原題 ; THE GENERAL(1998)
 監督 ; ジョン・ブアマン
 脚本 ; ジョン・ブアマン
 音楽 ; リッチー・バックレー
 出演 ; ブレンダン・グリーソン、ジョン・ヴォイト、エイドリアン・ダンバー
実在したアイルランドの大泥棒マーティン・カーヒルを描いた犯罪映画。
ある朝、車で出発しようとしたマーティン・カーヒル(ブレンダン・グリーソン)、通称「大将(ジェネラル)は駆け寄った若者に射殺される。「ジェネラル」死亡の報に警察は湧きかえった。
だが、長年の好敵手を失ったケニー警部補(ジョン・ヴォイト)の顔は優れない。
マーティンは少年時代からこそ泥だった。家族のため食料品をくすねていたのだ。
少年院から始まって入出獄を繰り返し幼馴染のフランセス(マリア・ドイル・ケネディ)と結婚、子供も出来て中年親父となった。
まだ警官のケニーから足を洗えと忠告されるが聞かない。
ゴールドディスクからおもちゃまで手当たり次第盗みまくる。
銀行に大金を預けてからケニー刑事に面会、自分のアリバイを作ると同時に部下に銀行を襲わせたりもする。
またも逮捕されて裁判になるが、証人の医師を爆弾で負傷させて証言できなくする。
だが、これは少しの時間稼ぎにしかならず、医師は復帰してきた。被害者が危険を感じなければ無罪という判例を知ったマーティンは証人の銀行窓口係を脅迫した。
その間も部下たちと犯行を繰り返し、大量の金塊を強奪する。
一方、裁判は銃を突きつけられても危険を感じていなかったという妙な証言で、無罪を勝ち取る。
マーティンはIRAに目を付けられた。盗品の分け前をせしめようというのだ。IRAは麻薬撲滅運動を先導し、マーティンの相棒で麻薬中毒のノエル(エイドリアン・ダンバー)を糾弾し圧力をかけてくる。
マーティンの次の標的は美術館。わざと警報を鳴らして誤作動と思わせ、本番を実行する手口は「おしゃれ泥棒」の手本か。
ケニー警部補はマーティンに徹底した監視をつける。警官二人に張り付かれマスコミの取材を受けてマーティンはスター気取り。
パトカーに尾行されると予備のガソリンを持って連れまわし、パトカーをガス欠にさせて置いてけぼり。
絵画を持て余したノエルは返して賞金をせしめようと提案するが、マーティンは様子を見ることにする。
贅沢が過ぎたかマーティンは糖尿病で倒れる。疲れ果てたノエルは足を洗う決意をして自首。仲間たちの多くは逮捕されるか死んでしまった。
マーティンは絵画をUVAに売りさばこうと計画する。だが、絵を渡したUVAの男たちが逮捕されてしまう。テロリストとの関与を知られマーティンは世間を敵にした。
追いつめられても人をおちょくるマーティンは、ひげとメガネで変装して公判に出席したりする。
仲間のゲイリーは酔ったはずみで娘に手を出し訴えられてしまう。強盗に襲われて怪我したことにして休廷に持ち込み時間を稼ごうと、マーティンはゲイリーの膝を撃ち抜く。
間抜けなゲイリーは感謝するが、酒のうえとはいえ娘に手を出した彼をマーティンは許せなかったように見える。
マーティンが久しぶりに妻フランセス、義理の妹ティナと三人でレストランの食事を楽しんだ翌朝、見張りの警官たちが姿を消していた。ついに勝ったのか。車に乗り込んだマーティン目がけて暗殺者の青年が駆け寄ってきた。
マーティン・カービルは、時には暴力的な手段もとるが、子供っぽい一面も持つ陽気なキャラクターとして描かれている。
特にジョン・ブアマンらしい作家性はないが、アイルランド男の反骨精神に溢れた楽しめるビカレスクに仕上がっている。
作品全体が、大らかなイメージを持っているので、サブタイトルの「天国は血の匂い」はミスマッチに思えた。
個人的には、IRAはともかく、UMAという組織の知識がなかったので、把握しづらい部分があった。
ジェネラル/天国は血の匂い