原題 ; EMERALD FOREST(1985) |
監督 ; ジョン・ブアマン |
脚本 ; ロスポ・パレンバーグ |
音楽 ; ジュニア・ホムリッチ、ブライアン・ガスコーニュ |
出演 ; パワーズ・ブース、チャーリー・ブアマン、メグ・フォスター、ディラ・パエス |
実話をヒントにした物語で全編アマゾン流域でロケされた、個性派ジョン・ブアマン監督作品中でも異色の一本。トメー役のチャーリー・ブアマンはジョン・ブアマン監督の息子。 1973年、ビル・マーカム(パワーズ・ブース)はダム建設のため、妻ジーン(メグ・フォスター)と2人の子供トミーとヘザーを連れてアマゾンの現場に赴任した。 トミーは森の中で原住民と出会う。最初はビルもあまり気にかけなかった。だが、次の瞬間トミーは姿を消し、どこからともなく矢が飛んできた。 ビルとジーンは作業員とともに捜索したが、ついに発見できず、10年が経ちダムも完成に近づいた。 夫妻はアマゾン原住民の研究を行い、ビルは記者ウベ・ワーナーを連れて更に奥地へと捜索の旅をすることになった。 残された矢は、奥地の原住民にとっても噂でしか知らない「見えない種族」と呼ばれる幻の種族が使う物らしい。 トミー(チャーリー・ブアマン)はトメーと呼ばれ、種族の戦士としてたくましく成長していた。彼は成人の儀式を耐え抜き、大人として認められるようになる。 種族の者たちは、聖なる石の粉を身体に塗ることによって敵から姿をくらませ、見えない存在になれると信じていた。トメーは聖なる石を取りに、戦闘族の住む地へと入っていく。 ビルたちも戦闘族と接触していた。ワーナーは殺され、銃を持ったビルは戦闘族酋長の意向で狩りの対象として一旦解放される。 追われる身となったビルは、森の中を逃げまどう。彼は、河で聖なる石を手にするトメーを見つける。息子とは気づかず銃を撃つビル。向き合ったときお互いに親子と気づいた。 ビルとトメーは迫りくる戦闘族をかわし、急流に泳いでいく。 トメーは、ビルは夢に出てくるパパで、父親は部族にいると言う。 部落に帰り着いたトメー。ビルは熱を出して危険な状態だった。育ての父である酋長ワナディは儀式を行ってビルを助ける。彼らは白人を、木々を根こそぎ倒すシロアリ族と呼んでいた。 トメーは聖なる石を持ってカチリの求婚する。 一方、戦闘族の酋長は銃を手に入れようと白人に接触、原住民の女と引き換えに銃を入手することにした。 傷の癒えたビルはトメーを連れて帰ろうとするが、トメーは断る。今の彼にとって部族との生活が全てだった。 トメーとカチリが結婚の儀式を行った夜、ビルは帰ることを決意する。酋長によって幻覚を見せられたビルが気づくと、そこは工事現場だった。トメー、ワナディら部族の男たちが運んだのだ。 男たちが部落に帰ると、戦闘族に襲われ焼きつくされていた。若い娘はさらわれ、他の者は銃で皆殺しにされたのだ。カチリも連れ去られていた。 亡くなった者の葬儀をすませ、男たちは武装して戦闘族の集落を目指す。もともと戦闘族の部落があったところはダムによって水の底になっていた。 娘たちは現地の売春宿に連れ込まれていた。夜陰に乗じて侵入しようとするが鉄条網に阻まれ、電線で命を落とす者も出てしまう。 白人の手下となった戦闘族の銃撃を受け次々と倒されていく。酋長ワナディも、トメーに跡を継ぐよう言い残して息を引き取る。 トメーは地球の果てを越え、もう一人の父を探して稲妻の槍について教えてもらう決心をした。 一人の仲間を連れて都会へと忍び込む。とにかく目立つ二人は地元のチンピラに追われるが、元コウモリ族の男に助けられた。トメーは神秘的な力によりビルの住居を探し当てる。 事情を知ったビルはトメーや幻の種族たちを連れて売春宿に向かう。客を装って入り込んだビルはカチリを通じて娘たちに指示を出す。 トメーたちも侵入を開始していた。戦闘族と銃撃戦になるが、ビルが酋長を撃ち殺すと逃げていった。 カチリや娘たちを助け出したトメーに、ビルはダムが完成すればもっと多くの白人がやってくると話す。 多くの水を流して堰を壊してしまえば良い、部落に戻ったトメーたちは儀式を行う。やがて豪雨となり水位が上がっていく。 ビルはダムから作業員を避難させると爆薬を仕掛けた。彼は点火ボタンを押すが不発だった。その時洪水が襲いダムを押し流していく。文明の無力を悟ったビルは、起爆スイッチを濁流へと投げ込むのだった。 やがて森の中で平和に暮らすトメー、カチリたち見えない種族の姿があった。 基本的には秘境探検物なのだが、大自然と人間の共存や対立を描いてジョン・ブアマン監督らしい骨太な作品に仕上がっている。 アマゾンに住むインディオの文化を尊重し、白人を自然の破壊者として糾弾する視点が現代的と感じた。 過酷な現地ロケが敢行されたとも伝えられているが、その甲斐あって、ジャングルの持つ神秘性が上手く表現されている。撮影は「戦場の小さな天使たち」「テイラー・オブ・パナマ」でもブアマン監督と組み、「猿の惑星」以降ティム・バートン監督ともコンビを組んでいる「ディーバ」の名手フィリップ・ルースロ。 詳しいことは知らないのだが、ブラジルの民俗音楽家だというジュニア・ホムリッチ(もしかしたらオムリッチかもしれない)とブライアン・ガスコーニュの音楽も、パーカッションと管楽器を主体にした演奏がファンタジックな雰囲気を盛り上げている。 |