原題 ; A ANSWER FROM HEAVEN(1992) |
監督 ; ワン・ジョルジョン |
脚本 ; ホー・グオフー |
音楽 ; チャン・チェンイー |
出演 ; シー・チエン、リー・テイン、シャオ・ション、リゥ・シュ |
キネマ旬報などのデータによると、本国での劇場公開時にはあまり話題にならず、テレビで放送された際に再評価された作品とのこと。 6歳のチェンチェン(シー・チエン)はおじいちゃんのイエイエ(リー・テイン)と二人暮し。2匹のモルモットも飼っている。 おじいちゃんを後ろに乗せてチェンチェンが自転車を漕いでいると街往く人たちが応援してくれる。 おじいちゃんの仕事は郵便配達。チェンチェンは幼稚園をさぼって配達についてまわることにした。 停電でエレベーターの動かないビルでは12階まで階段を昇り、ぜいぜい言いながら手紙を渡す。お茶をご馳走になったが、同姓同名の違う人宛てだった。 ようやく探し出した本人は、すでに亡くなっていた。おじいちゃんは天国に届けようと凧(たこ)に手紙を結んで揚げる。 心臓に持病のあるおじいちゃんが入院した。退院の日、迎えに来たチェンチェンを脅かそうと、おじいちゃんは死んだフリをする。チェンチェンは本気で泣き出してしまう。 いたずらと知ったチェンチェンはむくれてしまった。平謝りのおじいちゃん。チェンチェンは「おじいちゃんに死んで欲しくない」と抱きつくのだった。 おじいちゃんは、人間は歳をとればいつかは死ぬ、死んだら天国のおじいちゃん宛に手紙を書いておくれ、と言うのだった。 お母さんのチェンリー(シャオ・ション)が赴任先のベルギーから帰ってきた。チェンチェンが生まれてすぐおじいちゃんに預けて海外に行ったのだが、これからは一緒に暮らすつもりだった。 幼稚園に迎えにいくとチェンチェンがおじいちゃんに抱きついてしまうので、お母さんは戸惑う。 遊びに連れ出しても、チェンチェンはおじいちゃんも一緒だったらよかったのにと残念がる。 お母さんはチェンチェンにモルモットを捨てるよう命令する。 ある日、おじいちゃんとチェンチェンがアパートに帰ると、部屋の中が一変していた。おもちゃは捨てられ、立派なソファーが入り、ピアノ曲が流れている。 モルモットを探すチェンチェン。お母さんは誤ってモルモットのかごをベランダから落としてしまう。 二匹の死骸を見て泣き出すチェンチェン。チェンチェンはお母さんに食ってかかる。お母さんは言葉がない。 チェンチェンは友達のリンリンとモルモットの墓を作った。 お母さんは、ピザとか西洋料理を作る。チェンチェンは空のかごにパンを入れてモルモットと遊ぶフリをする。「わざとやったんじゃないのよ」お母さんは謝る。 お母さんはチェンチェンと食事会に呼ばれるが、チェンチェンはおじいちゃんと将棋してるとぐずって行かなかった。 このままではチェンチェンが母親になつかないと考えたおじいちゃんは、実家に帰ることにする。 ある日、チェンチェンが家に帰ると、すでにおじいちゃんの姿はなかった。 チェンチェンは実家に走り、「お母さんもピアノも嫌いだ」と泣きながらドアを叩く。 おじいちゃんは涙しながら帰るように説得した。お母さんは、その様子を木陰から見守っている。 チェンチェンは、「ぼくは良い子だから、言いつけを守る」と帰っていく。 おじいちゃんの誕生日が来て、チェンチェンがプレゼントに音の出るカードを買おうとする。貯金が足りず、リンリンも小遣いを出すが、それでも足りない。すると事情を聞いた店員がまけてくれた。 おじいちゃんを訪ねるチェンチェンとリンリン。三人で凧揚げをして遊ぶ。 疲れたおじいちゃんを揺り椅子で休ませて、チェンチェンとリンリンは凧を壁に飾る。 お母さんもケーキを持ってやって来るが、おじいちゃんは眠るように息を引き取っていた。お母さんは部屋中にローソクを灯して弔う。 チェンチェンとリンリンは凧にカードをつけて揚げ、天国のおじいちゃんに届けようとする。揚げ方が分からなくて困っていたら、いつも公園のベンチに座っている老人が揚げてくれた。 誕生日カードは天高く上がっていく。「受け取ったら返事ちょうだいね」チェンチェンは叫ぶのだった。 海外で働く両親、戻ってきた母親は生活を西洋化させようとやっきになる。近代化する中国の現状を巧みに取り入れた人情ドラマとなっている。 主人公と祖父との交流が暖かいタッチで描かれ胸を打つのだが、近代化する中国を象徴するキャラクターであるはずの母親の描き方がやや薄っぺらいのが残念。 本作とは全く違うアプローチの作品だが、少年と祖母との交流を描いた韓国映画「おばあちゃんの家」も、なかなかの作品だった。 |