原題 ; RAFFERTY AND THE GOLD DUST TWINS(1974)
 監督 ; ディック・リチャーズ
 脚本 ; ジョン・ケイ
 音楽 ; アーティ・バトラー
 出演 ; アラン・アーキン、サリー・ケラーマン、マッケンジー・フィリップス
退屈な日常に飽き飽きした男が、女二人組に車を乗っ取られたことから新しい人生を踏み出していくハート・ウォーミングなロード・ムービー。
ラファティ(アラン・アーキン)は、カリフォルニアの運転免許試験官。ろくな受験生がおらず退屈な毎日。
公園でで一杯やっていて、マック(サリー・ケラーマン)と15才のフリスビーと名乗る少女(マッケンジー・フィリップス)と知り合う。ボロ車で途中まで送ろうとすると、フリスビーが銃を突きつけ、ニューオリンズまで行けと言い出す。
立ち寄ったアイスクリーム屋の親父に誘拐されたと言うが、マックが家族のふりをするので相手にされない。
ガソリンスタンドでラファティは二人をおいて逃げ出す。追おうとした二人はヒッチハイクで移動協会に乗り込む。
ラファティは道端に二人の荷物を捨てようとするが、考え直して二人を乗せラスヴェガスに行って羽根を伸ばすことにした。
三人はカジノで知り合った男と食事をするが、これがテーブルクロスに火をつけて騒ぎに乗じて食い逃げするとんでもない奴。フリスビーも抜け目なくテーブルにあったチップをいただく。
三人は、万引きした男を置き去りにして旅を続ける。
マックは歌手志望。フリスビーの父親が経営するナイトクラブで歌わせてもらおうとしていた。
フリスビーが寝たと思って、デキてしまうラファティとマック。すねて車を降りたフリスビーを二人はなんとか連れ戻す。
ラファティのポンコツ車は、ついにブレーキがいかれてしまう。三人は中古車センターで部品を盗む。
途中マックは実家に寄るが家出娘に父親は冷たい。
一方、フリスビーはターミナルでナンパしてきた若い軍人アラン(チャーリー・マーティン・スミス)をホテルに誘う。服を脱がせたところで指輪と金をくすねてトンズラした。
地元の酒場で歌うことが決まったマックは有頂天。
アランは警察に訴える。ナイフで脅して金を奪ったと嘘をつく。
フリスビーは、ラファティが欲しがっていたテガロンハットをプレゼントしたかったのだ。
マックは酒場で1曲披露したあと、ご機嫌でバンドの男といちゃつき始め、ラファティはヤケ酒をあおる。
警察とアランがやってきてフリスビーは逮捕される。実際には20ドルしか盗んでおらず10ドルと指輪は残していた。腹いせに嘘をついていたアランもしょっ引かれる。
フリスビーの本名はフリーダ・サイクス、孤児院暮らしの少女だった。彼女は孤児院に送り返される。
ラファティはフリーダを迎えに行く決心をする。バンドで歌うことが決まりマックは去っていく。
ラファティは父親と身分を偽り、フリーダの身元引受人となることに成功。彼はウルグアイで元上官が経営する農園で働くことになっていた。二人はポンコツ自動車で出発するのだった。
ラストを含め、名曲「ユー・アー・マイ・サンシャイン」が効果的に使われている。
名作「愛すれど心さびしく」で見せたシリアス演技から、「暗くなるまで待って」の悪役まで、幅広い役柄をこなすアラン・アーキンだが、本作のような軽妙なキャラクターに本領があると思う。
サリー・ケラーマンは、その後のフラワーチルドレン的役柄を演じるとツボにはまっていた。
余談=マッケンジー・フィリップスも自らの孤独を隠すためにハネッ返りな行動をとる少女を好演している。本作以降出演作が少なく、顔を見る機会もなかったが、テレビシリーズ「どこかでなにかがミステリー(1999)」(このシリーズ、ファミリー向けの30分ドラマなのだが、個人的には、「Xファイル」より高く評価している)で主人公の母親(途中で主役が交代したため、おばさんになった)で旅回りの歌手を演じて健在ぶりを見せてくれた。なお、彼女の父ジョン・フィリップスは「夢のカリフォルニア」で有名なママス・アンド・パパスの中心人物。スコット・マッケンジーの「花のサンフランシスコ」も彼の作曲。
ブルージーンズ・ジャーニー