原題 ; LA GUERRE DES BOUTONS(1961) |
監督 ; イヴ・ロベール |
脚本 ; フランソワ・ボワイエ |
音楽 ; ジョセ・ベルグマン |
出演 ; アンドレ・トレトン、ジャン・リシャール、ミッシェル・イセラ、アントワーヌ・ラルチーグ |
ルイ・ベルゴーの名著「ボタン戦争」の映画化。 フランスの片田舎ロンジュベルヌとベルラン二つの村の子供たちは、ことごとく対立していた。 今日も寄付金集めをめぐって衝突、ベルランの連中にフニャチンとののしられるが何のことか分からない。 そこで小さい子をだまして父親に言わせ様子を見てみることにした。効果は絶大、激怒した親父を見て、なるほどたいした悪口だったんだなと納得した。 その夜、ロンジュベルヌの一行はベルランに遠征、敵のリーダー、ラズテック(ミッシェル・イセラ)の家に「ベルランはケツの穴」と書いて帰った。 翌日は採砂場で戦闘となりベルランのミグを捕虜にした。ロンジュベルヌのリーダー、ルブラック(アンドレ・トレトン)はミグの服からボタンを全てはぎ取って解放した。 だが、翌日はルブラックら主要メンバーが学校に居残りとなってしまい、戦闘はロンジュベルヌに不利に展開、遅れて駆けつけたルブラックは孤立したカミュを助けようとして捕まってしまう。 ボタンをすべて取られ悲嘆にくれるルブラック。 ボタンのないことを知った父親(ジャン・リシャール)にお仕置きを食らってしまう。 そこで一計を案じロンジュベルヌ軍は全裸で戦闘の参加、度肝を抜かれたベルラン軍は敗退するが、寒くて風邪をひく者も出て意気は上がらなかった。 次にルブラックは、みんなから20フランずつ集め予備のボタンやサスペンダーなどを買い置きすることを提案。 金のないプチ・ジュビス(アントワーヌ・ラルチーグ)らが反対したため、ルブラックは全員で協力して稼ぐことにした。 桃、キノコ、魚、カエル、ヘビ、片っぱしから採って金に換える。 高価なキツネを仕留めたときは大騒ぎ、メスのほうが高く売れるのでチョン切ったりした。 必要なものを買い集め隠れ家の建設も決まって意気揚々のロンジュベルヌ軍。 翌日の戦闘では石の当たってウサギが怪我をしたので停戦して両軍で手当して放してやる。 次はルブラックが借りてきた馬で攻め込み大勝利。 ある日、ロンジュベルヌのバカイエはラズテック親子と一緒になり、トラクターに乗せてもらいたい一心でロンジュベルヌ軍の秘密をばらしてしまう。 勝利の続くロンジュベルヌ軍は小屋で大宴会、リンゴをくりぬいて作ったグラスに持ち出した酒を注いで大騒ぎ。 そこにトラクターに乗ったラズテックを先頭にベルラン軍が攻め込んでくる。 踏み潰される小屋、ロンジュベルヌ軍は大敗するがラズテックのトラクターも故障してしまう。 密告者バカイエは皆に鞭打たれ上着を取られて帰ってくる。 バカイエが戦争や小屋のことをばらしてしまったので、皆はお仕置きしようとてぐすね引いている父親たちの元にしおしおと帰っていく。 寄宿舎行きを恐れたルブラックだけは帰らず森に隠れてしまう。 ルブラックの親父たちは探しに出るが結局酒盛りになってしまい埒があかない。 やがて本格的な捜索が始まり、ルブラックは木の上に隠れるが、なんとその木を木こりが切り始めてしまう。 木とともに倒れたルブラックはついに捕まり寄宿舎送りに。 そこにやって来たのがトラクターを壊したことで同じく寄宿舎送りとなったラズテック。 「大人も思ったよりバカだ」 思わず抱き合った二人は嬉々として追いかけっこを始めるのだった。 原作が書かれたのは1913年、映画は内容を巧みに現代に移し変えてある。原作にトラクターは登場しないし、映画の子供たちは皆こざっぱりした身なりだが原作ではきちんとした服を着るのは教会に行く日曜の晴れ着くらいだ。 ラストにルブラックとラズテックの友情の芽生えを描いているのも映画のオリジナル。鮮やかな幕切れとなっている。 余談その一=原作の訳者なだいなだの解説によれば、原作者ルイ・ベルゴーには数作の動物小説(その一作でゴングール賞受賞)があるが、一般小説は「ボタン戦争」のみ。作者の分身らしいインテリ少年・キリギリスがロンジュベルヌを離れ寄宿舎で活躍する続編を構想中だったともいわれるが、1914年第二次世界大戦に召集されて帰らぬ人となった。激戦地で行方不明となり死体も見つからなかったという。これもまた愚かな戦争の残した猛悪な傷跡の一つといえる。映画のラストは構想中だったという続編の話にヒントを得たのかもしれない。 余談その二=この作品で「来るんじゃなかった」が口癖のプチ・ジュビスを演じたアントワーヌ・ラルチーグが、その可愛らしさからブレイク。翌年、イヴ・ロベール監督はラルチーグ主演で「わんぱく旋風」を製作した。 |