原題 ; FOLLOW ME!(1972) |
監督 ; キャロル・リード |
脚本 ; ピーター・シェファー |
音楽 ; ジョン・バリー |
出演 ; ミア・ファーロー、トポル、マイケル・ジェイストン |
THE PUBLIC EYEの別題あり。 キャロル・リード監督の遺作にして「第三の男」と並ぶ最高作。 60歳を過ぎての演出とは思えない感性豊かな作品。 どちらかというと中性的な印象のミア・ファーローを最もチャーミングに撮った作品とも思う。 ユーモラスでありながら、どこか孤独感を感じさせるトポルも魅力的。 ジョン・バリーによる切なげなスコアも素晴らしい。 ロンドンに住む多忙な公認会計士のチャールズ(マイケル・ジェイストン)は妻ベリンダ(ミア・ファーロー)の浮気が心配で探偵社に素行調査を依頼した。 やってきたのは風変わりでマカロン好きな探偵クリストフォル(トポル)。 チャールズはクリストフォルにベリンダとの馴れ初めを話し始める。 チャールズは、たまたま入ったレストランで新米ウェイトレスのアメリカ娘ベリンダと出会った。 美術館や城を見学してまわる二人。 堅物の会計士と元ヒッピーの二人は、それぞれが知らない世界に魅力を感じて結婚した。 だが、結婚パーティーに集まった上流階級の人々からしてベリンダには違和感を感じさせた。ベリンダは日中一人でいることが耐え切れず、あちこちを出歩くようになる。それがチャールズに浮気の疑惑を抱かせたのだ。 一人ロンドンをさまようベリンダをスクーターで尾行するクリストフォル。 ベリンダはハマー・ホラー2本立てを2回見たりしていた。 調査の結果、ベリンダには若くて二枚目でセンスの良い恋人がいるという。 ベリンダの浮気が目に浮かんで仕事に手がつかないチャールズ。 ベリンダには家庭が学校のように息苦しいものに感じられていた。 恋人のことを問い詰めるチャールズに、ベリンダが話し始めた。 ベリンダが男に会ったのはテムズ川の遊覧船。 白いレインコートでマカロンをかじる風変わりな男、それはクリストフォルだった。 それ以降クリストフォルは堂々とベリンダについていくようになった。 一言も口をきかず距離を置いて、それでも一つの時を過ごす二人。 ベリンダは、陽気に振舞うクリストフォルに自分と同様な孤独を感じていた。 クリストフォルがバックミラー片手に先導してロンドンの名所めぐりもした。 言葉を交わさないことが、かえって自由を感じさせて楽しいというベリンダ。 怒ってクリストフォルの家に駆け込むチャールズ、追いかけてきたベリンダはクリストフォルの正体が夫に雇われた探偵であることを知ってしまった。 その日からベリンダは行方をくらましてしまう。 やがて探偵社を辞めたクリストフォルがベリンダを見つける。 ベリンダは、今でもチャールズを愛していた。 クリストフォルは、自分がベリンダと共に歩いて味わった人生の喜びをチャールズに与えれば二人に新しい人生が開けると考えた。 クリストフォルはチャールズに10日間15mの距離を置いてベリンダと共に過ごし、同じものを見て同じ音を聞けば離婚を避けられると提案。 最初は反発するチャールズだが、クリストフォルに諭されて白いレインコートを借りベリンダを追いかけ始める。 口八丁でチャールズの仕事を引き継ぐクリストフォル。 その頃二人はテムズ川の遊覧船に離れて乗っていた。 そ知らぬ顔のベリンダ、見つめるチャールズ。二人の表情は楽しげだった。 妻を上流社会に合わせて教育しようとした男が、逆に妻を理解するために10日間仕事を離れるようになる展開は、「マイ・フェア・レディ」のアンチ・テーゼを思わせて興味深い。 |