原題 ; MY GIANT(1998) |
監督 ; マイケル・レーマン |
脚本 ; デヴィッド・サイツァー |
音楽 ; マーク・シャイマン |
出演 ; ビリー・クリスタル、ジョージ・ミュアサン、キャスリーン・クインラン |
小柄なコメディアン、ビリー・クリスタルとNBAでも特に背の高いジョージ・ミュアサンを組ませたら面白いぞ。なんてワン・アイデアで生まれちゃった企画ではないかと思うのだが、ハート・ウォーミングで素敵なコメディに仕上がった。 製作や原案にも参加したビリー・クリスタルの手腕も大きいと思うし、巨漢ながら、いかにも温厚そうなミュアサンの風貌もはまっている。 二流のタレント・マネージャー、サム・ケイマン(ビリー・クリスタル)は、このところついてない。 妻子とは別居中だし、ルーマニア・ロケに行けばせっかくの新人に逃げられ、帰り道では事故まで起こしてしまう。 気がつくと修道院のベッドの上。サムを助けたのは大男のマックス(ジョージ・ミュアサン)ことマキシマスだった。彼は15歳で親に捨てられ、ディアボル・グロテスクと呼ばれて石を投げられるため街にも出ずに暮していた。趣味はシェークスピアの読書である。 サムは、マックスを見るからに恐ろしい悪役として売り出そうと思いつく。 芸能界に興味のないマックスだったが、アメリカに行けば23年間思い続けている幼なじみのリリアナ(ジョアナ・パクラ)に会えると言われ、タレントになる決意をする。 ロケ現場に戻ったサムは、マックスを悪役に起用させるが、マックスは馬が恐くて乗れない。スタッフが景気付けに酒を飲ませたので撮影は難航。悪酔いしたマックスは大量に吐いてしまうが、監督は特殊効果並の大迫力とOKを出した。 航空券を手にした二人はアメリカに飛ぶ。資金の尽きたサムは父親に借金を申し込むが断られ、仕方なくマックスを小人相手のプロレス・ショーに出す。 リング・ネームにディアボル・グロテスクの呼び名を使われたマックスは傷つき、ルーマニアに帰ると言い出す。サムは試合を放棄して謝る。 妻セレナ(キャスリーン・クインラン)に借金してバス代を作ったサムは、ようやくベガスで撮影中のスティーブン・セガール(本人)のもとに向かう。 途中、サムはマックスの代理でリリアナに電話するが、マックスの名を出した途端に切られてしまう、やむを得ず一人芝居で話しているふりをした。 セガールには俺より背の高い悪役は要らないと言われるが、マックスがシェークスピアを暗唱して採用を決めた。 サムは、息子ニックの電話にセガールを出すが、ニセモノだと思い込んでいるニックは「マゲがへン」とか言いたい放題。 ところが医者の診断の結果、巨体すぎるマックスは心臓に負担がかかりすぎアクション映画には出られないと言われてしまう。巨漢の寿命は30歳から50歳程度なのだという。マックス自身、自覚していたがリリアナに会いたい一心で黙っていたのだ。 マックスの出演を断ろうとするサム。セガールのスタッフは、シェークスピア好きの間抜けな大男の悪役はテレビ化してもいけると大乗り気だが、サムはマックスを傷つけるような役を受けることは出来なかった。 サムは単身リリアナの元を訪れる。リリアナは1000通もの手紙を出し続けたマックスをストーカー扱いして話を聞かない。 苦肉の策でサムはセレナにリリアナを演じさせ、今でもマックスは好きだが、すでに結婚しているということにして思い出を壊さないようにする。 サムとセレナは、それぞれのやさしさを見直し、もう一度やり直すことにする。 マックスの元には続々と契約依頼が舞い込むが、サムはオファーを受けただけで満足だと契約を交わさずマックスをルーマニアに帰す。 途中、サムはマックスの生まれ故郷に寄る。最初は嫌がったマックスだが、両親との再会を受け入れた。 翌年、サムとの数回の交流の後にマックスは亡くなった。 サムは家族と映画館に行き、ルーマニアで撮影されたマックスの勇姿を楽しむのだった。 小品だし爆笑するような場面もないのだが、主人公二人の友情を軸に家族愛まで含めてきちんと描かれ、心に残る佳作になった。 ビリー・クリスタルの軽妙さとジョージ・ミュアサンの朴訥(ぼくとつ)さが、絶妙なコントラストをなしている。 |