年度 ; (1980)
 監督 ; 倉内均、高村裕、浦谷年良
 脚本 ; 佐々木守、橋本治、山田正弘
 音楽 ; 越部信義
 出演 ; 坂井裕一、中条静夫、岸田森、樋口可南子、ハナ肇、今井健二
「3年B組金八先生」のヒットで、各局が学園物を製作していた時期の傑作テレビ・シリーズ。
小学校を求めて放浪する生徒たちを描く、学園を否定した学園コメディ。
ナンセンス・コメディの形を借りて教育の空疎化を、さりげなく描き出している。
斬新すぎる内容が茶の間に受け入れられず、超低視聴率を記録。
1クール半年が主流だった時代に、収録済みの分をとばして6回目に最終回が放送された。
そのため未放送となった3回が、後になって初回と最終回にはさまれ、5日間連続で深夜に放送されるという異常事態になった。
内容は、「お前ら、小学校からやりなおせ」が口癖の校長(中条静夫)に怒鳴られた杉並八中3年3組の生徒25人が、自分たちを受け入れてくれる小学校を捜して旅に出るというもの。
これに新米教師・夏目三太郎(坂井裕一)と着ぐるみの怪生物](声は吉田日出子、キャラクター・デザインは黒鉄ヒロシ)が同行。
父兄が代わりに学生服コスプレで授業に出たり、生徒たちが富士の樹海で遭難して捜索費用を捻出するため授業が内職になったりと、シュールともいえるギャグが連発される。
特に生徒たちを追跡する幸田教頭役の岸田森が披露する超怪演が見もの。
例えば第4話「先生も生徒がいなけりゃタダの人」では、冒頭の帰還兵スタイル(実際には富士樹海より生還)から、フェリーのスチュワーデス(女装姿が、ある意味「血を吸う」シリーズより怖い)、裸に赤フンとほっかむりの男、樹木、夏目の恩師・大友老人と次々に姿を変えて登場、結局何の役にも立たなかったりする。
ちなみに、このエピソードは、富士の樹海を脱出した一行は、引退して塾を開いている夏目の恩師・大友を訪ねるためフェリーで宮崎へ向かう。
この旅には彼らを取材する女記者(緑魔子)が同行する。彼女は父兄の一人である政財界の大物(阿部徹)が送り込んだスパイ。
大友は生徒たちをなだめるため、塾で小学校の真似ごとをするが、生徒たちはここが自分たちの望む本当の小学校ではないことを悟り、再び旅立っていく、というもの。
最終回では説得されて生徒たちが戻るのだが、彼らの動向を見守っていたディスクジョッキー(ふとがね金太)は、生徒たちがそのまま旅を続けていることにして放送し続け、25人は都市伝説と化していく。
真夜中の教室内に雪が降り積もるラスト・シーンが圧倒的な印象を残した。
その他、教育指導の教師に今井健二、PTA会長にハナ肇。
生徒役には高橋克典、冨永みーな、比企理恵も出演している(ただし比企理恵は、この時点ですでに売れないアイドルだった。冨永みーなは、すでに声優として活躍していたが、まだ主演級ではなかったらしい)。
樋口可南子は、夏目が想いを寄せるマドンナ役。旅には出ず、出番は少なめ。かなり強烈なファッションと濃いメークで登場する。前年のTBS朝ドラ「こおろぎの海」でブレイクした樋口は同年多くのテレビ・ドラマに出演したが、本作を含めて3本くらい続けて出演番組が打ち切られるという不運に見舞われていた記憶がある。
もっとも不運だったのだが、多分本作が主演デビューだったと思う坂井裕一。金八先生とは正反対の自信がなくて悩みっぱなしの見習い教師を好演したが、これ1作きりで後の活動は全く知らない。
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