原題 ; FAREWELL,MY LOVELY(1975) |
監督 ; ディック・リチャーズ |
脚本 ; デヴィッド・Z・グッドマン |
音楽 ; デヴィッド・シャイア |
出演 ; ロバート・ミッチャム、シャーロット・ランプリング、ジョン・アイアランド |
この作品はミステリー映画ですが結末まで記載してあるので御注意ください。 ハードボイルド・ミステリ映画化作品の代表作。 デヴィッド・シャイアによるスコアも優れていて、人工着色された街の夜景にテーマ曲が流れるオープニングから引き込まれる。 探偵フィリップ・マーロウ(ロバート・ミッチャム)は今回の事件で落ち込んでおり、楽しみといえばディマジオの連続ヒット記録くらいのものだった。 マーロウはホテル、カーサ・マリーナにナルティ警部(ジョン・アイアランド)を呼び出し、事件について話し始める。彼は殺人事件との関わりが疑われていた。 家出娘の創作を終えたマーロウは大男ムース・マロイ(ジャック・オハローラン)から、8万ドルの銀行強盗で7年間ムショに入っている間に姿を消した恋人ベルマの捜索を依頼された。 二人はベルマが働いていたという黒人街の酒場フローリアンに行くが、店主が銃を抜いたためマロイが殺してしまう。マーロウはマロイを逃がし、依頼人が正当防衛で殺したと主張した。 マーロウは安ホテルに昔フローリアンで働いていたバンドマン、トミーを訪ねる。フローリアンが白人向けの店だった時代の店主夫人ジェシー(シルヴィア・マイルズ)の居所を聞き出した。 アル中気味のジェシーは、酒を持ってきたマーロウを気に入り、トミーに電話してベルマの写真を手に入れてくれた。 ベルマはリンダと名を変えており、精神病院に入っていた。 これで一件落着と思ったとき、新たな依頼人リンゼイ・マリオットと名乗る男が現れた。盗まれたヒスイのネックレスを買い戻す現場に立ち会って欲しいというのだ。 一方、マロイに例の写真を見せたところベルマではないと判明した。マーロウはなぜ偽の写真を渡したのか調べようとするが、トミーは行方不明になっていた。 ネックレス買い戻しの現場に行ったマーロウは背後から殴られて気絶。気づくとマリオットは殺されていた。マーロウは警察の尋問を受けるはめに。 マーロウはファイツイという名のヒスイを手がかりに事件を追う。ヒスイの持ち主は有力者グレイル判事だった。 グレイル邸を訪れると現れたのは夫人のヘレン(シャーロット・ランプリング)。老グレイル氏はネックレスは盗まれていないと言う。 マーロウは一杯やってヘレンとキスしているところをグレイルに見られてしまう。グレイルは見て見ぬふり、ヘレンも動じない。 事務所に戻り、またも背後から殴られたマーロウは大女アムソーの元に連れて行かれる。彼女は売春宿の経営だ。 アムソーに麻薬を打たれて意識を失ったマーロウが気づくと、その部屋にはトミーの死体があった。 マーロウは意識を失ったままのふりをしてアムソーの部下を倒し銃を奪う。彼はアムソーから真相を聞きだそうとするが、彼女は身内のいざこざから部下のジョニー(シルヴェスター・スタローン)に撃ち殺されてしまう。 親友ジョージーのもとに転がりこんで体力を回復したマーロウはトミーの死を彼の家族に告げた。ディマジオは連続安打記録を更新し続けている。 事務所に戻ったマーロウはヘレンに呼び出された。そこで彼は検事ブルネットからマロイに会わせるよう依頼される。 マーロウは運転中を狙撃された。2発が彼をかする。 ジェシーから連絡が入ってマーロウはバーボンを手土産に出向く。ベルマを見つけたというのだ。ベルマはマロイと二人きりで会いたいと言っているという。 マロイはついにベルマと再会することになるが、これは罠だった。間一髪、罠に気づいたマーロウは銃撃戦の末マロイを救う。 今度はジェシーが自宅で殺されていた。マーロウはマリオットが持っていた彼の名刺が、ジェシーに渡したものであることに気づいた。 ここで冒頭に戻り、マーロウはナルティ警部に頼みごとをする。マーロウはマロイを連れてブルネットの経営するカジノ船に乗り込む決心をしたが、警察が踏み込まなければ生きて帰れないと感じていた。関係者は皆死に、残ったブルネットが真相を知っているに違いない。 ジョージーも殴られたが口を割らなかった。 ブルネットの船にはヘレンがいた。彼女こそベルマだった。判事夫人となった彼女は売春婦だったという過去を知る者を片付けていたのだ。 マロイはヘレンに射殺されたが、隙を突いてマーロウはヘレンを撃った。 マロイは真相に気づきもしないうちに死んでいった。たとえ知らされたとしてもベルマを許していただろう。 こうして事件は終わったが、ディマジオの記録は途絶えてしまった。 2000ドルを懐にしてトミーの遺児がいる安ホテルに向かうマーロウの後ろ姿で終わる幕切れも魅力的。 個人的にモノローグの多い映画は、あまり好きではないのだが、この作品は例外だった。 落ち込みながらも、ディマジオの記録を励みに活躍する主人公のしがない探偵ぶりが魅力。 雰囲気のある演出という点では出色という気がする。 欠点は、見ている側はベルマが誰であるか早くから見当がついてしまうのに、マーロウが最後まで真相を見抜けないこと。謎ときがメインのストーリーではないのだが、やはり主人公が頼りなく見えてしまう。 余談=この作品の成功により、ロバート・ミッチャムのマーロウは、「大いなる眠り」で再登場した。ハンフリー・ボガートの傑作「三つ数えろ」のリメイクにあたるのだが、舞台を無理やりイギリスに移すなど設定が変更され芳しい出来ではなかった。製作者からして「最初から「三つ数えろ」のような名作にかなわないことは分かっていたが、(1作目がヒットしたので)作らなければならなかった」というような消極的な発言をしていた。 |