年度 ; (1990) |
監督 ; 深作欣二 |
脚本 ; 佐藤純弥 |
音楽 ; 義野裕明 |
出演 ; 中村雅俊、藤真利子、小野寺昭、中田喜子、角野卓造、高良隆志 |
元ロス市警アジア特捜隊長ジミー佐古田の企画によるテレビのスペシャル・ドラマ。 ビデオは深作監督が再編集したディレクターズ・カット版となっている。 テレビのアクション物としては高水準の作品と思うが、深作監督の作品中では特に上位に入るほどではない。 テレビ・ドラマということもあり、フィモグラフィーにも抜けてしまうことの多い作品なので、参考に紹介することにした。 日系三世のロス市警アジア特捜隊の部長刑事・マイケル村上(中村雅俊)は同僚フレッドとともにコカイン中毒者による銃乱射現場に向かっていた。 この事件でフレッドが犠牲となってしまう。 おりしも村上の自宅では長女スージーの誕生パーティーが開かれており、フレッドの妻も客の一人だった。 マイケルの妻ナンシー(藤真利子)はマイケルに引退してほしいと頼む。 マイケルは、長女の出産時には麻薬組織に潜入中、長男の出産時には撃たれて入院していたのだ。 だが、責任感の強いマイケルは頼みを聞かない。 ある日、ナンシーは風邪をひいた柿沢夫人(中田喜子)から子供の学校への送迎を交代してほしいと頼まれる。 ところがナンシーとスージー、柿沢の娘エリは、道を聞くふりをした犯人たちに誘拐されてしまう。 犯人たちは、柿沢夫人でないことに気づくが、子供だけでも十分と判断、計画を続行する。 大宝商事・支店長の柿沢(小野寺昭)にビッグDと名のる犯人から脅迫電話が入り、柿沢はマイケルに連絡。 マイケルは柿沢を説得して、警察を動員させる。 犯人の要求は1時間以内に50万ドル用意しろというものだった。 柿沢は系列銀行の支店長(角野卓造)に依頼して身代金を手配する。 その頃、倉庫内で不審な動きを見つけたパトロール警官二人が犯人一味と遭遇、射殺さるという事件が発生。 犯人たちは隠れ家を移動する。 マイケルは札束に火薬で赤い粉末をまいて犯人にマーキングするブービートラップを仕込んでいた。 マイケルと柿沢が金の入ったバッグを持って銀行を出ようとしたとき、強盗グループが襲撃、二人を含めて客と行員が人質となってしまう。 これがダブル・パニック。 柿沢は銀行強盗に事情を説明して解放を求めるが、もちろん受け入れられない。 マイケルが刑事であることもばれてしまう。 一方、移動中の誘拐犯はグレーの番を盗み、乗り換えていた。 ナンシーはスージーのバッジでバンの塗料を削って落としていく。 柿沢は、犯人から銀行を走り出て3秒待って撃つという賭けをもちかけられ、これを受ける。 柿沢は負傷しながらも包囲したパトカーまで逃げ延びた。 柿沢夫人は犯人に、この映像が放送されているニュースを見させて説得、時間の引き延ばしに成功する。 マイケルは犯人の要求を呑むよう警察と交渉、最初は渋っていた警察だが支店長が撃たれて負傷するにおよんで承諾した。 このときマイケルは「ヒノマル」と一言加える。 マイケルの同僚は日の丸の赤がブービートラップの事だと察してリモコンを準備。 警官射殺事件を追う刑事は、駐車場に落とされたバッジを発見、付着した塗料から車種が割り出され手配が開始された。 銀行強盗は5人の人質を盾に逃走用車両に向かう。 リモコンのスイッチが押されるが点火しない。 2度3度、ついにトラップが作動、赤い粉が飛び散った。 一瞬たじろぐ犯人たち、その隙をついて狙撃隊が攻撃を開始、犯人たちは射殺された。 人質は救出され、マイケルもカスリ傷だけだった。 車内テレビでニュースを見る誘拐犯たちは、スージーの反応からナンシーの夫が刑事であることに気づいてしまう。 犯人たちは、身代金を奪った後に砂漠の隠れ家で人質を殺害することを決定。 食料を調達に入ったバーガー・ショップでナンシーは緊急通報番号999をケチャップでナプキンに書く。 逆さに見た店員は悪魔の数字666を落書きしたと怒るが、居合わせた警官が真意に気づいて追跡を開始した。 ナンシーは犯人の女性パティがリーダー・デイブの子を妊娠していることに気づく。 母親が犯罪を犯すことが胎教で子供に悪影響を及ぼすことを話し、子供たちだけは見逃してほしいと懇願した。 そのとき、観光バスが停車、運転手が日本人観光客に電話を貸してほしいと頼んでくる。 観光客はマイケルの変装だった。 マイケルは日本に長距離電話をかけるふりをして、日本語でナンシーたちに、子供たちはトイレに隠れて出ないようにし、ナンシーは事が起こったら伏せるようにと指示を出す。 マイケルが電話代を取ってくるといってバスに戻った間に、子供たちはトイレに行く。 隠れ家に戻ったマイケルたちは攻撃を開始。 一人また一人と倒されていく犯人。 デイブは子供たちを人質にとるが、ナンシーは横から飛びかかって子供たちを奪い返す。 バスルームに逃げ込んだデイブは、パティに子供を渡すよう指示するが、パティは従わない。激昂したデイブはパティに発砲、隙をついて飛び出したマイケルがデイブを射殺した。 パティはカスリ傷だったが、妊娠を知りながらデイブが自分を撃ったことにショックを受けていた。 子供との再会を喜ぶ柿沢夫妻とマイケルたち。 ナンシーはパティに感謝の気持ちを伝える。 事件は解決し、パティは警察に連行されていく。 銀行内の展開など多少不自然な部分もあるが、テンポの良い作品に仕上がっている。 ラストで犯人側女性の痛みを描写したあたりに、深作欣二・佐藤純弥コンビらしさが感じられた。 |