原題 ; ISLANDS IN THE STREAM(1977) |
監督 ; フランクリン・J・シャフナー |
脚本 ; デニー・バート・プティットクラーク |
音楽 ; ジェリー・ゴールドスミス |
出演 ; ジョージ・C・スコット、デヴィッド・ヘミングス、クレア・ブルーム |
アーネスト・ヘミングウェイの原作を映像化した作品。 1940年、英独が戦争状態にある時代。 かってパリで人気を博した芸術家ハドソン(ジョージ・C・スコット)は2度の結婚に失敗し、英領ハバナのビミン島で隠遁(いんとん)生活を送っていた。 その夏、彼の元に二人の妻との間に生まれた三人の息子がやってくる。 二人目の妻とはいさかいが絶えなかったため、いがみ合う両親の姿を見て育ったデヴィッドは、なかなか彼に馴染めなかい。 そのデヴィッドも、カジキ漁を通じてハドソンと交流を深めるようになる。 一方、最初の妻オードリー(クレア・ブルーム)との子トムは、空軍に入隊する決意をハドソンに告げた。 夏が終わり三人が去ると、ハドソンはこれまでにない孤独を感じるのだった。 数ケ月後、今度はオードリーがやってくる。用件は自分の再婚とトムの戦死だった。 ショックを受けたハドソンは、アメリカに渡り残った子供たちと暮らす決心する。 彼は助手のエディ(デヴィッド・ヘミングス)、下男のジョセフ、元海兵隊のウィリーとともに、自船トルチェカ号で出港する。 途中でトルチェカ号は、4人のユダヤ人亡命者を乗せたラルフ船長の船がドイツ軍Uボートの攻撃を受けて遭難しているところに遭遇。 ユダヤ人を助けることにしたハドソンは、キューバを目指す。 キューバの海岸にラルフ船長と二人のユダヤ人を降ろしたところでキューバの警備艇に見つかってしまう、ハドソンはトルチェカ号を囮にして船長たちを上陸させる。 警備艇からの発砲でエディは死んでしまう。ハドソンは彼を海に葬る。 サンゴ礁を縫って逃げ、水路に入って残る二人のユダヤ人も降ろす。 さらに追撃してくる警備艇をかわすため、ハドソンはガソリンの樽を流して、それを撃ち爆発させる。 だが、機関銃の掃射がハドソンを貫いた。彼は、ジョセフとウィリーに看取られて死んでいくのだった。 主人公のキャラクターはアーネスト・ヘミングウェイ本人を投影させて描かれたもので、生前には出版されなかった。これも自伝的要素が強すぎたため本人が出版に踏み切れなかったためと伝えられている。 また、本作の一部分だけを短編化したものがピュリッツアー賞受賞の「老人の海」であるとも伝えられている。 原作は読んでいないのだが、主人公は息子の死を知ってUボートに戦いを挑むという展開になっているらしい。映画にすると復讐物のアクションとなってしまう可能性があるため、アメリカに向かう途中、亡命の手助けをするという展開に変えたとのこと。 フランクリン・J・シャフナー監督は、テレビ界出身で「七月の女」で映画に進出してから総作品数15本と意外に寡作。晩年の作品は日本に紹介もされていないのだが、「猿の惑星」と「パットン大戦車軍団」で名を残した。 本作は主演ジョージ・C・スコット、音楽ジェリー・ゴールドスミスという同監督の「パットン大戦車軍団」トリオを再現(撮影のフレッド・J・コーネカンプも同じ)したが、趣はまったく異なっている。 全編渋くまとめすぎたきらいはあるが、ジョージ・C・スコットの演技によって奥行きのある作品に仕上がっている。終盤のアクションよりも、淡々と描かれる島の生活描写に魅力を感じた。 ジエリー・ゴールドスミスは、得意とする無旋律の楽曲を提供。心の機微を繊細に表現しており優れたスコアだと思う。 見てからかなりの年月が経っており細部はほとんど覚えていない。今回ビデオも見つからなかったため、ストーリーはインターネットなどで調べ直した。 地味ではあるが、DVD化してほしい作品の一つ。 |