと分が悪い。
太陽の帝王