原題 ; KING OF HEARTS(1967) |
監督 ; フィリップ・ド・ブロカ |
脚本 ; ダニエル・ブーランジェ |
音楽 ; ジョルジュ・ドルリュー |
出演 ; アラン・ベイツ、ジュヌヴィエーブ・ビジョルド、ジャン・クロード・ブリアリ |
ジャン・ポール・ベルモンドとのコンビで人気のあったフィリップ・ド・ブロカ監督による風刺コメディーの秀作。 ド・ブロカ監督作品はペーソスとエスプリに満ちた、いかにもフランス映画らしいコメディーが多く、それでいてフランス映画に多いひねくれた人物描写が少ないのが好き。 日本に紹介されている作品が少なくて残念。 本作は単なる反戦映画にとどまらず、人間社会そのものを皮肉っている。 ジョルジュ・ドルリューの哀感に満ちたメロディーも作品の完成度を高めている。 第一次大戦末期、敗走するドイツ軍はフランス片田舎の村に爆弾を仕掛けて撤退、村民も皆避難してしまう。 爆弾を知ったフランス軍は通信兵プランピック(アラン・ベイツ)を偵察に送り込む。 伝書鳩を連れたプランピックは無人の村で、残っていたドイツ兵に追われ精神病院に逃げ込む。 そこでたまたまハートの王様と名乗ったことから、患者たちは王様が帰ってきたと大喜び。 ドイツ兵から逃れたプランピックが気絶している間に、患者たちは病院を抜け出し村でそれぞれ好きな役柄を演じ始める。 プランピックがニセの村民とは知らずに爆弾の調査をするチグハグなやりとりが楽しい。 プランピックは、その中の一人娼婦に扮したコロンバイン(ジュヌビエーブ・ビジョルド)に一目ぼれする。 爆発の直前、プランピックは人形の兵隊が鐘を叩く仕掛け時計に爆弾が仕掛けられていることに気づき、自分が叩かれて爆発を阻止。 進攻して村を開放したフランス軍は、相手が患者たちとも知らずパーティーを開く。 翌朝、村を去ろうとするフランス軍は、不発の調査に戻ったドイツ軍と鉢合わせ、銃撃戦となりプランピックを残して両軍全滅してしまう。 あまりの異常さにあきれる患者たち。 やがて本当の村民たちが戻り始める頃、患者たちはこの遊びも飽きたと病院に帰っていく。 プランピックは勲章を受けるが、戦争に嫌気がさし、軍服を脱ぎ捨てて素っ裸で鳩のカゴを持ち精神病院の前に立つのだった。 名場面といえるラストシーンだが、レーザーディスク版は妙に短くチョン切れた印象で余韻がない。オリジナル版からこうなのか、英字版エンド・クレジットに差し換えたためこうなったのかは不明。 |