| 年度 ； （1995） |
| 監督 ； 神代辰巳 |
| 脚本 ； 神代辰巳、本調有香 |
| 音楽 ； |
| 出演 ； 柳ユーレイ、柳愛里、五十嵐光樹、石田幸、加藤綾子、仙波和之、ダンカン |
| 神代辰巳監督の遺作となったビデオ用作品。allcinema onlineを見ると、病を押しての撮影だったとの書き込みがある。 悦子（柳愛里）がアパートの部屋を見ていると、前の住人という男、坂本武（柳ユーレイ）が入ってくる。 武は元先物取引の営業マン。そこに取引で大損したという男がやってくる。 あわてて鍵を閉め、悦子の口をふさぐ武。そのまま悦子を抱いてしまう。 武は父、文夫の経営するスーパーに勤め始める。彼はバーで悦子と再会した。悦子は武が自分の顔を覚えていたことに満足して帰っていく。 武はバーのママ、ユミとも関係を持っていた。 弟の敏（五十嵐光樹）が悦子を連れて里帰りしてきた。武が悦子に問いつめると、弟と付き合ったのは偶然らしく、敏が武の弟と分かる前は結婚を考えていたのだという。 悦子は、武が会社を辞めて行方が分からなくなった頃、敏と出会って惹かれるようになった。だが、武への想いも忘れられずにいたのだ。 人気のない季節外れの海の家で、悦子は武の服を脱がし抱き合う。 敏とともに鴨川のホテルに泊まった悦子は武を呼び出す。悦子は敏にプロポーズされた。板ばさみになった彼女は姿を消す決意をしていた。これが最後、といって悦子は武と寝た。 敏は、突然悦子がいなくなったことにショックを受ける。それでも彼女への想いは断ち切れなかった。 ある日、武が帰宅すると敏と悦子が来ていた。入籍したのだという。机の下で手を伸ばしこっそり武の手を握る悦子だった。 ユミの部屋で食事会が開かれた。敏が来る前に、ユミは悦子が二人を操っており、悦子が武との関係を続けるために敏と入籍したという噂があることを話す。ユミが席を外すと、さっそく二人は抱き合う。 ユミは、やって来た敏に武と悦子が自分の部屋とセックスしているところを見せてしまう。 武を呼び出したユミは、敏が死にたいと言って行方不明になったことを告げる。敏は相談したいことがあるといってユミに会い、席を外したままいなくなってしまったというのだ。 武とユミが港へ向かうと、警察が飛び降り自殺で騒いでいる。狂言自殺だと思いこんで協力していたユミはショックを受ける。武は敏と決まったわけじゃないと去っていく。 崖の下に敏の服が流れ着いたと刑事がやって来た。武は、敏は自殺するような奴じゃないと繰り返す。 悦子は、私とあなたとで敏を殺したのだと言う。 武はスーパーの事務員を関係を持つ。 車で悦子を送る武。悦子は時間をかけて帰りたい、と言って車を降りる。彼女は「私も敏が死んだとは思ってないから」と言って去っていく。 ある日、武のもとに「明日釣りに行こう」という電報が届く。浜辺で再会する兄弟。敏は本当に崖から飛び込んたが、助かっていたのだ。 悦子は、その後音信不通だった。彼女のことは二人とも本気だったと言う。 釣りをする二人の姿で映画は終わる。 一種独特な緊張感のなさが神代監督らしい気がする作品。 兄弟で一人の女性と関係を持つのだが、淡々として描写されるので、あまり背徳的な印象を受けなかった。 神代監督の作品って、どこか農耕民族的な香りのするものが多い気がする。 ただし作品としての完成度は微妙。 特に主演の柳ユーレイと柳愛里は演技的にも肉体的にも少々貧弱。 柳愛里は「命」の柳美里の妹で、聖心女大出身の女優として売り出したが伸びなかった。今回も舌足らずなセリフ回しがイマイチ。アンニュイな雰囲気が出ずに幼稚な印象を与えてしまっている。 日活ロマンポルノの時代に最盛期の神代監督が当時のキャストで作ったら、もっと力のある出来栄えになったのてはないがと思うと残念。 |
