原題 ; YOU'RE A BIG BOY NOW(1967)
 監督 ; フランシス・フォード・コッポラ
 脚本 ; フランシス・フォード・コッポラ
 音楽 ; ジョン・セバスチャン
 出演 ; ピーター・カストナー、エリザベス・ハートマン、ジュリー・ハリス、カレン・ブラック
フランシス・フォード・コッポラ監督の初期作品。
リチャード・レスター監督作品に影響を受けたといわれるポップな感覚のコメディーで、ラヴィン・スプーンフルによる挿入歌も魅力。
音楽全体もラヴィン・スプーンフルのジョン・セバスチャンが手がけた。
ラスヴェガス嫌いで「ワン・フロム・ハート」の撮影ではセットのラスヴェガスを作り上げ破産したというコッポラだが、本作ではニューヨークの雰囲気をロケで見事に捉えている。
ストーリーは過保護に育った青年が、エキセントリックな女優に翻弄されながらも自立していくというもの。
図書館で働くバーナード・シャンティクリアー(ピーターカストナー)。父親も同じ図書館で古典書を担当官を務めている。バーナードは、父から独立して一人前の大人になれと命じられる。
過保護な母マージョリー(ジェラルディン・ページ)の紹介で、階段にニワトリのいるアパートに住み始める。家主はオールド・ミスのミス・シング(ジュリー・ハリス)。
早速一人暮らしを満喫しようと街に繰り出すバーナード。ポルノ・ショップを覗いてみたりする。
ここらへん、当時の風俗も紹介されて興味深い。ビデオ部屋ならぬ8ミリ部屋があったりする。
ヌードの8ミリを見てたらネクタイが機械に巻き込まれて悪戦苦闘。偶然通りかかった同じ図書館で働くエイミー(カレン・ブラック)が、ハサミでネクタイを切ってくれた。
エイミーは、高校を転々としていたバーナードと一時、同じ高校にいた。その頃から彼に好意を抱いていたのだ。
友人レイフ(トニー・ビル)と凧上げに行き、糸の切れた凧を追いかけるバーナード。凧は木に引っかかってしまったが、その下には憧れの女優バーバラ・ダーリング(エリザベス・ハートマン)がいた。
バーナードがエイミーと飲みに行くと、ステージではバーバラが踊っていた。見とれる彼に嫉妬するエイミー。引きずるように店を出てキスをする。
二人はバーナードのアパートに行くが、エイミーはニワトリに襲撃される。「女を連れ込んで。両親に告げ口してやる」と騒いだミス・シングは階段を落ちてしまう。
両親は女を連れ込むなと大騒ぎ。家族団らんの時間を持とうということになり、芝居に行くとバーバラが出演していた。
バーナードは彼女にラヴレターを書く。
バーバラは自伝を執筆中。変わり者でホラー映画好きの彼女は、寄宿舎時代に義足の催眠治療士にやられたことを回想していた。
バーナードのラヴ・レターに、楽屋に来てと返事を出すバーバラ。
有頂天になって街をスケートで走り回るバーナード。彼は劇場を訪れ、バーバラの部屋に招かれる。
良い雰囲気になり、童貞よさらばと思ったところで、バーバラは「頭痛がするからやーめた」。
次にバーバラは突然同棲しようと言い出す。慌てて転がり込むバーナード。
ところが迷惑だと追い返されてしまった。とぼとぼ出て行くと窓から一人にしないでと声を掛けられ戻っていく。思い切ってプロポーズするが相手にされない。
バーナードがバーバラの部屋に戻ると、バーバラとレイフが良い仲になっていた。思わず飛び出すバーナード。
結局、図書館に全員が集合して喧々諤々(けんけんがくがく)の大混乱。バーナードは父の大切な古典の聖書を持って飛び出してしまう。慌てて全員が追いかけていく。
ここでスプラスティック・コメディ風の追っかけが展開。バーナードはデパートに逃げ込んだところをバーバラの一撃でダウン。
結局、バーナードは逮捕され、バーバラは市の財産を泥棒から守ったと記事になる。
釈放されたバーナードを迎えに来てくれたのはエイミーだった。収まるとことに収まり、二人は街を駆けていく。ラストはプレッツェルの工場。結び目の形をしたプレッツェルが、二人の強い結びつきを象徴する洒落たエンディングになっている。
特別に完成度が高いわけではないが、コッポラ作品の中で最もチャーミングな作品という気がする。
余談その一=この作品はカレン・ブラックの初期作品でもあり、初々しい演技を見せているが、やっぱり濃い顔をしている。
余談その二=コッポラ監督は、前回紹介した「フェアリー・テール・シアター」で「リップ・ヴァン・ウィンクル」を演出している。父カーマインが音楽を担当し、妹タリア・シャイアと娘ソフィア・コッポラが脇を固め、まさにファミリー作品となっているらしい。
大人になれば