原題 ; THE FEARLESS VAMPIRE KILLERS(1967) |
監督 ; ロマン・ポランスキー |
脚本 ; ジェラール・ブラッシュ、ロマン・ポランスキー |
音楽 ; クリストファ・コメダ |
出演 ; ロマン・ポランスキー、ジャック・マッゴーラン、シャロン・テート |
昨年、「戦場のピアニスト」で復活を果たしたロマン・ポランスキー監督が、自ら主演した異色作。 数多い吸血鬼コメディの中でも一番好きな作品。 ポランスキー監督で、他のコメディ・タッチの作品は「欲望の館」「パイレーツ」と失敗作ばかりなので、唯一の成功作という気がする。 おなじみMGMのライオンがアニメのヴァンパイアに変身してしまうオープニングも楽しい。 トランシルバニアの奥地、アブロンシウス教授(ジャック・マッゴーラン)と弟子のアルフレッド(ロマン・ポランスキー)は、馬車で夜道を走っていた。 アブロンシウス教授は吸血鬼ハンターなのだが、学会では笑い者にされていた。 狼を追い払いながら村に着いたが、いつの間にか教授は凍っていた。 なんとか解凍されて復活した教授は、宿屋に吊るされたニンニクを発見。今度こそ吸血鬼が見つかると大ハリキリ。 一方、宿屋の親父ヨイネ(アルフィー・バス)は女中のマグダに夢中。かみさんの目を盗んで夜這いのチャンスをうかがっている。 アルフレッドは、ヨイネの娘サラの豊かな胸に一目ぼれ。 サラが風呂に浸かっていると天窓から黒マントの吸血鬼(ファーディ・メイン)が襲ってきた。 アルフレッドたちが駆けつけると、サラはすでにさらわれた後だった。 吸血鬼の正体は城に住むフォン・クロロック卿。ヨイネは城に向かうが、翌朝凍って発見された。身体の何箇所にも2本の牙の痕があった。 吸血鬼になるのを防ぐためヨイネに杭を打ち込もうとする教授。すでに吸血鬼化したヨイネは逃亡してしまう。 マグダを襲うヨイネ。マグダは血を吸われてしまう。 教授たちはスキーでヨイネを追って城に到着。侵入した二人は、クロロック卿と対面。 クロロック卿と教授は、お互いにとぼけてコウモリ談義に花を咲かせる。 朝が来て霊安室の棺にもぐりこむクロロック卿と息子のハーバート(イェーン・クォーリア)。ヨイネも棺を持ち込んで寝ようとするが、追い出されて馬屋で寝るハメになる。 チャンスとばかりに城を探索する教授たち。残っているのは人間の召使クーコルのみ。 教授たちはクーコルの目を盗み、キャット・ウォークをつたって霊安室に向かう。高窓から入ろうとするが、教授はつかえてしまった。 アルフレッド一人で杭を打つことになる。二つの棺を開けると、ハーバードの棺にはヨイネも潜り込んでいた。 結局、アルフレッドは杭を打つ度胸がなくて退却。歌声に誘われたアルフレッドは、風呂場でサラに出会う。 アルフレッドは窓につかえたままだった教授を助け出すが、吸血鬼殺しの道具は谷に落ちてしまった。 日が暮れてアルフレッドがサラを探しに風呂場に行くと、そこにいたのはハーバード。ハーバードは鏡に映らない。 詩を読みながらアルフレッドに迫るハーバード。彼はゲイだった。 牙をむくハーバードに本を噛ませて逃げ出すアルフレッド。 棺桶から歴代の吸血鬼たちが蘇えり、舞踏会が始まる。 世界は我々の支配を待っていると豪語するクロロック卿。 教授たちは砲台に閉じ込められてしまう。教授は大砲を暴発させて扉を破壊。 脱出した教授たちは変装して舞踏会に潜り込む。 サラを助けて逃げようとする教授たち。広間の鏡に映ったのが三人だけなのでばれてしまう。 剣で十字を作り、ひるんだ隙に逃げ出す三人。 三人は馬車を奪って城を脱出。棺をソリ代わりにして追いかけてきたクーコルは谷を墜落していった。 ついにサラ救出成功と喜ぶアルフレッド。だが、サラは牙をむいてアルフレッドに噛み付いた。間に合わず吸血鬼化してしまったのだ。 後ろの事態に気づかず馬車をとばす教授。このため吸血鬼は世界に蔓延してしまった。 余談その一=シャロン・テートは、この作品の後ロマン・ポランスキーと結婚したが、妊娠中に邪教集団マンソン一味に殺害された。この作品のオープニングタイトルではアニメの血がクレジットのスクロールにあわせて流れ落ちていき、その血がシャロン・テートのクレジットでハート型になる。その場面を見るたびに悲しい気分になってしまう。シャロン・テートの初期作品にテレビの傑作コメディ「じゃじゃ馬億万長者」があり、1963から1965年に出演していたらしい。その間、ジェームズ・コバーンも出た「卑怯者の勲章」にも出演しているが、クレジットにも載らないほどの端役だったようだ。 余談そのニ=教授役のジャック・マッゴーランは「ドクトル・ジバゴ」など多くの作品に出演した名バイ・プレイヤーで「エクソシスト」が遺作となった。ジョージ・ハリソンが音楽を担当した主演作「ワンダー・ウォール」ではハーバード役のイェーン・クォーリアと再共演している。(この二人はポランスキーの前作「袋小路」でも共演) 余談その三=ロマン・ポランスキーとのコンビ作が目立つ音楽のクリストファー・コメダは1969年37歳の若さで亡くなっている。「吸血鬼」のサントラは私の知る限り未発売だったが、最近になって「ローズマリーの赤ちゃん」とのカップリングでCD化された。 |