原題 ; BROKEN ARROW(1950)
 監督 ; デルマー・デイヴィス
 脚本 ; マイケル・フランクフォート
 音楽 ; ヒューゴ・フリードホファー
 出演 ; ジェームズ・スチュアート、ジェフ・チャンドラー、デブラ・バジェット
初めてインディアンが人格ある存在として描かれた作品といわれている。
「ダンス・オブ・ウルブス」が製作されたとき、その原点となった作品と紹介された。
アパッチが英語を話すこと以外は、全て事実、というナレーションで始まる。
1870年頃のアリゾナ、金鉱掘りトム・ジェファーズ(ジェームズ・スチュアート)は旅の途中で負傷したアパッチの少年を助ける。
その後、アパッチの集団に襲われるが、少年が事情を説明してくれたので助かる。
ジェファーズは、アパッチにも家族を思い、フェアプレーの精神があることを知った。
7週間も郵便が届かないことを知ったジェファーズは、コチーズ酋長(ジェフ・チャンドラー)と話をすることにする。
当初、コチーズ酋長は、ジェファーズの勇気に敬意を表しつつも強硬な態度を崩さない。
ここでジェファーズは、アパッチの娘ソンシアレイ(デブラ・パジェット)と知り合う。
結局コチーズ酋長は、郵便馬車を襲わないと約束してくれる。
町に戻ったジェファーズの話を信じるものは少なかったが、郵便は無事届くようになった。
だが、一方ではアパッチと幌馬車隊の戦闘も繰り広げられていた。
ジェファーズはスパイの疑いを受けてしまう。
暴徒と化した群集はジェファーズを縛り首にしようとするが、ハワード将軍(バージル・ライズデール)に救われる。ハワード将軍はグラント大統領の命を受け和平交渉を望んでいた。
再びアパッチの集落に向かったジェファーズはソンシアレイと再会する。
ジェファーズはソンシアレイとの結婚を決めるが、その夜一人の男に襲われる。ソンシアレイに惚れていたナユルゼがコチーズの命令を無視したのだ。コチーズはナユルゼを射殺する。
やがてハワード将軍との会談が実現した。
各部族の酋長も集結し、コチーズは矢を折って3ヶ月間平和条約を試すことにする。
数人の酋長は離れていったが、多数は平和を望む。コチーズと袂を分かった酋長にはジェロニモもいた。
この結果、五年ぶりに駅馬車が走り、アパッチと騎兵隊がすれ違う光景も見られるようになった。
ジェファーズの乗った駅馬車がコチーズに造反した一派に襲われる事件が発生。ジェファーズは狼煙(のろし)でコチーズに救援を求め助けてもらう。
ソンシアレイとの婚礼も行われた。
コチーズは和平のためメキシコに逃げたジェロニモから白人を守る決意をする。
アパッチに馬泥棒の嫌疑がかかり、ジェファーズも加わって真犯人を捜そうとする。これは白人の中の反対派が仕掛けた罠だった。
コチーズは手斧と弓で敵を倒し脱出するが、ソンシアレイは撃ち殺されジェファーズも負傷してしまう。
悲しみにくれたジェファーズは敵の生き残りを殺そうとするが、コチーズは平和のために耐えるよう説くのだった。
犯人一味は捕らえられ、この事件は平和の礎となった。
そしてジェファーズは、その後どこに旅しても妻とともにいると感じるのだった。
残念ながら現実のアメリカ政府は、それほどインディアンに対してフェアではなかったようだが、この作品自体は完成度の高い良心作だと思う。
勇ましい西部のガンマンという力強さには欠けるキャラクターのジェームズ・スチュアートだが、今回のような誠実な役柄を演じるとさすがにうまい。
高い評価を得てテレビ・ドラマ化され、日本でも放送されたらしいのだが見た記憶がない。

折れた矢