原題 ; LA VIE DE CHATEAU(1966)
 監督 ; ジャン=ポール・ラプノー
 脚本 ; ジャン=ポール・ラプノー、アラン・カヴァリエ、クロード・ソーテ
 音楽 ; ミシェル・ルグラン
 出演 ; カトリーヌ・ドヌーヴ、フィリップ・ノワレ、ピエール・ブラッスール、アンリ・ガルサン
第二次大戦末期、フランス片田舎の城で暮らす夫婦と軍人たちが巻き起こす騒動を描いたコメディ。
実をいうとタイトルだけ知っていたときは、中世を舞台にしたコスチューム・プレイかと思っていた作品。
英語タイトルは「A MATTER OF RESISTANCE」というらしい。
ドイツ占領下、フランスの片田舎。城に住むジェローム(フィリップ・ノワレ)はリンゴを週に54個も盗まれていた。
マリー(カトリーヌ・ドヌーブ)はドレスまで作ったのに、ジェロームがパリに連れて行ってくれないとおかんむり。
ジェロームはパリに持っているアパートを貸してしまっていた。怒ったマリーは自転車で飛び出し、実家に戻ってしまう。
離婚すると騒ぐ彼女を父ディモンシュがどうにかなだめた。
夜半に戻ってきたマリーは、納屋でリンゴを食べている男を見つける。
男はマリーに一目ぼれして礼拝堂に隠れていたと言い出す。喜んだマリーはリンゴを土産に渡して逃がしてやる。
翌朝、マリーは男を捜しに行って荷物を見つける。その中には地図と拳銃があった。
男はドイツ軍から隠れて潜入活動をしている連合軍兵士だった。
その夜、男の隠れ処をレジスタンスの地区責任者であるディモンシュが訪問する。ロンドンから迎えが来るという情報だった。
男からマリーに戻ると伝えてくれと頼まれたディモンシュは、娘が浮気していると勘違い。彼はマリーのところに行って怒鳴りつける。
そこにドイツ軍のクロップストック少佐が部下を率いて現われ、城に駐屯すると言い出す。
一方、連合軍本部では現地に設置された大砲がノルマンディーを射程距離内にしており、Dデイ上陸作戦の支障となると判断していた。
軍は上陸の3時間前に40名の兵士を送り込んで大砲を破壊する作戦をたてる。
帰還していた例の男ポントベール大尉は、大砲の後方100メートルにあるジェロームの領地に兵が降下し、城を拠点とする計画を立てる。
そこにドイツ軍が城に入り込んだという情報が入った。ポントベールは二日酔いのまま出発させられる。
ドイツ兵のイビキがうるさいと思ったら、庭木にパラシュートを引っ掛けてぶら下がったまま寝ているポントベールだった。
マリーとジェロームはボントベールをなんとか下ろし、ドイツ兵にはマリーの兄ボビーだと紹介する。
ボントベールもドイツ少佐ジークフリートもマリーに言い寄る。
レジスタンスと会合したボントベールは、城のドイツ兵が宿泊している区画に爆薬を仕掛けることにした。
ポントベールに、ジェロームはとんでもない意気地なしだから妹に口をきいてやると言われてジークフリーとは大喜び。
ジークフリートを招いて晩餐会が開かれ、彼は御機嫌。
ポントベールは城に爆薬を仕掛けていく。マリーが気づいてついてきた。
マリーとボントベールがいないことに気づいたジェロームは飛び出していく。二人でいるところを見つけたジェロームはマリーを城に引きずり込む。
怒ったマリーは部屋にこもってしまった。
夜になりドレスアップして部屋を抜け出したマリーはポントベールと密会してキス。
そこをジークフリートに見られ、兄でないことがバレてしまった。
ポントベールに詰め寄るジークフリートをマリーが後ろから棒で殴って気絶させる。
マリーとポントベールは城の外へと脱出した。
意識を取り戻したジークフリーとは激怒してピアノを破壊。ジェロームと母親を地下室に監禁してしまう。
マリーはポントベールとパリに行こうとするのだが、彼は任務があるので行けないと言う。
ドイツ軍は軍用犬を使って山狩りを始める。しかし二人が湿地帯に逃げ込んだため、犬は臭いを見失ってしまう。
城を訪れたディモンシュも地下室に押し込められた。彼は連合軍の上陸が翌日に決まり、深夜には落下傘部隊が城に降下するという情報を持っていた。
部屋を取ろうとポントベールが宿屋に行くと、そこにはドイツ軍が集結していた。彼を捕らえたジークフリードは、マリーが本当は誰が好きか知りたいという。
一方、ジェロームは地下室から抜け出していた。彼は猟銃を持ってドイツ兵を捕虜にする。
裏庭は杭が針山のように埋められ、落下傘が降下できる状態ではなくなっていた。ジェロームたちはなんとか杭を抜いて間に合わせる。
降下してきた連合軍をジェロームとディモンシュが案内する。
ジェロームはパリが危険なため、マリーの安全を思って行くのを止めていたのだった。
敵の見張りに見つかってしまうジェロームたち。そこにマリーがやって来た。隙をついてジェロームが手榴弾を投げ見張りを倒す。
第二次大戦の一大事をよそに、ポントベールとジークフリートはマリーをめぐって取っ組み合いを始めていた。
ついに連合軍の戦艦から砲撃が開始される。
ポントベールは、すっかり仲間直りしたジェロームとマリーを見つけてガックリ。
2ヵ月後、パリの解放を祝うパレードが行われていた。装甲車から手を振るマリー。その隣りにはジェロームの姿があった。
エッフェル塔が迫ってくる。憧れのパリの光景にマリーは顔を輝かせるのだった。
ノルマンディー上陸をめぐる連合軍とドイツ軍の争いをまじえて描かれるが、全体的にはノンビリムードの作品。
「うず潮」と並んでラプノー監督がカトリーヌ・ドヌーヴを魅力的に撮りあげている。
おっとりとした態度で悠然と構えるフィリップ・ノワレもハマリ役。
ちょっとフィリップ・ド・ブロカ監督を思わせる作風で、ラプノー監督作品の中でも一番トボけた味わいの作品だと思う。

城の生活