原題 ; LILIES OF THE FIELD(1963) |
監督 ; ラルフ・ネルソン |
脚本 ; ジェームズ・ポー |
音楽 ; ジェリー・ゴールドスミス |
出演 ; シドニー・ポワチエ、リリア・スカラ、リサ・マン、アイサ・クリノ |
ラルフ・ネルソン監督の初期作品にして「まごころを君に」「ソルジャー・ブルー」と並ぶ代表作。 ヒューマニズムに満ちた作品だがユーモラスな部分もあり上質の作品となっている。 劇中歌としてアカペラで歌われる「エーメン」も一度聴いたら忘れられない名曲。 キャンプ道具を積んで旅する黒人の元GIホーマー・スミス(シドニー・ポワチエ)は、アリゾナの荒野で東ドイツから亡命してきた5人の修道女に出会う。 修道女たちは荒野に教会を建設しようとしており、尼僧院長のマリア(リリア・スカラ)はホーマーに協力を求める。 院長たちの熱意にほだされ手伝うことにするホーマー。 だが、若くて大食漢のホーマーは食事の粗末なことだけには耐え切れない。 建材会社でアルバイトして食料を買い込むことにした。 これを知った院長になぜ建築資材を買わないのかと怒られ、さすがに頭にきたホーマーは飛び出してしまう。 しばらくして怒りも収まったのかホーマーがふらりと返ってきた。 実のところ途方にくれていた院長は神に感謝し、至らなさを反省する。 事情を知った建材会社の社長(ラルフ・ネルソン)が協力を申し出るが、せっかくここまで一人でやってきたのにとホーマーは不満げ。 院長に善行の独り占めは良くないと諭され機嫌を直すホーマーだった。 教会の完成直前、ホーマーは一人密かに屋根に上り白い十字架の礎石に自分の名を刻む。そして完成の日、修道女たちの合唱する聖歌エーメンを背にホーマーはこっそり立ち去っていく。 ホーマーに気づいた院長は彼の後姿に祝福の祈りを捧げるのだった。 美しいストーリーで宗教物というより、人間の愛と尊厳を感じさせる寓話に仕上がっている。 シドニー・ポワチエは、この作品でアカデミー主演男優賞を受賞した。 余談その一=この作品は低予算で撮影スケジュールも13日間だったらしい。12日目が雨で降り止まなかったら未完成に終わったかもしれなかったとのこと。建材会社の社長を監督が演じているのも予算が足りなかったため、という説あり。 余談そのニ=ラルフ・ネルソン監督は1979年テレフューチャーとして続編「クリスマス・リーリーズ・オブ・ザ・フィールド」を監督、きしくもこれが遺作となった。ホーマー・スミス役はビリー・ディーウィリアムス、マリア院長はマリア・シェルでヴェトナム戦争から復員したホーマーが再び教会に立ち寄り、心の傷を癒し立ち直って孤児院と学校の建設に取り組む、という内容らしい。シスター・ゲルトルード役のリサ・マンが一作に引き続き出演している。一度見てみたい作品。余談その三=「エーメン」は尼僧の一人を演じたパメラ・ブランチの作という説もあるが事実関係は確認できていないらしい。 |