原題 ; L'AS DES AS(1982) |
監督 ; ジェラール・ウーリー |
脚本 ; ジェラール・ウーリー、ダニエル・トンプソン、ザヴィエ・シュワルツェンベルガー |
音楽 ; ウラディミール・コスマ |
出演 ; ジャン=ポール・ベルモンド、マリー=フランス・ピジェ、フランク・ホフマン |
第2次大戦の前、ナチスが台頭しベルリン・オリンピックが開催されるドイツを舞台に、ジャン=ポール・ベルモンドが活躍する冒険コメディ。 ジョー・ガヴァリエ(ジャン=ポール・ベルモンド)は第1次大戦の初期、フランスのパイロットとしてドイツの好敵手ギュンター(フランク・ホフマン)の操縦する複葉機と空中戦を展開。 背後を取ったジョーはギュンター機を銃撃。翼をもがれたギュンターは、網を投げてジョー機のプロペラにからめ、回転を止めてしまう。 ともに不時着した2人。地上で殴り合いになるが両軍の砲撃が始まってしまう。 20年後の1936年、ジョーはボクシングのコーチをしていた。弟子のミシェロとともにオリンピック出場を決めた。 それはベルリン・オリンピック。政治的な問題で賛否両論だった。 ジョーは酒場での雑談を記者のギャビー(マリー=フランス・ピジェ)に記事にされてしまう。 ドイツに到着した選手団。ジョーは、ギャビーにシモン少年を叔父の家に送るよう頼まれた。 叔父の本屋はナチの手入れが入っていた。ほとんどの本を発禁にして、「我が闘争」を棚に飾る。 ジョーはナチを殴りつけて逃走。追われるジョーは聖火ランナーに化けて、群衆の中を堂々と走っていく。だが、身分証明書を落としてしまっていた。 ホテルにシモンが家族とともに現われた。ジョーは選手の部屋にかくまうことにする。 ホテルの部屋でジョーとギャビーが良い雰囲気になったとき電話がかかり、ジョーは彼女が問題の記事を書いた記者であることを知る。 翌朝。ジョーは将軍となったギュンターと再会する。ジョーはナチに目をつけられており、ナチはギュンターにとっても危険な存在だった。 いよいよオリンピックが開会。 シモンから家族が逮捕されてしまったと連絡が入った。ジョーは試合をパスし、新型複葉機でギュンターとともにシモンのいる村に向かう。 パラシュートで降下したジョーは、シモンを連れて彼の姉が待つ宿屋へ向かう。 そのころ選手村にはナチの捜査が入っていた。そうとは知らないジョーは仲間に居場所を連絡してしまう。 ジョーとシモンが野宿し、パラシュートにくるまって寝ていると小熊がやってきた。朝起きると小熊も一緒に寝ているのでビックリ。親熊が現われたので更にビックリ。 慌てて車に飛び乗るが、小熊も乗り込んでしまう。小熊連れでナチの検問に到着。シモンがいるのがばれて強行突破する。 4台のバイクが追跡してきた。ジョーはスペアタイヤを投げて2台を倒す。 ところが荷台に積んでいたパラシュートが開き減速してしまった。ジョーがロープを切るとパラシュートは残った2台のバイクにからみついた。2台は木に激突。 二人は車を捨て、小熊とも別れて徒歩で進むが、結局逮捕されてしまう。 ジョーはギュンターの銃を奪い、シモン一家とともに逃亡。オーストリアへの国境を目指す。だが、標識が逆になっているのに気づかず、ヒトラーの山荘へと向かってしまう。 山荘にはギャビーがヒトラーのインタビューに来ており、ギュンターも招かれていた。 今頃ジョーたちはオーストリアだと喜び合うギャビーとギュンター。鉄条網を国境線と勘違いしたジョーたちが山荘に侵入していた。 山荘に着いたジョーたちは、楽隊と間違えられてしまう。 ヒトラーの妹アンジェラは、すっかりジョーが気に入った。このアンジェラは、ヒトラー役のギュンターマイズナーが二役で演じているので、ごつい大女になっている。 ヒトラーの部屋に入り込みラジオでボクシング決勝戦の中継を聞くジョー。そこにヒトラーが入ってきた。 ジョーは、ようやく自分の間違いに気づいた。彼はナチの制服を奪って兵士の中に潜り込む。 音楽を要求されたシモンの家族は演奏を開始。とりあえず盛り上がる。(この場面、多分ユダヤの音楽だというギャグになっているのではないかと思うのだが、良く分からない) ジョーは、ギュンターの名を使ってアンジェラに駆け落ちを申し込む。 アンジェラにヒトラーの車を用意させ、ジョーたちがそれを使い、ギュンターはアンジェラと自分の車で逃げる算段だった。 なにしろ総統車なので検問もノー・チェック。気づいた本物のヒトラーが追ってくるが、車ごと池に落としてしまう。 国境を突破して喜び合うジョーとシモン。そこに茂みから小熊もやってきたのだった。 ギャビーとのロマンスが中途半端だとか、ドイツに残ったギュンターの行く末が気になるとか、細かい欠点はあるが、全体的にはベルモンドの人を食ったキャラクターを生かした痛快な作品に仕上がっている。 監督のジェラール・ウーリーは、人気コメディアン、ルイ・ド。フュネス主演作が多いが、ジャン=ポール・ベルモンドとは「大頭脳」でコンビ経験済み。 all cinema onlineにはマリー・ラフォレもクレジットされているが、どこに出ていたか分からなかった。 劇場公開されてもおかしくない作品と思うのだが、80年代に入ってからベルモンド主演作の劇場公開はめっきり減ってしまい、本作も未公開に終わった。 ハリウッド映画やアジア映画に押されてヨーロッパ映画の大劇場におけるロードショー自体が減少し始めた時期でもあり、アラン・ドロン主演作ですら未公開作が多くなっていく。特に香港アクションが多く公開されるようになってからは、イタリアのB級アクションを見る機会が大幅に減ったと思う。 |