年度 ; (1966) |
監督 ; 山田洋次 |
脚本 ; 山田洋次 |
音楽 ; 木下忠司 |
出演 ; ハナ肇、倍賞千恵子、有島一郎、中北千枝子、真山知子、山口崇 |
山田洋次監督作品の中でも特に好きな人情喜劇。 ブルーリボン賞を獲得した初期の代表作だが、好き嫌いの分かれる作品のようだ。 中年サラリーマンの早乙女(有島一郎)は、ある日、源五郎(ハナ肇)という労務者と知り合う。 早乙女の家族は、最初は一見ガラの悪い源五郎をうさんくさく言うが、こまめに家の修理や犬小屋の組み立てを手伝うことから、次第に便利屋的に扱うようになる。 ある日、源五郎は海で自殺しようとしていた娘・愛子(倍賞千恵子)を助ける。 愛子が好きになった源五郎だが、その方面には不器用でなかなか進展しない。 ようやく二人はデートにこぎつけるが、その夜愛子はブラウスの破れた姿で帰ってくる。 早乙女は暴漢に襲われたと早合点して警察に通報するが、捕まったのは源五郎。 真相は公園で足をすべらせた愛子が源五郎ともつれ合って落ちただけだったのだが、源五郎には資材横流しの疑惑まで発覚してしまう。 やっぱり思った通り無法者だったと態度を豹変させる早乙女の家族。 愛子も行方が分からなくなってしまった。 二人のことを思うと早乙女の胸は痛んだ。 やがて早乙女の転勤が決まり、単身赴任することになる。 独り寂しく列車に揺られる早乙女の前に、偶然顔を出したのが源五郎。 しかもその後ろには赤ん坊を抱えた愛子の姿があった。 あまりの嬉しさに思わず涙ぐむ早乙女だった。 人生に疲れたしがないサラリーマンが、自分とは違う生き方をする風来坊に友情と憧れを感じる。 男は風来坊の恋が実ることを祈るが、その夢はあえなく破れ、風来坊は自分の人生から姿を消してしまう。 家族とも離れて暮らすことになり、無味乾燥な日々だけが残される。 と展開させておいて見事なハッピーエンドで締めくくるラストの呼吸の良さは、山田洋次作品中でも屈指ではないかと思う。 |