原題 ; BOY ON A DOLPHIN(1957)
 監督 ; ジーン・ネグレスコ
 脚本 ; アイヴァン・モファット、ドワイト・テイラー
 音楽 ; ヒューゴ・フリードホーファー
 出演 ; アラン・ラッド、ソフィア・ローレン、クリフトン・ウエッブ
ソフィア・ローレンの名を世界に広めた作品。この映画がなければ城みちるの活躍もなかった???
エーゲ海に浮かぶイドラ島。その海底で海女のフェードラ(ソフィア・ローレン)はイルカに乗った少年の像を発見した。
恋人のリフは幻覚だと相手にしないが、フェードラの足に刺さった釘を抜いたホーキンス医師(ローレンス・ネイスミス)は、その釘が沈没船の物であることに気づく。
ホーキンスは資料を調べ、船が約2千年前に沈んだ宝物船であると見当をつけた。
3人は手を組み、フェードラがアテネで像の買い手を探すことにする。
フェードラは考古学者ジェームズ・コールダー博士(アラン・ラッド)に接近。最初はガセネタと相手ににしなかったコールダーだったが、釘を見せられて興味を示し、詳しい話を聞くことにした。
打ち合わせ場所のレストランでフェードラが偶然同席したパーマリー(クリフトン・ウエッブ)は宝の話に興味を持ち、コールダーが2時間遅れると彼女を騙して連れ出す。
パーマリーは法を侵して財宝を国外に持ち出す富豪だった。
彼に2日間足止めされたフェードラはご立腹だが、プレゼントであっさり手なずけられてしまう。
一方、コールダーは一足先にイドラ島に着き、リフとホーキンスに近づく。
フェードラはパーマリーの船で人気のない入り江から上陸。コールダーが島に来ていることを知ってパーマリーと打ち合わせる。
パーマリーは、フェードラにコールダーを案内させて違う場所に潜らせる作戦をたてた。
2週間がたち収穫はほとんどないがコールダーは諦めない。
コールダーは、仲良くなったフェードラの弟ニコから、姉が入り江に停泊しているヨットに出入りしていることを聞きつける。
入り江に向かったコールダーはパーマリーと面会した。パーマリーはコールダーを買収しようとするが、もちろん失敗。
コールダーは金属探知機で彫像を探すことにする。それを知ったパーマリーは急遽彫像を近くの洞窟に隠してしまう。
そうとは知らずニコとともに船を出すコールダー。彼はニコからフェードラが怪我をした海域を教えられ沈没船を発見。イルカに乗った少年が持ち去られたことを知る。
パーマリーは、フェードラが色仕掛けでコールダーを引きつけている間に、リフに高速船を手配させる計画を立てる。
ニコがヨットの出航を教えたことからコールダーは計画を知る。すでにリフの姿もなかった。
コールダーとフェードラは言い争う。金のために友人と国を裏切ったというコールダーの言葉にフェードラの心は揺れる。彼女は彫像をパーマリーに引き渡す前に、一度コールダーに見せることにした。
しかし、彫像はすでに洞窟から持ち出されていた。コールダーは事件をギリシャ当局に報告して島を去る決意をする。
フェードラの裏切りを恐れたリフは、彼女を船に監禁した。フェードラの合図を受けたニコはホーキンス医師に相談する。
一方、コールダーは取引現場を押さえてパーマリーを逮捕しようとギリシャ政府の役人たちとともに出航した。
取引が開始され警官隊が乗り込むが、船から海中に吊されていたはずの彫像はなく、見つかったのは現金だけ。イルカに乗った少年を見た者がいないため、逮捕できずに終わった。
結局パーマリーは像を手にいれることなく、この国を去っていく。
コールダーたちが港に戻ると町は静まり返っていた。
そこに祝砲と鐘の音が響き渡る。ニコが海中に潜って船底から奪い返したイルカに乗った少年の像が、漁船に乗せられ運ばれてきたのだ。
こうして歴史的な美術品は国に返還された。
照れて逃げ出すフェードラを、コールダーは追ってタックルする。二人は熱い抱擁を交わすのだった。
ラストでヒロインにタックルをかまして倒す主人公っていうのは見たことがない気がする。ちょっと不自然な気がするが、ソフィア・ローレンの野性的な魅力を強調するために考案したのだろう。
残念なのはアラン・ラッドが本来の大根ぶりを発揮してしまい、主人公が情熱的なキャラクターに感じられないこと。ソフィア・ローレンの引き立て役だと割り切ってしまえば文句も出ないのだが。
一応、海洋冒険物に分類分けされる作品なのだが、アクション・シーンはほとんどない。にもかかわらず名高い作品になったのは、やはりソフィア・ローレンの存在感のおかげだろう。
ジーン・ネグレスコ監督の代表作は「百万長者と結婚する方法」「足ながおじさん」。オールド・ハリウッドの流れを継承したロマンティック・コメディを得意とする監督というイメージがあるのだが、allcinema onlineには観光映画の名手と記されていた。
確かに本作も、(特に観光名所を紹介するわけではないが)エーゲ海の島々の風光明媚さが伝わってくる。水中撮影もなかなか出来が良い。
この作品はテレビの民放でしか見たことがなかった。今回初めてレンタル・ビデオで原語のノーカット版を見た。ペネロペ・クルスあたりでコメディ色を増したリメイクを作ったら案外面白いかも。

島の女