原題 ; THE BORROWERS(1997)
 監督 ; ピーター・ヒューイット
 脚本 ; ギャヴィン・スコット、ジョン・カンプス
 音楽 ; ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
 出演 ; ジョン・グッドマン、ジム・ブロードベント、マーク・ウィリアムズ、セリア・イムリー
原作はメアリー・ノートンによるファンタジー小説。児童文学としてかなり評価の高い作品らしく日本でもシリーズ4作が刊行されている。
読んでいないので断言できないが、今回のドラマ化では、かなり内容がアレンジされているのではないかと思う。
レンダー家では物がなくなりすぎる。何かが家にいるのでは、息子のピートは不審に思っていた。
一家が出かけると糸をよじ登って一人の妖精がテーブルの上に現れた。
ピートの両親ジョーとヴィクトリアは、ポッター弁護士(ジョン・グッドマン)から立ち退きを要求されていた。叔母から相続した家だったが、遺言書がないので無効だというのだ。
妖精たちはボロワーズ(借りる者たち)と呼ばれ、姿を見られることなく家の物を拝借して暮らしていた。
父ポッド(ジム・ブロードベント)、母ホーミリー、長女アリエティ、長男ピーグリーン(トム・フェルトン)のクロック一家である。
アイスを取ろうとフリーザーに入ったアリエティが閉じ込められてしまった。しかもジョー夫婦が帰ってきたので大慌て。
なんとか製氷機の取り出し口から脱出した。
床下に住むクロック家では掃除機をかけられると大パニック。小さいピーグリーンが天上に吸い付けられたりする。
かっては多くのボロワーズが暮らしていたのだが、今はクロック家だけになってしまった。
退屈したアリエティは、ケーキ用のローソクを松明(たいまつ)にしてかかげ、ピートの部屋へと冒険に出た。
うっかり人形をタンスから落としてしまったために見つかり、ピートに捕まってしまう。
金魚蜂に入れられたアリエティは、ピートから家が潰されることを聞かされる。
戻ったアリエティは家族に相談、ピートに頼んで引越し先に連れていってもらうことにした。
荷物が崩れて隠れていたケースが割れ、アリエティとピーグリーンは道路に転落してしまう。
とっさにピートは仮病を使ってトラックを止めようとするが、ジョーに見抜かれて失敗。
家に戻ったアリエティたちが町内案内図で引越し先を探していると、ポッター弁護士がやってくる。
ポッターは叔母の遺言書が家の中に隠されていることを聞かされており、家を乗っ取ってマンションを建設するため、手に入れようとしていた。
壁を破って隠し金庫を見つけ、遺言書を手に入れたポッター。早速、家を取り壊す手配をする。
それを見ていたアリエティたちは遺言書を盗むことにする。
遺書を燃やそうとしていたポッターは、遺言書が歩き出して壁の通風孔に吸い込まれていくのでビックリ。
聴診器でアリエティたちの居場所を探ったポッターは床板をはがして捕まえようとするが、指にピンを刺されてしまう。
ポッターは、害虫駆除人ジェフ(マーク・ウィリアムズ)を呼ぶ。ジェフもボロワーズの話は聞いたことがあった。
家の隙間に殺虫フォームを流し込むジェフ。作業を邪魔したポッターはフォームを顔に浴び高温で自慢のヒゲが取れてしまう。
聴診器でアリエティの動きを追うポッター。ジェフが釘抜きを壁に打ち込む。
引っ掛かったピーグリーンは飛び出して電灯に飛びつく。ポッターが釘抜きを振りかざす。
間一髪、アリエティがメジャーでピーグリーンを救出。ポッターは感電した。
屋根に出たアリエティたちは世界の広さに感動。二人は電線を伝わって移動を開始する。
ジェフは犬を使って追跡。入れ違いにピートがクロック夫婦を連れて探しにくるが、すでに家はもぬけの空。
鳩に驚いたピーグリーンが牛乳瓶にはまってしまう。それを見て喜ぶポッター。そこに警官が声をかけてきた。
ビンは牛乳屋に回収され持ち去られてしまう。取り残されたアリエティが泣いていると、スパッド・スピラーと名乗るボロワーズが声をかけてきた。
地下道に住むスパッドは、スプレー缶のジェット噴射で高速移動。アリエティを牛乳工場へと案内する。
無人化された工場、ピーグリーンの入ったビンがコンベアで運ばれていく。
犬に臭いを追わせたポッターたちも工場へ。さらにピートたちも到着。
アリエティとスパッドはピーグリーンをビンから引き上げようとするが失敗。牛乳が流し込まれてしまった。
その先ではポッターが片っ端からビンを割っていた。スパッドがチーズを溢れさせたため、ポッターは流されてしまう。
ポッドはピンの弓をピーグリーンの詰められたビンのフタに命中させ、救出に成功。
アリエティたちも合流して家族再会を果たす。
そこにポッターが迫ってきた。アリエティの背負った遺言書を取り上げ、全員を捕らえてしまう。
皆をチーズで固めようとするポッターをスパッドが挑発。スパッドを先に始末してチーズ注入スイッチを入れたポッターは、遺言書を持って市役所に向かう。
ピートはチーズのノズルをずらしてクロック一家を救出、ポッターの後を追う。ポッターの悪辣な手口にあきれたジェフがヴァンに乗せてくれた。
スパッドも密かに逃げ延び姿を消していた。
先回りしたピートたちがプレートを付け替えたため、ポッターは倉庫室に閉じ込められてしまう。
そこをクロック一家が総攻撃。ビニールテープで巻いて遺言書を奪う。
だが、ポッターはテープを引きちぎってクロック一家を捕らえてしまった。
掃除機でD吸い込もうとするポッター。突然、電源が切れた。
天井ファンからボロワーズの集団が舞い降りてくる。あっという間にポッターを縛り上げてしまった。
スパッドとポッドの昔の仲間たちだった。
貴様らの20人くらい踏み潰してやると強がるポッター。いたる所から無数のボロワーズが姿を現す。
倉庫室を埋め尽くすボロワーズたち。ポッドはポッタ−に勝利宣言。
そこにピートとジェフが警官を連れてきた。ドアの開く一瞬でボロワーズたちは姿を消す。
遺言状でポッターの悪事が判明、レンダー一家は元の家に戻ることが出来た。
床下ではクロック一家と仲間たちが祝宴をあげている。アリエティとスパッドはスプレー缶のジェットカーを飛ばしてデートに出るのだった。
軽いファミリー映画としてまとまっており、それ以上ではないのだが、テンポが良くあきさせない。
なかなかチャーミングなファミリー映画に仕上がっており、英国アカデミー賞の作品賞にノミネートされたとか。
ボロワー最初の登場シーンは、画面の切り替わりが分からないよう、うまく撮影してあり印象的だった。
ピーター・ヒューイット監督は、今回紹介した「レジェンド・オブ・アロー」や本作の他、「ビルとテッドの地獄旅行」「サンダーパンツ」など大作や傑作ではないけれど、捨てがたい魅力をもった作品が多く気になる監督の一人。
まだ見ていないが新作の「キャプテン・ズーム」はハズしてしまったらしい。

ボロワーズ/床下の小さな住人たち