原題 ; POLICE PYTHON357(1976)
 監督 ; アラン・コルノー
 脚本 ; アラン・コルノー、ダニエル・ブーランジェ
 音楽 ; ジョルジュ・ドゥルリュー
 出演 ; イヴ・モンタン、フランソワ・ペリエ、シモーニュ・シニョレ
アラン・コルノー監督の2作目でフィルム・ノワールの秀作。
イヴ・モンタンが孤独な影を引きずる執念の刑事を名演、脇も実力のある俳優が固めている。
ストーリーもきちんと構成され淀みがない。
音楽を使うポイントを極端に絞っているのも特徴で、ラスト以外は実音(ラジオや店内放送として流れる音楽)として使われている。
オープニングはフェロー刑事がコルト・パイソンの弾丸を自ら鋳造している工程が映し出され印象的なのだが、この場面にラジオ放送として流れる曲はジョルジュ・ドゥルリューとしては異色作。従来はクラシカルで気品のある曲作りを得意としているのだが、ここでは不協和音とコーラスが緊張感を高める近代音楽風の曲を作っている。
部長刑事マルク・フェロー(イヴ・モンタン)は、聖堂に入ったマリア像泥棒を逮捕した。
後日、フェローはブティックのショーウィンドウに、逮捕の時の銃を構えた自分の姿が飾られているのを発見する。
その店のオーナーはシルヴィア(ステファニア・サンドレッリ)という謎めいた美女だった。
フェローはシルヴィアに一目惚れ。だが、シルヴィアは警察署長ガネイ(フランソワ・ペリエ)の愛人だった。
そうとは知らずシルヴィアと関係を持つフェロー。シルヴィアはガネイに別れを告げる手紙を書く。
ガネイには資産家の妻テレーズ(シモーニュ・シニョレ)がいたが、下半身不随なため愛人の存在を黙認していた。
はっきりしないシルヴィアの態度に焦燥感を募らせるフェロー。
ガネイに詰問されたシルヴィアは恋人の存在を明かす。シルヴィアの反抗に激情したガネイは灰皿でシルヴィアを殴り殺してしまう。
証拠を隠滅して立ち去るガネイ。ちょうど入れ替わりにフェローがシルヴィアの部屋を訪れる。
フェローはシルヴィアの死体に気づかず、タイプライターにメッセージを残す。
一方、テレーズに犯行を告白したガネイは自首しようと言うが、テレーズはこれを止める。
シルヴィア殺人事件を知ったフェローは動揺する。
出てくる証拠は全てフェローが残した物。シルヴィアの書いた別れの手紙も発見された。
危険を感じたフェローは、シルヴィアとの想い出の品を焼く。
再び自首しようと悩むガネイに、テレーズはもう一人の男を捜すようにアドヴァイスした。
ガネイは新聞にシルヴィアの顔写真を載せて目撃者を探すよう指示する。
フェローは目撃者との接触を避け単独行動を取る。
男が二人いたことを暗示するフェローにガネイ夫妻は危険を感じ始めた。
シルヴィアの部屋の忍び込んだフェローは、カーペットから壁板まではがし、いくつかの証拠品を手に入れた。
フェローはスーパーで目撃者に見つかり通報されてしまう。フェローは咄嗟に目撃者を気絶させて車の下に隠し、現場を指揮して急場をしのいだ。
シルヴィアの写真に写っている城を探すフェロー。
目撃者に会おうとしないフェローに部下のメナール刑事は不信感を抱く。
ガネイは、フェローがシルヴィアにプレゼントしたペンダントを持っていた事からフェローが第二の男だったことに気づき、彼に罪を着せようと企む。
そ知らぬ顔でフェローに接触するガネイ。フェローはガネイに写真を見せ、城の持ち主こそ真犯人に違いないと言う。その城はガネイ夫妻の所有するものだった。
フェローが逮捕されても真相がばれてしまうかもしれないと知ったガネイは、フェローを抹殺し写真を処分することを決意する。
だが、フェローは銃の達人だった。愛用のコルト・パイソンを抜き撃ちして逆にガネイを射殺した。
目撃者との面通しが避けられなくなったとき、フェローは硫酸で自分の顔を焼いてしまう。
だが、モンタージュに協力した目撃者は帰り際、メナールにフェローが犯人に似ていると告げる。
ある日、テレーズがフェローを連れ出すが、それをメナールが尾行していた。
テレーズはどうしても自殺が実行できないので、フェローに撃ってほしいというのだ。フェローはテレーズを撃つ。
全てを見て真相を知ったメナールは署長に報告しようとするが、スーパー襲撃事件が発生。取り急ぎ現場に向かったメナールは、銃撃戦の中間地点に車で取り残されてしまう。
駆けつけたフェローは単身突入、負傷しながらも犯人全員を射殺してメナールを救った。
倒れたフェローのポケットから転がり出たロケットにはシルヴィアの写真があった。それを拾ったメナールは黙ってフェローのポケットに戻すのだった。
余談=アラン・コルノー監督は、ラストでフェロー刑事が死んだほうが観客には受け入れやすいと思ったが、あえて生き残らせ印象を強くしたのだという。やはりイヴ・モンタンとコンビを組んだ次の作品「メナース」では、その逆に観客が逃げのびてほしいと思う主人公をあえて死なせている。初期にはハードボイルド・タッチの演出に冴えを見せたコルノー監督だが、その後は文芸作品を主に撮っているようだ。
真夜中の刑事/PYTHON357